41:冬の日々 その2
本日投稿一話目になります。二話目は15時か19時には投稿できるかと思います
各民家では屋根の上をオーク以外の種族が下にはオーク達、軽い種族が雪を落としてオークが通りに雪をホイホイと掻き出して最後はブルトーザーが門の向こうへと掻き出している
ギャリギャリギャリギャリ
無限軌道と呼ばれる脚の音が響きバキバキと路面の氷が割れる、重量の重い重機でも路面が壊れないように向こうの世界での道路よりも分厚く作られている
これもクレイさんの案で日本では戦車、映画で見たから形は知っている、重機の上に大きな銃を乗せたような機械それが走れる様に出来ていないそうで無限軌道の上にゴムを貼って通るらしい、どうせゼロから道を作るのなら重機が乗っても耐えられるようにしましょうよ!ということで分厚くなったそうだ
ある程度の雪を掻き出すと今度は雪を里の中心の広場に集めだす子供好きのワンさんが気を利かせて子供たち向けのすべり台とかまくらを作るためだ
「近づいて邪魔しちゃ駄目よ」
オークの親子、子供が雪をものともしないブルトーザーやショベルカーに夢中になりすぎて母親に注意されている
高々と積み上げられた雪に子供たちはわーわーと大はしゃぎ
クレイさんから聞いたことが有る、向こうの世界で災害に遭って避難所にいた時、明日はどうなるのかと落ち込んでいたときだ元気いっぱいの子供たちの声に救われたと言っていた
カツカツのこんな時だからこそ子供たちには元気でいて欲しい
器用にショベルカーのバケットの背を使ってぺったんぺったんと雪を固めていく運転手はよっしーさん
オークの大人が滑っても問題なさそうな幅の滑り台が出来上がり重機が下がって滑っても良い許可が出ると我先にと子供たちが群がり始める
冷た~い!楽しそうだけどおしりが濡れてしまっている
そうだ!私はある物を作ろうと研究棟に向かう、ついでにネコ車と呼ばれる資材や土を運ぶ一輪車を二台借りてくる
セメントと水を混ぜてネコ車に張り硬化の魔法陣を書く、固まる前に穴を二箇所開けてもう一台のネコ車の荷台部分を外してセメントを張ったネコ車の上にペタン
もういいかな?
パコンと上の荷台部分を剥がせば強化セメント製ソリの出来上がり、通りかかった子供たちに紐を通して使ってねと渡してはパコンポコンと何台もソリを作る
これでお尻が濡れることもないでしょう
子供たちに大人気のソリがこのあと世の奥様方に冬の間の荷物運びにちょうど良いと増産され、挙句の果てに狩猟で獲ってきた獲物を乗せたいからと大きめサイズで更に増産されまさかの大ヒット商品になるなんて夢にも思っていなかったけど
事務所に帰ると良い匂い、石油ストーブの上に乗った寸胴からクレイさん特製カレーがコトコトと煮込まれている、この石油ストーブの燃料の灯油は減らない、でもストーブ自体は丘の外に持ち出しても増えない、やはり部品の数なのだろうか
増えるもしくは減らないものは転移してきた時点で丘に有った物のみで部品が有る物は丘の外に出しても増えることはない、今はこんな感じか、前にも考えたけどバラバラにして丘の外に出したら増えるのか調べてみたいな
「おかえり~」
「ただいま」
クレイさんはデスクで編み物をしている、ほんと色んなことするな私の旦那様は、お母さまから教えてもらったらしいけど小学生のときに手芸クラブに入りたいと言ったらクラスでバカにされたそうだ男の趣味じゃないって
別に男性がしても良いと思うのだけど良くわからないな
何を作っているのか聞いても
「内緒」
と言ってにこやかにかわされてしまう、形からして手袋とかマフラーじゃないのは判るんだけど何なんだろう
煮込まれているカレーはクレイさんの分を取り分けたら、あとは鍋ごと持って帰って私達エルフと仔たぬきズで食べて良いことになっている
ちなみに味付けは仔たぬきズの事も考えて甘口に仕上げられている
旦那の女子力が高すぎる件…嫁として負けられないわ
「ママーおかわり~」
子供たちはカレーが大好き私達もだけどね
「もう少し辛味と言うか酸味が欲しいですね」
メーベ的には物足りなくなって来てしまっているみたいなので
「酸味ならソースをかけてみると良いんだって」
クレイさんから教わったアレンジを教えてあげる
「まろやかさが欲しければマヨネーズを掛けてもいいみたいだし、色々アレンジが効くから色んな調味料を試してみましょう」
カレーのたびに醤油や七味、家にある調味料という調味料は試し尽くされソース派、醤油派、マヨネーズ派、マヨネーズ&ウスターソース派、ソース派の中にもお◯ふく派、カ◯メ派、ブルド◯ク派、イ◯リ派etc派閥が生まれてしまいこれこそが至高だ究極だと譲らない争いが発生する事のだがクレイさんの
「他人の好きを否定するならもう作りません」
の一言でエルフ一同土下座、エルフカレー戦争は鎮まったのであった
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