冬の感謝祭
手にとっていただき、ありがとうございます!
全く季節感が合っておりませんが、楽しんでいただけましたら幸いです。
「うっわぁ、赤い目ってはじめて見た!」
寒い冬のある日のこと。
感謝祭に向け、皆がウキウキと忙しく働いています。
そこから少し離れた村の外れ。
一人蚊帳の外で、黙々と冬支度に勤しむ青年の目の前で、先程の言葉が発せられました。
「い、いやん、そんな恐い顔しちゃっ。も、もしかして怒らせちゃった?」
焦ったように話しかけてくる少女に、困惑を隠せない青年。
「悪い意味で言ったんじゃないんだってば!」
ならどういう意味で?
「そんな不信感が溢れる目で見ちゃ、いやん。」
構ってられないとばかりに、仕事を続けようとする青年。
「あうぅ~。だって、そんな綺麗な赤色見たことなかったんだもん。」
生まれた時から、悪魔の目と言われ続けてきた、青年。
新手の悪口かと聞き流します。
「どんな宝石よりもどんな夕日よりも綺麗な色してるよ~。あれ?自覚なし?」
血の色と、不吉な色といわれたことは数え切れません。
「じゃあ、私だけが知ってるんだ!にゅふふふふっ。」
変な笑い方の少女は、こう見えても有名な人です。
「逃げようったって、逃がさないからねぇ♪」
今頃、村の神殿ではきっと大騒ぎしてることでしょう。
「こんな綺麗な目を見てられるって幸運、絶対譲れないんだから~!」
清めの儀式を行っているはずの巫女様が、ここに逃げ出しているのですから。
□ □ □
「あ、告知ださないとね。」
巫女様は勝手に話を進めます。
「私、巫女だけど、その辺のとは格が違うから、伴侶作ってもいいってことにする。」
ここまで、独走されてしまうと、今更止める気力もありません。
青年は、黙々と作業を続けます。
「大丈夫!反対するやつらは一人残らず、潰してみせるから♪」
不穏な空気に振り返ると、銀色の瞳は冷たい光を称えています。
「私はだたのお守りアイテムじゃないんだもん。そのことをわからない人間にムカつくこと言われたくない。」
人に囲まれても、孤独なこともあるのかもしれません。
「それに、欲しいものは何が何でも手に入れる主義なの~。」
同情した青年はある意味負けなのかもしれません。
「だから、諦めてね♪」
ただ、
「その代わり、ずっと一緒にいてあげるよ。」
今までなくした何かを。
「あぁ~。やっぱり、先読みの銀の目って気持ち悪い?」
捨ててしまった希望を。
「ほんと?きらいじゃないんだ。だったら、ずっと見てていいよ、交換♪」
優しい微笑の中に見つけられた気がした。
「・・・物好きな。」
□ □ □
真っ赤なお目目のルドルフさんを
いっつも皆が恐れてる
でも、その年の村祭りの日
セント・クローディアが言いました
暗い夜道もキラキラと
お前といると楽しくなるのさ
いっつも独りのルドルフさんは
この変わり者。と喜びました。
サンタは、聖という意味だと教えられた事を思い出し、替え歌を思いついた所から書き出しました。
楽しんでいただけましたら、幸いです。