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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
二章 コンクリートと魔法
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37:用途不明コンクリート

本日投稿一話目、ちょっと今日は筆が遅いので二話目の更新は無いかも?投稿できる場合は15時か19時に投稿させていただきます

秋も深まり、冬の足音も聞こえ始めた日


私の作り出した


音の鳴るコンクリート


固まらないコンクリート


乗せると食べ物が腐るコンクリート


こんにゃくみたいなモルタル


赤・まっしろ・黒の三色の色付きコンクリート、色が付いているだけ


火をあげて燃えるコンクリート…けたたましく火災報知器が鳴り目下炎上中


自由に研究させてくれる工場長さんと品管主任さんでも流石に許してもらえず怒られた、うん私が悪い


消火器でも消えず今は周りに可燃物のない敷地内に燃えたまま放置されている


「なにこれ」

事務所に何か用でも有るのだろう車でやって来たクレイさんの開口一番がこれ、理由を話すとよしよしと頭を撫でてくれた


「でもこれ、凄い良くない?」

「何がです?」

笑いものにでもしたいのですか、恨めしい顔でクレイさんを見れば


「いや本当に、これっていつまで持つの?」

「いつまでって…失敗作なので分かりません」


思案顔のクレイさん

「これって普通のコンクリートの中に入れられたりするのかな?温かいコンクリートなんて冬を凌ぐのに最適じゃん」

あ…そうか、火災報知器の音でパニックになっていて頭が回っていなかった


「で、工場長にはなんて?」

「えっと、怒られたので詳細は何も言ってないです」

そっか~とまた頭を撫でてくれるクレイさん


「俺の方から工場長に話してみるから、一緒に行こっ?」

正直怒られたばかりで気が引けるのだけど、名誉挽回の場を作ってくれているクレイさんに甘えても良いのかな?


むっすり顔の工場長さん、優しい人だと知っているけどやっぱりあの顔は怖い

「工場長大発見ですよ!これで冬を越せます」

ほらほらと説明するように促してくれるクレイさん


説明を終えると、ふ~と息を吐いて今後の研究のやり方についてお小言…ルールを作る事で研究継続の許可をもらえた、研究内容の事前申請と試作品は必ず・・見せに来ること、危険が伴う研究は屋外ですること、それから…それから…多すぎてメモを見ないと思い出せない、そう言えば後でプリントをくれるって言ってたっけ


一緒に帰れるかなと思ったけど杭打ちの親方さんを見つけたクレイさんは話があるからと先に帰ることになった


なんだか二人共神妙そうな顔をしているから大切な話なのかもしれない、出来れば私にも相談してほしいんだけどなぁ



翌日にはもう決まり事のプリントと研究申請書が届けられていた、仕事が速すぎて少し傷つくけど、まあ火事寸前だったし…仕方がないわね


決まり事のプリントに目を通すとお小言…じゃなかった話し合いの際にはなかった一文がついていた、こんな事してどうするのだろう?思わず首を傾げてしまう


『試作品の発表会』


用途のわからない私の作った失敗作が里で一番目立つ広場に並んで晒されている、燃えるコンクリートに至ってはまだ燃えたままだ、なんの嫌がらせだろうか


種族も問わず里の者たち、老若男女に見られる


「おかあさんあれ見て石が燃えてるよ~」

「本当ねどうなってるのかしら?」

恥ずかしい、精神的な拷問かしら…次から次へと里の者たちに見られていく


「せんせー、なにあれ?」

園児たちと送り迎えのユカリ先生の一団に見つかってしまった、子供たちは容赦なく失敗作に触れたり見たり、燃えるコンクリートは予め柵で囲ってあるので火傷することはないけどやっぱり恥ずかしいわ


ユカリ先生が各失敗作もとい試作品の説明書きを読み音の鳴るコンクリートに触れると、私に向かって来る、ずんずんと勢いを増して向かって来る


なに?なんなの?私の手をぎゅっと握り

「クリシュナさんこれって他の音も出せます?出来れば音階で!」

「お、音階?」

送り迎えの途中なのも忘れて鼻息荒く興奮するユカリ先生を落ち着かせて話を聞く、どうやら楽器になるらしい、そういえば映画の中で心地よい音を奏でる指で押す楽器が有った、アレかでも


「音階なんて私は知らないし」

「大丈夫です!私が聴けばわかります!」

押しが強い、グイグイ来る、ユカリさんってこんな人だったっけ?


「でも保育園の方はどうするんですか?仕事中に抜けるわけにも行かないんじゃないですか?」

「うっ!」

仕事の存在まで忘れていたみたいだ、確かに良い音色だったけどそんなになるまで凄いものなの?トボトボと送り迎えのミッションに戻るユカリさん、あとで工場長さんと園長先生に相談しておこ


「なあクリシュナ嬢ちゃんこのぷるんぷるんの常識を無視したコンクリートは硬さ変えられるんかい?」

まっちゃんさんだ


「ええと、硬くする方なら出来ると思います」

顎に手をやり擦りながらぷるぷるコンクリートを見ながらまっちゃんさんが言う

「いやな、車を動かさないとはいえそろそろタイヤがやばくてな、タイヤの形で作ってくれれば交換できるかもしれねぇと思ってよ」


なるほど、そんな使い方が有るかもしれないのか、自分だけじゃ思いつかない発想ね、そうか何も全部が全部使い方まで自分で考えなくてもいいのだ


こんな風に誰かにとって必要かもしれないと考えてもらってもいいのだ、やっと工場長さんが追加したこの条件の意味を理解した、嫌がらせか?なんて思った自分が恥ずかしい


クレイさんが大将さんを連れてやって来た、物が腐るコンクリートに興味があるらしい、流石にこれはと思っていたのに


「まじか!発酵食品作りまくりじゃないか!これならヤンゲの乳からチーズが!大豆が手に入れば納豆も、でも菌がないか?いやチーズの起源は自然に出来たって話もあるから何度も作ればいずれ、いや店の冷蔵庫にあるチーズを使えば行けるか?納豆も有るからいやこっちは大豆が無いんだ、ああぁ~大豆が欲しいぃぃ」

すっごい早口で理由のわからないことを喋ってるけどクレイさんも隣で興奮しているそんなに美味しいのだろうか納豆って


ユカリ先生以上に私の手を握りブンブンと振って喜ぶ大将さんを見ていると、難しく考えすぎていたのかもしれない


ルールを決めて見たことも無い物を作っていれば、いつか誰かが閃いて役に立つかもしれない


研究に効果ばかりを求めて視野が狭くなっていたみたいだ、言葉は少ないけどこうなる事を工場長さんは判っていたんじゃないかな優しい人だ


言葉ではなく実際に見せることで教えてくれた工場長さんに感謝しなきゃ


後日、工場長さんに相談した結果、危険性はないということで私が音の鳴るコンクリートを保育園に持ち込みユカリさんの言う楽器作りをする事になった


保育園の子供たちも魔法陣の構成を変えることで音の変わるコンクリートに興味津々、これはこれで子供たちの魔法と魔法陣に対する興味を引けたので良かったんだと思う


何もかも一人で抱え込まなくったっていいんだ、研究だけじゃないこれからのことクレイさんとのこと、この里のこと、エルフのこと、相談してやっていくんだ


切っ掛けは失敗からだけど、私の視界が広がった、これからも失敗するだろうけどそうやって失敗を糧にして成長していくんだと思えば気持ちは晴れやかになった

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


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