49:コンクルザディアのエンタメ事情
本日投稿一話目
ゲェェ~! ゲッグ~!
「いけ!そこだ!」
「負けるな!お前に賭けてんだ!」
雪解けが近づいているがまだまだ寒いというのに熱気のこもった声が飛ぶのはゲラ鳥の養鶏場だ
気性の荒いゲラ鳥を使った賭け闘鶏
エンタメの少ないコンクルザディアにおける土曜日限定公認賭博、発案者はクレイさん…
とはいえ賭けられる金額は少額で五回連続で勝つゲラ鳥を当てられれば丸々一羽ゲラ鳥が貰えるというもの食卓が賑やかになるといったもの、ちなみにゲラ鳥を〆るのもクレイさん
無表情で首を…する姿はちょっと怖いけど
「いやぁ、家帰って風呂入ろうとしたらバケツに◯神家した鳥を見た時はしばらく食べれなかったよ」と遠い目をしていた、お義父さんの仕業らしい
ゲラ鳥の養鶏は順調でだいぶ数が増えてきたのでただ食材として〆るのなら賭けにすれば皆も盛り上がるのではないかということだった
それと闘鶏で戦った後のゲラ鳥の方が肉が解れて美味しいとクレイさんは言う、かなりガッチリしてるからねゲラ鳥…向こうの世界の普通の鶏と比べるとムキムキマッチョ筋肉質の体は柔らかくするのにとても時間がかかるから一石三鳥、いや強い鳥が生き残るので血統的にも良い鳥になるので一石四鳥なのだとか
うちの旦那が何を目指しているのか判らない件
エンタメと言えば宴会場…じゃなかった温泉隣接のレクリエーションルームでの映画上映会以外に最近はノウミさんがドローンで撮影した動画も好評
森に住む動物や魔物を画像で安全に学べるため親子連れで見に来る事が多い、種族に関わらず子供に危険を教えたいのはどの親子でも同じ、撮ってきた映像に森に住んでいた大人のオークや私達エルフから注釈も入るので熱心に聞く親と好奇心を刺激される子供達
映画の好みも種族や性別年齢で人気が分かれる
ムキムキマッチョな男性がバッタバッタと悪漢たちを懲らしめる映画はオークや子供たちに人気だし、物作りのドキュメンタリーでは
「すげえ、すげぇよあんた達…」
感極まったドワーフがよく泣いている
恋愛ものには種族の壁はなく女性陣は推しの俳優女優に歓喜する
男の子たちの一番人気は怪獣映画、クレイさんのコレクションだ、その中でも怪獣の王様と子供たちの味方怪獣の人気がすごい、どちらが強いかで喧嘩にまで発展するのはどうかと思うが…
女の子たちはどちらかと言うと大人の女性の色恋や仕事の映画に憧れを感じるみたいで将来はあんな仕事やこんな仕事に着きたいといった感想が多くて夢では有るけど現実路線の子が多い
意外だったのはホラー映画が人気が高い
これはどちらかと言うと仔たぬき達の件のように怖がらせることで道徳を学ばせたい親の需要が高いのだ、向こうの生活と比べて魔物や危険の多い世界、こういった形で覚えてもらうのが子供たちが怖がるという事以外安全にしちゃいけないことを教えるのに手っ取り早いということらしい
特にサメの映画は泳ぎが得意ではないオークの親たちがこぞって水辺に近寄らせないように子供たちに見せている、水自体怖がりそうでやり過ぎもどうかと思わなくもない
子供たちのエンタメで言えばベーゴマなるものが流行っている、工場の資材のカスでも作れて男女の力の差なく戦える、発案者は工場長さんや親方衆で子供の頃にやっていた遊び
「僕の頃にはもうなかったなぁ」
とクレイさんは世代じゃないということであまり強くないのだとか
種族別で言うとベーゴマはドワーフの子が強い、負けるとすぐに改良したりベーゴマの回し方を編み出したりと種族的に合うようだ、負けられないオークの子供たちは力勝負、テクニック対パワーでなかなか白熱している、そしてベーゴマにより超ベテランの親方衆は四天王として恐れられているとか誰が弟子入しただとか、まことしやかな噂まで飛び交っている
ベーゴマがここまで流行った要因としては
「僕だけのベーゴマ…」
目を輝かせる子供、そう一つ一つドワーフの手によってコマの上面に字やマークを入れてもらえるこれが大きい、自分だけのオリジナルというのは小さな子供たちにとって魔法のような魅力があるのだ
保育園では園に残っていたかるたが人気、言葉や日本語を覚えるのに一役買っていてエルフ文字や共通のドワーフとオーク文字板の制作も進められていたりするし、保護者参観も子供たちの成長を感じられると親からの受けも良い、工場長さんはもちろん参観日皆勤賞、毎回泣くのはどうかと思うけど
今回は音の鳴るコンクリートピアニカの演奏会で楽器を弾く子供たちに感動した親が多くいたのは確かだ
実はコンクリートピアニカは試作品よりデチューンが施されたものが採用されていたりする鍵盤を大きめにしたのと、魔力を一定量をちょうどよく込められれば綺麗な音が出るようにしたのだ、これで子供たちは魔力のコントロールが上手くなる、うまく弾けないと苦手意識が付いてしまいそうなのが怖いから初心者用と慣れた子様の二種類用意、初心者用は多少アバウトでも音が鳴るようにしてある
ピアニカを取り入れるときには
「楽器だなんて将来の仕事には関係ねえ」
と言っていたドワーフのご両親も実際に弾いている子を見て
「うちの子天才!」
と喜んでいたのだから現金なものだ、もしかしたら向こうの世界の音楽家という職業につく子供がいつかこの世界にも生まれるかもしれないと思う私も充分親バカなのかもしれないけどね
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