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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
三章:コンクリートの国
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63:チハ君のオーバーホール

バラバラ殺戦車事件…じゃなかった、工場に運ばれたチハ君?は外せる部品という部品をを全部剥がされ砲塔も車体と分離、ほぼ全身腐食していて穴の空いた燃料タンクに腐ったバッテリー、だと言うのに車内はそこまで荒れていない


外と中で腐食の度合いがまるで違うのだ、これは丘と同じ様に不思議な力がチハ君の中にだけ展開しているのではないかと推察されている、わかりやすいのは戦車の中に有った砲弾弾薬に腐食している形跡が無く残っていること


砲や小銃は後に回し、まずは車体の修復をメインに据えて問題なく動けるようにする所からオーバーホールは始まった、元々重機を扱っている親方さん達に取ってみればそっちの方が理解しやすいしね


チハくんは砲塔だけになった状態で自分の体の修復を見守っている


「あっちもこっちもガタが来てやがる、よくこんな状態で動いたもんだ」

こくこく頷く砲身、偉いでしょ!とでも言ってるいみたい

「バカタレ!無理して動きやがって」

親方さんに叱られた、ショボーンと砲身がうなだれている


駆動部分を親方さん達が担当してクレイさん達が溶接で新たなボディー作り、リベット等の細かい部品はドワーフが作成に乗り出した


新しく直した燃料タンクにはここのトラックでも使っている軽油、バッテリーに関しては他の車から拝借というわけにも行かないのでスライムたちの皮膜を使って容器を作り蒸留した水を入れその中へ工場にある硫酸を足していきバッテリー液を作る


どういうわけか燃料なしバッテリーなしでも動くこのチハ君だけどその二つをちゃんとすればもっと早く動けるはずらしい、カタログスペック的に時速30kmは出ると思うとはクレイさんの談


この子が時速30km…ショベルカーの様にゆっくりだとなんとも思わないけどこの子がそのスピードで突っ込んでくると思うと怖い


作るのめんどくさそうと思った無限軌道はそうでもなかった、履板を一個作って丘の境目で出し入れすれば増えたからだ同じ部品を沢山作る時は本当に便利


私達エルフはその豊富な魔力量で硬化の魔法陣の書かれた個々の部品に魔力を込めていく、これが結構しんどいのよ…なにせ部品の数がハンパないから10人いるエルフ全員掛かりでもいつまで経っても終わる気がしないわ


元通りにするだけでなく近代化改修も予定されていて、外にアクションカムを取り付けて中に配置するノートパソコンに外の様子をリアルタイムで表示させるための改修が第一弾、電波がないから有線接続の為の配線を敷かねばならないのだそうだ


確かに視界は狭い…というか数ミリ程度の隙間からしか外が見えない、当時の兵隊さんの大変さが忍ばれる


第二弾としては手動式の砲塔の旋回装置を電動モーターで動かせるようにすること、今はハンドルが付いていてそれをぐるぐる回して砲塔が動く、チハ君が勝手に動いてくれそうな気もするけどいざという時を考えれば早く動いて欲しいものね


オイルに関しては総入れ替え、エンジンオイルの粘度も解らないので重機用のオイルで代用することになったのだけどクレイさん曰くあまり汚れてないそうでやっぱり不思議な力が働いていると思って良さそう


むき出しだった側面にもシュルツェンと言う装甲板を貼るんだって…確かに必要なのかもしれないんだけどクレイさんとノウミさんの趣味が全開な気がするのよね


だってクレイさんのコレクションに戦車に乗る女の子のアニメが有るし、こないだから戦車の素晴らしさを伝えるんだって温泉のレクリエーションルームで放送始めたし…


子供たち、特に男の子達は感化されてる女の子も主人公の子達が女の子だから


「女子のたしなみ」

とかなんとか言って盛り上がってる、これは結婚してから気づいたことだけどクレイさんの映画に対する愛情はちょっと怖いレベルだ、どんなジャンルも観るし好きになることを沼というらしいけど沼に引き込むために初心者向け、中級者向け、上級者向け、廃人向けと各ジャンルに沼らせる為の品揃えを持っているのだ…私も恋愛ものとホラーものの沼へと引きずり込まれたそのひとり



たった一台の戦車だけどオーバーホールに携わる人数は100人近くに上っている、そのおかげもあって日に日に少しずつかつての姿に近い状態に戻っていく、箇所によってはかつての姿以上の状態と言ってもいい


ラフテレーンクレーンによって持ち上げられ慎重に砲塔が取り付けられる、歯車にはグリスが塗られその挙動を確かめるようにチハ君は右に左にと首のように砲塔を動かす、気に入ったのか砲身を上下に激しく振っているけどその動きも持ち込まれたときよりもスムーズでキィーという不快な金属の摩擦音もない


エンジンが掛かりテスト走行前のチェックが始まる、もっとけたたましいかと思ったけど作り直したマフラーの性能が良いのか重機くらいの音量だった


「具合が悪いところが有る場合は右に、良ければ左に砲塔を振って、判った?」

チハくんは左に砲塔を振る、理解しているみたい

クレイさんの手にはクリップボードに挟まった一枚の紙とペン、向こうの世界で使っていた運転日報と呼ばれる物で下半分は仕事が終わった後の車両点検の用紙になっているのを改良してチハ君の健康診断シートにしたのだ、好きな事になるとほんとマメだよねクレイさん


「エンジンの調子はどう?」

砲塔が左に動いた調子は良いみたい


「オイルは合ってる?」

砲塔が左に動きかけて元に戻った

「…」

「どういう意味だ?」

砲身と砲塔をガチャガチャと動かしてる、なにか説明したいみたいだけど…


「もしかして判んないって言いたいんじゃないですか?」

砲身を激しく上下するチハ君

「あ~、判らないの合図を決めてなかったわりぃ、じゃあ判んない時は砲身を下げてくれ」

左に砲塔を振って判ったと答えるチハ君


「他にチェックして欲しいところとか有る?」

砲身を下げる、判らないみたいだ

「じゃあ現状はチェック項目はこれで行こう、気になる所があったら追加していくってことで」

チハ君は左に振って答える


「よし、それじゃあ走行テストに移ろう、オイルとかの適性が判ってないから最初はゆっくり、徐々にスピードを上げて変だと思ったら止まってこっちに教えること判った?」

判ったと答えてゆっくりと動き出す、何処かが噛み合ってないような不快な音はしない順調な出だし


「チハが動いたぁ~」

気づけばいつの間にか子供や興味のある人々が物珍しそうにチハ君のテストを見ていた


「チハ頑張って」

「チハ~がんばれ~」


声援が飛びやる気満々のチハ君

「ゆっくりだかんな」

クレイさんが釘を刺す

徐々にペースを上げて走ればえらく速い50kmくらいでてるのでは?

「やっぱり燃料とバッテリー有ると早く走れるみたいだな」

左に首を振る


残すは主砲と機銃のテスト、工場でやるわけにも行かず外へ出ての実施となった

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


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