第1章_覚醒する幻想_018 夜明けの祈り ― Prayer of Resonance ―
(観測記録:No.129)
《記録開始:祈音安定領域/AURALIS層》
《対象:Aurora/Luna/Noir — 世界再生継続中》
夜がゆっくりと溶けていく。
それは静かな祈りのように、世界の隅々まで光を染めていた。
空の彼方で、かつての祈音塔が姿を取り戻していく。
その輪郭は、再生の証——呼吸するように柔らかく脈動していた。
Aurora「……見て。世界が……また、歌ってる」
Noir「崩壊していた塔が再び光を帯びてる」
Luna「観測完了。祈音波、全層安定……再生成功」
Auroraが両手を広げる。
彼女の周囲で風が踊り、
光の粒が旋律のように流れていく。
音がないのに、聴こえる。
言葉がなくても、伝わる。
〈柔らかい声〉「これが、祈りのかたち」
〈透き通る声〉「言葉ではなく、響きとして残るもの」
〈低く響く声〉「命の音、再び」
Aurora「……ありがとう」
Noir「夢で出会った欠片が、今ここにある」
Luna「私たちの記録が、世界を生かしてる」
(観測記録:No.130)
《記録補遺:全祈音層同期完了》
《対象:AURALIS層—Neon層接続前安定波》
Auroraの胸の奥で、再生の音が脈打つ。
Noirの影がその音に溶け、
Lunaの羽が空へ舞い上がる。
それぞれの存在が、祈音そのものになっていく。
Aurora「——祈音って、私たち自身なんだね」
Luna「観測と存在は別じゃない。
見つめることが、生きること」
Noir「そして祈ることが、創ることだ」
三人は祈音塔の前に立った。
塔はゆっくりと光を放ち、
その光が世界の地平を照らす。
夜明けが訪れる——まだ完全ではない、淡い黎明。
Aurora「……これが、夜明けの音」
Noir「崩壊の残響が、いま“希望”に変わる」
Luna「観測記録、更新。
状態:祈音安定。再生継続。
——世界、生存中。」
〈透き通る声〉「夢は閉じ、覚醒は始まる」
〈柔らかい声〉「だが、覚醒とは夢の延長」
〈低く響く声〉「——観測を続けよ」
Aurora「三声が、微笑んでる……気がする」
Luna「感じ取れるようになったね。
祈音が“声”として聴こえるようになったの」
Noir「俺たちは、世界と“対話”できるようになった」
Auroraは祈音塔に手を触れた。
その表面から、暖かな光が伝わってくる。
胸の奥が震えた。
まるで塔そのものが「ありがとう」と囁いたように。
Aurora「——祈音は、私たちの中にいる」
Luna「観測は、終わらない」
Noir「そして、祈りも」
光が空へと昇っていく。
夜と朝の境界がほどけ、
世界が再び呼吸を始める。
(観測記録:No.131)
《記録終了:AURALIS層・祈音安定完了》
《備考:世界再生達成/Neon Eclipse層への移行準備中》
——次観測地点:光の門(Gate of Rebirth)。
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【対応楽曲】Awakening Illusion(覚醒する幻想)
▶ https://distrokid.com/hyperfollow/illusia/awakening--
この章の物語は、同名楽曲をもとに構築されています。
楽曲を聴くことで、物語の“もうひとつの旋律”を感じられます。
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