59:まっちゃんさんのバイタリティ
遅刻すいません。プライベートの絡みでしばらくはこの時間帯に投稿になるかもです
「これよう、これと同じか?」
「#”&&%$&&”です」
「へぇ~」
何故か伝わっているし、まっちゃんさんも全く臆することもない、そして二人が口にしているのは同じ煙草
クレイさんに言われてから私も思い出した、映画の中での小人族のこと
モクモクと煙を上げえるパイプが画面中に有ったこと、話し合いでは里に行き来できることを伝える際に特に話に加わることもなく、まっちゃんさんに外で煙草を吸って暇をつぶして貰っていたのだけど小人族達が興味を持ったのだ
パイプと煙草では吸い方が違うらしいけど気になって仕方ない小人族、話し合いの最中でも族長はチラチラと煙を目で追っていた
ここに来てからのストレスに煙草の禁断症状も手伝ってわらわらとまっちゃんさんに群がり始めた小人族、身振り手振りで煙草について教えてほしいと強請っている様子は子供が玩具を求める姿にしか見えない、れっきとした大人なんだけどね
まっちゃんさんは
「これか?吸うか?」
吸い方を指南し、小人族の持つ煙草にまっちゃんさんは指を鳴らしてあまり得意ではない魔法で火を点ける、この姿は中々点かないライターみたいでちょっと面白い
思い切り吸い込んだ、小人族の男性は思いっきりむせる
「大丈夫かよ、別に煙草は減らねえから好きなだけ吸えよ」
そう、煙草も丘から出るか吸いきればまた元に戻る物なのだ、七つ以上の構成でも増える例外品の一つ
そこかしこから一斉に咳き込みが聞こえてくるとまっちゃんさんは堪らずガハハと笑いだす
咳き込みながら小人族も苦笑い
全く言葉がわからないはずなのに凄いなと思って居たけどまっちゃんさんが言うには
「俺が若い頃なんて、日本語できねぇ出稼ぎとか普通に居たからなぁ、慣れだ慣れ」
寄り添うというのはつくづく難しい、クレイさんの言っていたどれが正しくて間違っているという問題じゃないという意味が判る気がする、この場合はまっちゃんさんの様にするのが小人族にとってきっと正解に近いんだ
今日は里帰りの第一便トラックが出発する日
護衛として先遣隊のメンバーと共に小人族を乗せた15tトラック、運転手さんはまっちゃんさん
道路さえ通ってしまえば15キロなんてあっという間
「わしは里の長なんじゃが…」
でーんと動かずがもっとーのドワーフの族長も今日は通訳として同乗してもらっている
小人族は前回は持って来ることの出来なかった荷物や作物の苗や種などをトラックに乗せ始めた、種族としてサイズが小さいお陰で15tトラック一台で余裕の荷物量
、、、これもしかしたら行けるんんじゃない?
「クレイさーん!」
私は思いついたアイデアを旦那に相談してみた、そして数日後
「すら~すら~すら~」
腕を上げて手を回すような仕草でラフテレーンクレーンに指示を出す、まっちゃんさん
「#$%&$##!!」
心配そうに何かを呟いている小人族に
「でーじょぶ、でぇーじょーぶだから」
任せとけと言わんがばかりの笑顔を返して巧い事トレーラーに『小人族の家』を載せるまっちゃんさん
「3.8メートル超えるがまあ切符切るやつも居ねえからな」
笑いながらそう言うまっちゃんさんにノウミさん達ドライバー組が皆笑う、もうこの世界に来て3年目だと言うのに一度身に付いた事は忘れないみたい
一日一軒ペースで13件の家を運ぶ予定になっている、亡くなられた小人族の家も壊さずにここに残すことに決まっているのは生きていた証であり里そのものは無くなっていない事を示す以外にも、今後も荷物などを置いたりして利用する
他人の家を勝手にと思うかもしれないが、主を失った家というのは驚くほど早く朽ちていく
朽ちて行かぬ様にする工夫でも有るのだ
ショベルカーを操るよっしーさんが慎重に次の家の周りを掘っているのを小人族達は興味深く見ている
「ま…ま…まも」
小人族の子供が私に向かって何かを伝えようとしている
「えっと…」
ショベルカーの足を指差し
「まも!まも!」
まも?なんだろう判らない、今日はドワーフの族長もその息子のヤノットも来ていない、私の袖を引っ張ってずっとまもまも言っている
騒ぎ…というほどでもないんだけどその様子を見てクレイさん達も集まってくる
「何だ坊主、何か向こうにあるのか?」
ブンブン首を縦に振る子供を見て、他の小人族を見たけど他の小人族は判らないみたいだった
「こりゃあ、付いていくしかねえな、坊主!案内頼むわ」
小人族の子は更に首を縦に振ってまっちゃんさんの手を取り森へと歩き始めた
森の中は木々が茂り道に見えない場所をかき分けて歩く、本当に何処へ連れて行くつもりなのか
「これ軍道っぽいな」
いやただの森にしか見えないんですけど…クレイさんに私達とは別のなにかが見えているみたいだった
「ほらあそこ、石垣が有る」
いやだから…うちの旦那の特殊能力(ただの趣味)がいかんなく発揮されているんだけど他の誰も指摘されても判らなくてうなだれているのは可哀想でも有る
「ま~も!ま~も!ちーは!ちーは!」
さっきまでと打って変わって嬉しそうな子供の様子から先に待っているのは危ないものではなさそうで少し安心する
子供が立ち止まる、此処が目的地のようだけど土砂が崩れていてかろうじて子ども一人が通れそうな穴が有る
「ちーは!ま~も!」
小人族の子供は石を運ぶようなジェスチャー、どうやらここの土砂を退けて欲しいみたいだった
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