73:地味だけど着々と
本日投稿一話目!これにて三章閉幕、次回から間髪置かずに四章開幕です
ドワーフの農地では二度目の麦の収穫、今年から二毛作で豊作だったことからかなりの余裕が生まれた、特にジャガイモは備蓄出来るまで量が増えた
そして新たに開墾され譲渡される農地は水はけの良い土地に改良、石灰を蒔いて土の濃度?を中和してある
石灰は元々は地盤改良に用いられる混和剤に混ぜるものだったのだけど、温泉の源泉も近く酸性の土壌をアルカリ性の石灰を利用して中和しているのだ
作る作物はドワーフ達と同じ麦、土壌は酸性よりはアルカリ性寄りの方が適しているらしい、なんだっけ麦は肥料、米は土が育てるっていう慣用句?ことわざ?が有るみたい、そもそも土地を改良するなんて私達の概念にはないので彼ら人族の技術を信じるしか無い
仮に凶作だとしても来年に関しては食料は保証されているし実験だとしてもそこまで痛手にはならないはずというのが彼らの考え…すごい自信よね
彼らが取り組むのは輪栽式農業と呼ばれる農法で
小麦→クローバー→小麦→カブ
の繰り返しで休耕の無い仕組み、ドワーフ達は有りえないと首を振ったけど実験だから気にしないでと押し切るクレイさん、クレイさん農家はやったこと無いはずなんだけどなんでこんなに楽しそうなんだろう、ノウミさんもだ
「やっぱ異世界といえば農業改革、内政の根幹ですよ!」
「ぎりぎり過ぎて言い出せる感じじゃなかったもんね」
どうやら向こうの世界では異世界と言えば農業改革は定番らしい…
「ここから!プラントも完成したしここからハーバーボッシュでウハウハのチートモードですよ」
なんであんなに楽しそうなのか解らないけどやる気に満ちているのだから水を差さなくていいでしょう
防衛面では透明なコンクリートの壁も設置、城壁程の高さはないが視界は開けているので壁の向こうに魔物が隠れることも出来ない
全ての農地に植えられる程の量はないけど、植えられるだけのカブとクローバーを植えまくっている、カブはビニールハウスのお陰でだいぶ増え随時追加で植えるこれで家畜の冬の飼料にも使えるようになった、クローバーは保育園にわずかに自生していたものを畑ひとつ分まで大切に育てたらしい、私は見たことのない植物だった事を考えるともしかしたらこの世界には無かった植物かもしれない
ということは枯らしてしまったら絶滅も有り得る訳で…そういえば今育てている稲もバケツ一杯でクレイさんが偶々育てて居なかったらこの世界には無かったかもしれないのよね…
この丘にしか無いものは貴重なものだらけなのだと改めて気付かされた、稲の方は小さな田んぼとビニールハウスの両方で半分に分けて育てられていてビニールハウスの方は二毛作で二回目の実りの季節が近づいていて、田んぼの方も順調に育ち稲穂が垂れ始めている、何ていうんだっけ
実るほど頭を垂れる稲穂かな
だっけ、意味としては本当に偉い人は腰が低いとか、ちゃんと経験を積んだ人は頭を下げて謝れる?みたいな感じだったと思う
工場長さんみたいな人のことだと思うとしっくり来るわね
軍隊のチーム訓練の一つにはヤンゲやゲラ鳥などの家畜化可能な動物や魔物の捕獲も追加されて来年からは畑に放牧予定
新たな作物の種子採集も任務の一つ、コピーした植物図鑑片手に日々食べられる植物を探している
これは種子集めの他に食べられる植物を知ることでサバイバル技術を向上させる意味もある、他種族は知っていても食べない物を彼らの知識と照らし合わせて食べられる物にしていく地道な作業、彼らの知識だけだとそれはそれでこの地においては毒性有るなど知らない場合もあるから照らし合わせは絶対に必要な作業
人は食べれても種族によっては毒の場合もあるしね、現時点で見つかった新たな種子や作物はノウミさん待望のライ麦もしくはその原種のような物、柿、椎の実、クレソン、コゴミ、ゼンマイ、椎茸など多岐にわたる
そしてトリカブトにコバイケイソウといった毒性の有るものまで、厳重な管理は必要だけどこれは武器としての殺傷力を格段に上げる
ユフィの後ろにどんな組織が居るのか敵の全容はわからないまま時が過ぎているがコンクルザディアの方針は攻めをやめて、徹底的に備える方向に転換したと言ってもいい
籠城しても永遠に耐える位の備蓄と防衛力に特化
勝てないけど絶対に負けない都市づくりを目指しコンクリートと魔法を駆使して私達は邁進するのだった
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