62:休日の二人
食料の自給はまだまだなものの安定した日々が続くコンクルザディアだったが、そろそろ雨季を心配する季節になった
今日は雨、休みを家の中でゆったりと過ごす
「あの時は大変だったなぁ~」
ボソリと漏らせば
「だね~」
とソファーからだらけた声、誰のせいで大変だったと思ってるんですかと思いつつ、クレイさんはクレイさんで大変だったのだと思い返す
それと休日のクレイさんは、仕事中からは考えられない位だらける、骨が無くなったのではないかという位でれ~んとしてる
「情熱的だったよね~」
ボッと顔が赤くなる
「あ、あの時は必死だったんです!」
「うん、嬉しかった」
そしてこうやってたまに恥ずかしくなることを平気で言ってくるのだ
「俺だらけるよ、信じられないくらいオフはだらけるからね」
結婚の前からそう聞かされていたし、こうやって私の前でも有言実行?って言うのかな、だらけているのは気を許してくれている証拠だと思えば誰にも見せないクレイさんを見れる私の特権という理論に落ち着いた
「向こうだったら休日は色んな所連れて行ってあげられたのになぁ~」
お休みにはいつもクレイさんが口にする言葉、最初は義務感なのかなとも思ったけど悔しそうにしているところを見ると、本当に連れて行きたかったのが判って嬉しい
どんな所に連れて行ってくれるのか聞いてみたら、テーマパークに映画館、美術館、デパートを巡ってウインドウショッピングも良いよねと答えてた
普段の趣味からして本当は山の中で軍事遺構とか行きたいのがバレバレなんだけど
「そういうのは無理して理解しなくていいから放って置いてくれると嬉しい」
って答えが帰ってきた、一緒なら楽しいと思うんだけど
「ねえ、これってなんて読むの?」
小説の漢字の読みを聞いたり逆にクレイさんからは
「この動物って見たことない?」
と向こうには居た動物の事を聞かれたりと休日はお互いに質問のラッシュになることが多い、面白い発見が有ったり勉強になったりでこれも楽しくて好き
コンコンとノックの音が玄関から聞こえてきた、インターホンを押せないのは大抵がホビット、案の定玄関先には最初にクレイさんを訪ね癒やしてくれたホビットの兄妹、何処で貰ったのか黄色いカッパも着ている、もう回復しているクレイさんには精霊魔法の癒やしは無くても大丈夫だけどこの家を気に入ってくれたみたいでよく来てくれる
「「コンニチハ」」
二人がよく来る理由の一つに、あの映画に夢中になったという事が有る、クレイさんの映画コレクションが観たくて仕方ないのだ、今日はどんな映画が観れるんだろう!って顔に書いてあって可愛い
二人の名前はお兄ちゃんがフィル君、妹ちゃんはフミちゃん
クレイさんも映画好きにもの凄く甘い、クレイさん自身末っ子で小さな頃から夜九時から始まるテレビ放送の映画を末っ子おねだり攻撃を使って観まくっていた筋金入りの映画好き、コレクションからも判るようにジャンルは問わない、映画だけでなく漫画や小説やアニメも女の子向けでも面白いと思ったら何でも買っていたというか新築のこのマイホームの一室はコレクションのための部屋、サブスクじゃなくて円盤で買ってて良かったと言っていたけどなんのことかは判らなかった
小説にも色々有ってこの世界もラノベという物では盛んに取り扱われていて、色々と役に立ったと教えてくれた
私も知りたいと読ませて欲しいとお願いしたのだけど、ラノベに関してはインターネット経由で紙媒体で購入したものは少なく残念な気持ちにもなった
一度ノウミさんから教えてもらった魔法の言葉を言ってみたらものすごい勢いで汗をかき始めた
「ノウミさんでしょ!絶対そうだ!」
薄い本は何処に有るんですか見てみたいです
って言ってみただけだったんだけどな、余程都合が悪いと見えて追求はしなかった
…でも、気になるじゃない?なんだっけ好奇心猫を殺すだっけ?
見つけちゃった…これコレクションに有ったアニメの娘達よね…ちょっと…なんていうか…クレイさんはこういったプレイが…
でも安心した事もあった、その…なにがというか…大きすぎず、小さすぎずで…良かったぁ
映画に出てくる人たちって大きくて…ちょっと心配だったから
不思議なのは日本と外国でエルフの…サイズが違う気がするのよね、日本って小さい方が主流…年代が新たしい作品になればなるほど緩和されるんだけどさ、何か有ったのかしら?
「わぁぁ!」
今日二人が見ているのは喋る車のアクションシリーズドラマ、駐車場にずっと置いたままで乗っているところを見たことのないクレイさんの愛車にちょっと雰囲気が似てるかも
乗らない理由は
「土地がねぇ~合ってないのよ悲しいことに」
舗装されたアスファルト向きで未舗装の道は駄目みたい
「駄目ってことはないけど、壊れたらここじゃ直すの大変だからまだ乗りたくないの」
とこっちの心を読んだ答えも返ってきた、道具や乗り物を大切にするクレイさんらしい答え
ドラマを二話観終えた二人が帰るとコレクションの中から私チョイスで選んだ映画を観る、今日選んだのはスパイアクション物だと教えてくれた、ドキドキハラハラの連続!主人公の記憶が無い所為で謎が深まっていく!こちらの世界にはない技術についてはクレイさんという最高の解説者が居てくれるので悩むこと無く観れる、これが旦那さんなのだからもっと最高!
こうして軟体動物のようにふにゃふにゃのクレイさんとドキドキの連続でカチカチの私の二人の休日はまったりと過ぎていくのだった
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