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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
二章 コンクリートと魔法
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39:たぬき温泉開業

2024/12/3改訂

「出た!出たよシュナ!」

バタンと引き戸が外れるんじゃないかってくらいの勢いでクレイさんが事務所に飛び込んで私を抱きかかえてくるくると回る


「おめでとうございます!温泉私も見てみたいです」

うんうん行こう行こうと満面の笑顔のクレイさんに連れられ温泉へと向かう、楽しみだなぁ、あれ以来気になった私は温泉の写真を眺めたりして待っていたのだ、一面の湯けむりの中で湯に浸かるのが待ち遠しい


現場には工場長さんと品管主任さんもいて何かしてる、あれ一面の湯けむりはどこ?


ドラム缶に注がれているのが温泉らしい、イメージと違いすぎる

「触ってみる?」

肩透かしを食らったまま湯気も出ていない温泉に触れる

「ぬるい…」

「まだ表面だからね、これから熱くなると思うよ触れないくらいになるかも」

ばっと手を引き抜いた


「ええ~!それじゃ入れないじゃないですか!」

「ここから里まで距離も有るしパイプでビニールハウスの周りも通るそれまでに冷えるだろうし、温度がそこまで上がらなければシュナの燃えるコンクリートで温める」


掘るだけじゃなくその後のことも色々と考えてるんだ


「これからも忙しいよ設計は済んでいるけど里まで鋼管で繋げてハウスの周りを掘ってそこを通すようにして道路は~ちょっと今年は無理そうだけど温泉に入る施設も作らないと」

クレイさんの中で色々と計算が進んでいるみたい


「そういえば工場長さん達は何をしてるんですか?」


「ああ、あれは温泉の成分やガスが発生していないかとかだね、温泉にも色々有っておそらく火山性だとは思うけど危険がないかどうか調べている所」


湯が湧いたら終わりではないみたい、これは向こうの人なら当たり前なのか?それとも日本人の習性なのか

「おんせん~おんせん~♪」

これほどクレイさんを子供のようにはしゃがせる温泉に私も早く入ってみたい


温泉が出たというその一報に工場の従業員さん達も湧いた、それはもう尋常じゃない位に


その熱量、情熱にドワーフやオークも当てられて温泉を敷く作業は進んでいった、食料が減っていく中で新たな目標が生まれるのは良い気晴らし…希望と言っても良いだろう


地中に埋設される温泉の通り道の鋼管がラフテレーンークレーンによって運ばれもう慣れたという感じでオークがラフテレーンクレーンに指示を出している


接続される鋼管の溶接はドワーフ、いずれはラフタークレーンの操作もドワーフが行う日がやって来る


私達は変わっていく、もう昔の生き方に戻れはしない


人族との交わりが私達やこの世界をどう変えていくのか、学び続ける先に何が有るのだろう


彼らの国に起きた悲劇、そして終わらない争い


いつかやってくるのだろうか、こんなに彼らは優しいというのに彼らの世界に何故そんな事が起きたのか


「クリシュナさーん」

ユカリさんが手を振りながらやって来る、そうだコンクリートの楽器の試作品が出来たんだった


研究棟に行って試作品を弾いてもらう、音階についてはまずまずらしい、触れるだけで音の鳴る感じに慣れるまで時間がかかりそうだと言うが楽しそう


どんな道具も使い方次第、彼女を見てそんな当たり前のこと思い出す


赤いコンクリートの使い道はまだないけど保育園のアップライトピアノと呼ばれるピアノと同じ黒と白で鍵盤に色を付けた、なんてことはない細工だけどユカリさんは喜んでくれてセメントペーストで作った『ピアニカ』の試作第一号は上々の評価を頂いた、ネックは重いこと子供たちに使わせるには重すぎる


本当はピアニカは空気を送り込んで鳴らすらしいのだけど重量さえ軽くしてくれればこれでいいとのことだった



コンクリートで作られた大浴場、向こうの世界の露天風呂からすれば風情がないかもだけど、それで良い、私達の生活を豊かにしてくれるコンクリートこそ、この里の温泉に似合っている


温泉の名前は発見者の仔たぬきズにちなんで『たぬき温泉』と命名された

ちなみにたぬき温泉には私達(エルフ)の中からオトジアが勤めたいというので私の方では許可を出しておいた、ちょっとおっちょこちょいなところが有るけど頑張り屋さんな子だから応援してあげたい、実際に採用されるかどうかは工場長さん達が決めるのだけど…


「問題ないでしょう、定職に就かれたいという気持ちは尊重したいですしな」

工場長さんもあっさりと仕事に就けてくれた


「私頑張るっす!」

気合十分なオトジアだけど空回りしないか心配になる




連結された鋼管にいよいよ湯を通す日がやって来た


鋼管の中は鋼管の腐食防止とサビが湯に混じらない為の対策としてスライムの被膜が貼られている、それとメンテナンス用の出入り口も、今日はその出入り口はすべて開いていて湯の流れをチェックできるようになっているけど正直言えば湯が流れるのをみんな観たいのだ


源泉は当初の頃と比べて勢い良く熱い湯が湧き出している、今は逆に栓をして止めているくらい


源泉周りも整備され栓が外されるのを今か今かと皆で待っている、栓を抜く役目はこの工事を企画したクレイさん、源泉を見つけた仔たぬきズも見守っている…全員鼻栓しているけどね


さん…にー…いち!


すぽーんと栓を抜けば


どばぁっと蒸気とともに湯が流れ出す


「すごい匂いじゃな」

顔をしかめつつも湯に触れてあっつ!源泉はとても熱いのでと注意されてたのにドワーフの族長が思わず触れてしまった


次々とメンテナンス用の出入り口から湯気が立ち込めて里へと続いていく

その光景に見物人たちから歓声と臭いの声が入り乱れる


里に戻る頃には大浴場に湯が張っていて夢にまで見た湯けむりを見ることが出来た


今のところたぬき温泉は簡易的な間仕切りと脱衣所が有るだけだけど随時建物は更新されていく事になっている


匂いについては心配だったけど、温泉街で働いていたクレイさん曰くすぐ慣れるからという言葉は本当だった


最初のうちはその匂いから疎らだった利用客、里の者は無料だけどこの場合も客になるのかな?も体の芯からあったかくなることや疲れが取れるといった口コミが広がり始めると次第に増え始め、あっという間に誰も匂いのことなど気にしなくなっていった、仔たぬきズを除いてだが


「くちゃい~」

「うんち~」


仔たぬきズが慣れるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ…それと匂いが身体に付くからでしょうね、オトジアが子供達から避けられてて凹んでいた

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


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よろしくお願いします!

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