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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
二章 コンクリートと魔法
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47:基礎工事

本日投稿一話目、午後に二話目も投稿しましたのでよろしくお願いします

春を待たずに大将さんの二号店建設の基礎工事が始まった


規模としては人族が15人入れればやっとだった1号店からスケールアップしてオーク30人が入れるサイズで後々拡張して50人まで入れるように設計されている


場所はオーク居住区の隣、鉄板居酒屋だけど実質オーク達の食堂の色が強い


オークが運営する事を前提としているから厨房エリアも広々、問題だった冷蔵庫に関しては私の作ったた燃えるコンクリートの逆の構成で魔法陣を汲んだ試作、冷えるコンクリートが使われる予定、開発を急がなくっちゃね


今はなにもない大地にスプレーで杭を打つ場所に線が引かれ、細い棒が刺されていく全ての場所に刺し終わると黒板に作業内容を書いてそれをカメラで撮影する


「本当に自分が入っちゃって良いんですかね?」

「記念ですから」


本当は作業の確認用なのだけど、初めての店舗建設ということでカメラのフレームの中で黒板を持っているのは大将さん、記念撮影というわけだ


今の一号店は居抜きと言って別のお店が辞めた後に入ったもので、新築は初めて


「ここが厨房エリアであそこがお会計、入口が~」

設計図を見ながら建った後の想像をしている大将さんとオークのママさん達とても楽しそう


「はいはい、危ないよ~」

警備員と書かれた腕章をつけたオークが注意をする、水槽と呼ばれる人が泳げるんじゃないかって大きさの鉄の箱や発電機にサイロが次々とトラックに載せられやって来てクローラーと呼ばれるクレーンが釣り上げて降ろす


現場周りには鉄のパイプと薄い鉄の板で衝立が力自慢のオークと手先の器用なドワーフ従業員によって組まれていく、飛散防止と言って工事で出る泥や汚れが外へ飛び散らない為の配慮と騒音を減らすためのもの


ここに住む人達は気にしないと思うけど、技術や手順というのは一度辞めてしまうといざ必要となったときに出来る人が居なくなるから継続した方が良いんだってクレイさんが教えてくれた


そう言われてみれば私達エルフの間でも昔は楽器が有ったという話を母様から聞いたことが有る、でも誰も使わなくなり、その楽器のことを思い出したときには弾き方どころか楽器の作り方も誰も知らなくて…


一度途切れてしまったものは、技術にせよ文化にせよ取り戻すには大変な労力が必要なのだ


今日は工事の下準備まで、オーガと呼ばれる杭打ち機が低床トレーラーに載せられてやって来る、我が社で一番大きな重機なのだけど今はタワー部分は取り外されている、肝心のタワー部分は別のトラックに載せられている


高さを調整したウマと呼ばれる台の上にクローラーによって降ろされていく分割された横倒しのタワー部分、これをボルトで繋げていき最終的に本体であるオーガに取り付けクローラーの力を借りながら垂直になるまで起こす


このオーガを組み立てるだけで二日から三日もかかるというのだから大変だ


今回の工事に使われる杭は500と呼ばれる規格、簡単に言えば50センチのもの、家を立てるくらいなら300という小さいサイズでいいのだけどオーガが大きすぎて500から1000オーバーまでしか対応してない


大きすぎるけど施工には問題ないという事で500を使う、ノウミさんがこっそりと教えてくれたが在庫処分なのだそうだ、言われてみれば接合部分の金属部分が錆び始めている杭も見受けられる、工場やビルを建てるためのものなのだから使われずに文字通り錆びついていくのも頷ける


オーガの組み立ての隣では

「すらーすらーすらー」

ノウミさんが杭を載せたトレーラーの荷台の上で25tラフタークレーンに指示を出して杭を降ろし始めている、一本10メートル数百キロから1t程もある杭をたった二本のワイヤーを使って吊る杭の中心を間違えれば杭が傾いて落ちてしまうけどきっちり均等にバランスが取れている


流石はその道のプロ、銃の使い手のイメージが有るノウミさんだけどこっちが本職だった事を思い出した、ラフタークレーンを操縦するよっしーさんとの呼吸もぴったり


「こら!入るな!」

いつもはひょうひょうとしたノウミさんから厳しい声が飛ぶ、興味津々のオークとドワーフの子供が近づいてしまったのだ、大人の私でも少し怖いくらいの声


普段は優しい彼らがこういった声を上げる時はいつも命に関わる時、その豹変ぶりに子供たちは泣き出してしまったけれど、泣かれるのと死なれるのとでは話が違う


慌ててオークの母親が子供たちを捕まえて後ろに下がるとほっとした表情のノウミさん


杭には下杭・中杭・上杭があって岩盤までの深さによって下と上だけだったり、中杭を増やしたり、短い杭を使ったりと様々、温泉のときとは違ってボーリングではなく音波だか電波を出す機械を使って岩盤までの深さを確認していた、温泉のように岩盤よりもより深い場所では使えなくてもこれくらいの深さならこれで良いんだって、それでも一箇所はボーリングで実際の土をサンプルとして採取していたけどね


三日後にはオーガが組み立て終わりそびえ立つオーガのタワー、一体何十メートル有るのだろう


タワーにはドリルが取り付けられていてスプレーでマーキングされた真上から掘り始める…と思いきやまた黒板を持ってきて写真を撮る、掘る場所全部やるんだろうか?


やっと掘り始める、掘れる限界まで行くとドリルと機械を切り離しもっと掘れるように棒を継ぎ足していく、ボーリングや井戸を掘ったときと同じ要領だ


オーガから伸びたホースが水を吸い込みドクンドクンと揺れる、一定の深さまで行くと機械の力だけでは掘りにくくなる、上から水をドリルに送り込み水の力で土を柔らかくして掘っていく、そのために水槽が必要なのだ、やがて水混じりの泥が穴から上がり始める、ショベルカーが近づいてきて泥を掬っては別の場所へと退けて行く


ドリルの傍では手元と呼ばれる作業員さん…今日はお手本ということで経験者のクレイさんが棒でドリルに付いた泥を落としている、見ているだけでもおっかないけどこれが普通なのだという


傍で見ているオークの新米作業員さんの腰が引けている、やっぱり怖いわよね…


クレイさんが新米君を連れてサイロに行く、セメントミルク工法という工法で水だけでなくセメントを流し込みながら作業するということらしい


サイロに有る撹拌機に上から袋詰40キロの粉のセメントを入れて水と混ぜる、水よりもセメントが多すぎると撹拌機の中でセメントが水和反応によって高熱で固まってしまうので適量を入れ続けなければいけない


「ミスって撹拌機が止まった時は削岩機で全部セメント剥がさないといけなくなってマジ大変だった」


とクレイさんが泣きそうな顔で話してくれた、セメントは生物なまもの


力自慢の新米オーク君がどうやら入れすぎたようでクレイさんに叱られていた

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


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よろしくお願いします!

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