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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
三章:コンクリートの国
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58:心の壁

「以前お主の里のエルフと人がつがいとなり褐色のエルフが生まれたと言ったことは覚えておるか?」


「はい、覚えております」

そう、人とエルフの混血がダークエルフだと精霊様は言った


「お前たちの見つけた地はその祖となった番の男が居った、その男だけでなく仲間も居ったが最終的には皆、方々へと散っていたのじゃ」


「では他の人達は」


「判らぬな、この森を離れた者まで見守るほどわしも暇ではない、最初のうちは色々とやっておったがのう次第に一人、また一人と居なくなっておったわ、わしとしても違う世界のことわりに引っ掻き回されるのはごめんじゃったからな、それらだけではないぞこの世界と何処かの世界が干渉した際にこういった事が起こるのじゃ、もっともさっきも言った通りわしはこの森のことしか判らぬからな他所のことはしらんぞ、じゃがこの丘や褐色のエルフ達の祖の様に別の何処かからこの世界に来た者たちは他にもおるじゃろうな」


ゴブリン達は元人間なのだろうか?それとも別のなにか…


「まあそういう事じゃ、しばらくすれば其奴も回復するであろう、立会人になったのにさっさと死なれてもわしの威厳に関わるからな…それよりも飯をはよよこさんか」


本音はそれ?さっきもう帰りたいとか言ってなかった?でも助けて頂いたんだし邪険にするのも申し訳ない


穏やかなクレイさんの寝顔を確認して私は精霊様へのお礼(料理)作りに勤しんだ



こちらにやって来れた小人族達は50人、元は100人以上居た集落が半数にまで減り今まで通りの生活自体が困難となり移り住んできた、クレイさんを見舞いに来てくれていたけど彼らの精神状態も解放されたことで一時的に浮上しているのかもしれないけどしんどいはずだ


長は殺され、長の家族も殺された、率いるべき者が居ない状況


暫定的に選ばれた小人族の新しい長は押し付けられたと言ってもいい、誰もこんな状況で長になど成りたくないのは火を見るより明らか、その気持ちは痛いほど判るそれが直系でもないのなら尚更だ


別に奴隷でもなんでもないのだけれど…新しい長も残りの小人族も目線を合わせず、人目につきたくないと顔に書いてある、それと彼らは最小限しかこちらの言葉を覚えようとしてくれない、コミュニケーションはほぼドワーフの族長を介してしか出来ないのもこの国で浮いてしまう要因になってしまっているのだ


直接救出に向かったクレイさんや先遣隊のメンバーについてはある程度受け答えに応じていても他の種族達への態度はよろしくない


私達エルフやオークのときは大丈夫だったからという楽観的な考えは小人族には当てはまらなかった


クレイさんの件もある何か約に立てると良いのだけれど小人族とは交流もないどころか言葉も解らないし…


こんなときこそ精霊様になにかしてもらえたらと思わなくないけど、あまり表立って下々のことに介入しなさそうなのよねあの精霊様、たぶんこれ位のことは自分たちでどうにかしろってことなんだろうけど



問題解決の糸口が見つけられないまま私達は元の生活に戻っていった


「どうかした?」

クレイさんはまだ療養中で小人族の今の状況については教えてない、あまり心配かけたくなかったから


「なにか困ってるでしょ、ちゃんと話してごらん」

こうなると話すまで忍耐強く我慢されちゃうのよね、体調が回復してからと思っていたのにな私は状況を説明した


「そっか~、言葉も殆ど話せないし難しいよね」

とよしよしされてしまった


「そう言えばクレイさん達は会社に居る外国人の人とはどうやって距離を縮めたんです?」

「ん~、仕事でやって来る以上、最初から最低限言葉は覚えて来てるし全く言葉が通じないってことは無かったからな~、彼らの場合半分強制みたいになっちゃったじゃない、それも良くなかったのかもしれないよね」


「でもそれは仕方がないじゃないですか!」

彼らの里は破壊されて住めるような状態じゃなかった所に救いの手を差し伸べたのに


「どうどうちょっと落ち着いて、ちょっと聞きづらい事を聞くけどシュナ達はエルフの里を離れる時どう思ったのか教えて欲しい」


一度目は考える間もなかったけど…二度目は

「辛かったですよ、でも決断しました」

「そうだね」

またよしよしされた


「長が決断したのならまだ納得がいったのかもしれないけど、ねぇシュナ」

「なんですか?」


「彼らを里に連れて行ってみない?」

「戻すんですか?なんでです?」

見捨てるつもりなのだろうか、思わず睨んでしまう

「違う違う、もう小人族の里までは道も敷設されてるよね?だから旧軍の施設を調べるついでにいつでも行けるようにしてあげたらどうかなって、いつでも帰れるんだって解れば態度も軟化するかもしれないと思ったんだけど」


なるほど仕方がないとはいえ、もうここから出れないのと自由に行き来できるのとでは気持ちは違う


「これはさ向こうの世界での話なんだけど、先祖代々受け継いだ土地ってやっぱり愛着有るじゃない、だから結構な数の人が震災に遭ってもまたそこに住みたいってのは普通の感覚なんだよ、もちろんシュナのように離れる決断をすることだって立派だよ、でもこれはどっちが正しくて間違ってるって話じゃないと俺は思ってる」


クレイさんの生まれた島は戦争に負けた後一時的に占領下になったと言っていた、お父様やお祖父様は別の島に仕事に出かける時はパスポートという物が必要だったとも言っていた…元は同じ国だったのにだ、そうやって時勢に翻弄された記憶をクレイさんは受け継いでいるのかもしれない


ものは試し、明日は俺も一緒に行くからとクレイさん、通訳の族長、私と何故かまっちゃんさんの四人で小人族に話をしに行くこととなったのだった

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