50:第二ビニールハウスと田んぼづくり
本日投稿二話目、よろしくお願いします
冬も終わりが近づき雪が降る日も減り、降ったとしても残ることも無くなってきたある日
ビニールハウスの隣にもう一つビニールハウスの建設と言っても二号店のような大規模なものではないけど、今までのビニールハウスを便宜上第一ビニールハウス、今回のが第二ビニールハウスこっちは規模としては第一の半分サイズ残りの半分は水田にして稲作り、稲は少ないけど…まあバケツで育てたところがスタートだからね、水田を使いながら増やしていく、まだまだ収穫できるような量じゃないけど育てる側にも水田に慣れるためなのだとクレイさんは言っていた
第一ビニールハウス自体全部の面積を作物で埋められていたわけじゃない、まだまだ農地にゆとりは有るけど、土地が痩せる可能性を嫌って今年の作付けは第二ビニールハウスで行われる
空いた第一の方には私にはまだ理解できないのだけど土地がアルカリ性なのか酸性なのかというのを事前に検査、そしてこの冬の間に溜まった鶏糞とヤンゲの糞に枯れた昨年の作物の藁を混ぜて作った肥料を蒔いて土と混ぜて土地を回復させる、ということらしい
「はーい、みなさん、皆さんのご飯育てましょうね~」
ガルシアさんが子供たちを集める
「「「はーい!」」」
オークの子供たちが集まってそれぞれの受け持ちの畑が言い渡され元気いっぱいに鍬を振りザクザクと耕し始める、去年は途中から作物を育て始めた子達だけど、今年は最初からだワクワクが伝わってくる
それにしても土の上には白?灰色?の粉が乗っているけどあれは何?
「すいませんガルシアさん、この粉なんですか?」
「あ~これね、石灰よこれで土の栄養バランスを整えるのね、もっと凄い肥料も開発してるからもうちょっとすればどんどん作物育つよ」
事前に調査したとは言っていたけどそんな事までできるの?
「じゃあもっと蒔こうよ」
「だめだめ、蒔き過ぎてもいけないのみんなもお肉好きでもお肉しか食べられなかったら嫌でしょう?土も同じよ」
「うん判った、パンも食べたいもん!土さんも一緒だね」
「そうそう」
ガルシアさんが子どもの頭を優しく撫でればエヘヘと照れるオークの子、今年の収穫が今から楽しみね
外に出れば水田に水を引くために排水路兼用水路に水車を取り付ける工事の下準備と田んぼ作りが始まっていてクレイさんがその様子を見ている、もしかして田んぼも作ったこと有るのだろうかうちの旦那様は…
「え?無いよ、友達の家の田植えは手伝ったことは有るけど、うちは農家じゃないからね」
てっきり農家もやったことあるのかと
「せいぜい家庭菜園程度だよ」
「本当ですかぁ?」
万能すぎてつい疑ってしまう
「ほんと、ほんと嘘じゃないよ」
別に悪いことでもないのにとりつくろうとするクレイさんが可笑しくて笑ってしまう
「なんか変だった?」
「そうじゃなくってですね、ふふふ」
「家庭菜園で思い出したけど今から見に行かない?」
「見に行くですか?あっ、良いですよ行きましょう」
私達の新居の土地ね、丘の途中で大将さんの一号店のお向かい、不思議なことにそこは転移する前まではお家が有ったそうなのだけどそのお家は一緒には転移してこなかったのだとか
お家ができれば大将さんはお向かいさんになるのだ、ぼーぼーに生えていた雑草も刈り取られて綺麗なと言っては変かな?更地になっている
「ここからそこまでが家でそこまでが庭で」
「じゃあここがダイニングで」
そうやって妄想し合って新居について話し合う
「ここに家庭菜園を作って」
「あぁ、だから思い出したんですね」
「うん、育てたものを摘んで朝食に入れたりさ」
「いっぱい取れたら大将におすそ分けしたりとかね」
うんうん、それで子供が出来たらリサちゃんと一緒に遊んだり仔たぬきちゃん達が面倒見たりしてお兄ちゃんお姉ちゃんしてくれて…
『お姉様って呼んでいいの?』
あどけない幼い日のユフィ…もうあの日には戻れないのね、私はもう迷わない大切なものは此処にある、たとえあなたと一生わかりあえなくても構わない
ふっと後ろから抱きしめられた
「心配ないよ」
顔に出ていたかしら
「ありがとう」
「シュナ…最近俺と敬語じゃなくて普通に喋ってくれるようになってきたよね、嬉しい」
特に意識したわけじゃない、気づけば自然とそうなっていたもうこれが私にとっての普通なんだ
普通というものが愛おしい、とても幸せなことなんだ…
大将さんと手を繋いで帰ってきたリサちゃんに見つかるまで私達はそのまま幸せを噛み締めていた
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