88:繋がる
本日投稿2話目、朝というか夜中に本日1話目を投稿してますのでまだの方はご注意を
クリシュナさんは体調不良…
我ながら人道的では無いと思うが自分たちが生き残るのが最優先事項だ
工場長は渋い顔をしているが奴隷だろうがなんだろうが使えるものは全部使う
国交が成立したとして交易品として兵力を買うといえば聞こえは良いが最悪使い捨ての肉壁にすることまで考えている
小銃も野砲も全てフル稼働で増産しなければ数で押し負ける…何故と言われると答えられないがさっき感じた違和感がこの考えを推し進めていくのだ
「奴隷売買は国内では有るが他国とは基本的には取引はしていないのだが…」
どうにも歯切れが悪い返答だな
「クレイさんが考えるように奴隷は簡単に使い捨ての兵士に出来ますからね、簡単に手放して他国へ売るというのは自殺行為ですから」
使い捨てという言葉に工場長が嫌悪感を見せるがサンダン王国貴族の二人は気にしていないだろう、こないだの偶発的な戦闘ではなく本格的な戦争行為となれば躊躇なく奴隷を使うはずだ、それこそ恩赦か何かを条件にして
命の価値感が違う…圧倒的に軽いと言うべきか
この日はそこでお開き
中々にハードだったように思うけど、向こうでもこっちでも国の上に立つ人々は平時なら非情と非難されるようなことでも常に選択肢として思考にあるのだろうな
おままごと国家の上層部には少々…いやだいぶ荷が重い
「ただいま~」
「おかえり~」
少し間が空いてから二階の寝室の方から聞こえてくる、まだ具合が悪いんだろう
「そのままでいいよ~寝ててこっちから行くから~」
「うん、ありがと~」
寝室に行くと横になっているシュナ
「まだしんどい?」
「ん~、明日には治るかな?」
額に手を当てて熱を確認するとまだちょっと熱が有る、おでこの冷却シートを取り替えてあげる
「冷たくて気持ちいい…」
メーベの姿が見えない、少なくとも俺が帰ってくるまではシュナに付いていてくれると思ったんだけどな
「メーベは帰ったの?」
「うん、クレイさんが帰ってくるちょっと前に帰った」
「あのね…私達エルフって念話が使えるでしょ」
「うん」
なんだろう、なんか緊張してる?俺の手をぎゅっと握ってきた
「それでね、その…」
手をしっかりと握り返し
「うん、大丈夫ちゃんと聞くからゆっくり話していいよ」
「エルフって熱が出ることが有って…それは風邪じゃなくて」
ん?なんだ?話が見えない
「念話って言っても話が出来る訳じゃなくてね」
益々解らないけど、シュナはふざけているわけでも朦朧としているわけでもないのだから黙って聞く
「今日はっきり繋がったの」
そう言って毛布の上から自分のお腹を擦るシュナ…それって!
「嬉しいのに、嬉しいのにこの子がユフィと同じになっちゃったらどうしようって…またそんなこと考えちゃって、この子にはなんの責任もないのに酷いことを…」
「そっか…悲しくなっちゃったんだね」
髪を優しく撫でる、前にも一度こんな事が有ったけどそれは想像だけ、今は本当にお腹の中にその命がある
「クレイさんも喜ぶのに…こんな事…考えてる自分が…嫌で…」
「俺はそんなふうに一生懸命考えてくれてるシュナが大好きだよ」
身体を起こしたシュナを抱きしめて背中を擦る
「そっか俺もシュナも親になるんだね…ねえシュナ、この子の名前一緒に考えようね、そりゃあもうこれでもかってぐらい考えようね」
「うん…うん…」
シュナを抱きしめたまま、子供をあやすようにゆらゆらと一緒に揺れる
「シュナ…ありがとう嬉しいよ、でも心配した風邪じゃなくてもっと大きな病気だったらどうしようって」
「ごめんなさい」
「こっちが勝手に心配しただけだから謝らなくていいの」
人差し指でシュナのおでこをツンとすれば、やっとシュナの表情が和らいだ
「あなたのパパはとっても優しいパパなのよ」
そう言って微笑むシュナ
「君のママは世界一可愛いんだ、だから生まれてくる君も世界一可愛いに決まってる…男だったら…ごめんなパパはあまり格好よくないんだ…でもどっちでも良い!全力で愛する事は変わりない」
「そこは世界一格好良いパパだから大丈夫って言ってくれないと妻として悲しいんですけど」
ふふふと微笑むシュナが眠りに付くまで俺達は語り合った
という事でクリシュナさん、ご懐妊でございます
ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので
『ページの下にある☆マークでの評価』
よろしくお願いします!