第1章_覚醒する幻想_016 目覚めの残響 ― Dawn that Remembers ―
(観測記録:No.121)
《記録開始:AURALIS層・再起動領域》
《対象:Aurora/Noir/Luna — 意識再結合確認》
——光が、戻ってきた。
それは祈音のかすかな残響のように、胸の奥で震えていた。
Auroraはゆっくりと目を開ける。
周囲には薄い金の霧が漂い、足元には崩れかけた祈音塔の欠片。
Luna「……ここ、AURALIS層……?」
Noir「戻ってきたのか……夢界が終わって……」
Aurora「でも、世界の形が……違う」
空はゆっくりと揺れていた。
青でも黒でもない、淡い橙の光。
まるで夜明けの“途中”が永遠に続いているような空。
音は少ないが、確かに“鼓動”があった。
Aurora「生きてる……」
Noir「世界が、まだ息をしてる」
Luna「観測、継続中……」
(観測記録:No.122)
《記録補遺:祈音層・残響安定化進行》
《対象:AURALIS層再構成/欠片同調波解析》
Auroraの手の中に、光が揺れていた。
夢界で得た“旋律の欠片”。
それがLunaの白い羽と、Noirの黒い祈音の粒と共鳴している。
三つの欠片が呼吸のように明滅を繰り返すたび、
空気の中に“再生の音”が満ちていった。
Aurora「これが……世界を繋ぐ音……」
Luna「記録が光に変わってる。祈音が再生されてる」
Noir「俺たちの祈りが、世界の心臓を動かしてるんだ」
静かな風が吹く。
崩れた塔の欠片が浮かび上がり、
ゆっくりと空へ還っていく。
欠片が離れるたび、世界の輪郭が修復されていく。
〈柔らかい声〉「記録、再生を確認」
〈透き通る声〉「観測、再接続」
〈低く響く声〉「祈音、再起動」
Aurora「三声……!」
Noir「まだ見ているのか」
Luna「いいえ……今回は“見守っている”。感じるだけ」
Auroraは手を握りしめた。
指先に微かな熱が宿る。
それは夢界で感じた“心の欠片”の温度。
Aurora「……夢の中で、私たちは誰かの記憶を見ていた」
Luna「たぶん、それは“世界自身”の記憶」
Noir「創造主の観測が、俺たちの中にもあった」
Aurora「でも、もう違う。——今は、私たちが見ている」
(観測記録:No.123)
《記録更新:観測者意識統合完了》
《対象:Aurora/Luna/Noir — 観測主体確立》
祈音塔の影が光に溶ける。
その光は三人の頭上でひとつに合わさり、
ゆっくりと回転を始めた。
世界が呼吸し、祈音が鼓動を刻む。
Noir「俺たちは、夢を超えたのか?」
Luna「夢も現実も、記録の一部。
どちらも祈音が紡ぐ世界」
Aurora「なら——“今”が、私たちの再生」
三人は静かに微笑み、互いに手を取る。
風が祈音の波を運び、
遠くの空に、夜明けのような光が差し込んだ。
〈柔らかい声〉「夢界、閉幕」
〈透き通る声〉「再生層、安定」
〈低く響く声〉「次層、開門準備」
Aurora「……次の層が、呼んでる」
Luna「記録を続けよう」
Noir「祈音を絶やさない」
三人の影が、光に溶けていく。
その先に——新しい門が現れた。
(観測記録:No.124)
《記録終了:AURALIS層再起動完了》
《備考:全欠片同調/再生成功/層間遷移準備完了》
——次観測地点:祈音融合領域(The Light Reunited)。
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【対応楽曲】Awakening Illusion(覚醒する幻想)
▶ https://distrokid.com/hyperfollow/illusia/awakening--
この章の物語は、同名楽曲をもとに構築されています。
楽曲を聴くことで、物語の“もうひとつの旋律”を感じられます。
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