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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
三章:コンクリートの国
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68:パンを焼いて売ってみよう(子供たちの社会学習)

本日投稿一話目

ドワーフの居住区に作られた煉瓦作りの一軒の家には保育園の子供たちが集まっていた


「はーいみなさーん注目~」

ユカリ先生の号令でも中々静かにならないがそれも仕方がない、これから子供たちはパンを作るからだ


ユカリ先生がずっと考えていたパン作り、小麦が収穫されたことで実現したのだ


この家は後々ドワーフのパン屋として開業予定、オープン前のこのタイミングを利用して子供たちの社会学習を開かせてもらった


ただパン作りに利用させてもらっただけでなく煉瓦作りも勉強の一環で作りこの建物や焼窯に使われている、自分の作った煉瓦が判るように皆名前を煉瓦に彫ってから焼いた煉瓦、あちこちから


「私のあったー!」

「俺のやつ焼き窯だやったー!」

皆自分の煉瓦探しで夢中なのだ中々静かにならない


小麦粉以外の材料を出してもらった関係で大将さんも来ていたし雨季で仕事が暇な工場長さんも…いや工場長さんは忙しくても仔たぬきズの成長を見れる機会は逃さないわね


「ほらほら、早く静かにならないと焼きたてのパンが食べられなくなっちゃいますよ~」

食べれなくなるという一言で静けさを取り戻した、子供って現金よね


やっとパン作りが始まり、子供たちは一生懸命強力粉を捏ねる


甘い匂いに我慢できなかったのだろうバニラエッセンスを舐めて

「苦い!」

罠に掛かっている子供もいたり、生地を直接口に含んで同じ様に

「甘くない!」

なんて言っている子も居た


十分な粘りと硬さになると小豆から作ったあんを入れたあと生地を思い思いの形にしていく

パパっ子のアーミンは

「これパパだよ!」

と顔に輪っかが二つきっとメガネだろうの付いたパンをにっと笑顔を作って見せる

微妙に笑顔に見えるけどきっとアレは最大限の笑顔、その証拠にサムズアップしているし目も潤んでる


カールとロルフも工場長さんと思われる顔、あ、泣き始めた!でもそれ後で食べるんですよね…顔が真っ二つにされる想像が湧くけど本人が嬉しそうならいいか


気まずそうなルディはぼそりと

「クレイ兄ちゃん」

信じられないようなものを見たパパ工場長さんがクレイさんを睨んでる、とばっちりもいいとこだ


こうして各々1つ目のパンを作り終わると40度ほどに設定したオーブンに入れて一次発酵させる、生地が二倍くらいに膨らむ様子を面白そうに子供たちは眺めてる、十分膨らんだところで一度取り出してプスプスと穴を開けてガス抜きこれも子供たちには大人気


そして十分に熱くなった焼き窯に生地が入れられる


そうしている間に次の生地作り、今度はユカリさんの見本どおりに生地を作っていく、こっちは売る用のパンだ、売上は実際に子供たちのお小遣いになるので結構皆真剣に見本に似せようと頑張っている


しだいに漂い始める香ばしい香りに手が止まってしまう子供もいる


「はーい、みんなのパン焼けたわよ~!順番に取りに来て~熱いから気をつけてね」

焼き窯からから取り出されたパンはこんがりと艶のある鼈甲色、発酵したことでイメージ通りにならなかったパンも有ればイメージ通りだったパンも有ってパンの出来にきゃーきゃーと一喜一憂している子供達が微笑ましい


「温かい内にお父さんお母さんと一緒に食べましょうね~」


最初に焼いたパンはそうする手筈になっていて子供たちは自慢げに親の元へとパンを持っていく、和やかな親子の交流が終わると次からはいよいよ販売


今日のことは告知されていたのでお店の前にはお客さんの行列ができていた、雨季のため人が集まるか心配だったけど杞憂に終わって良かった


テーブルに綺麗に並べられたあんパンと緊張している子供たち、パン作りで労働を販売でお金を学ばせたいというユカリさんの取り組みが実を結ぶ瞬間だ


相手が子供たちという事も有ってお金のやり取りも和やかに進む、これってユカリさんの想像を超えて大人たちのお金の使い方の勉強にもなっているわ、ホビット達はまだ紙幣や硬貨に馴れていないからちょうど良い実践になってるもの


今はまだこの紙幣貨幣は給料であり食事にしか使われている事が殆どだけど今後はホビット達も得意な技術で衣服やアクセサリも作るだろうし、もっと安全になれば軍とは別に狩人をして生計を立てる人も出てくるかもしれない


クレイさんが言うには今は半社会主義っぽいと言う、資本主義には程遠いけど後々はそれぞれが仕事を持って行くことになるはずだと教えてくれた


子供たちがパンを売るという小さな小さな催しだけど一度は里を失った者たちが新たな世界を作っていくという想像は私を明るい気持ちにさせてくれたのだった

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


『ページの下にある☆マークでの評価』


よろしくお願いします!

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