33:この世界の昔話
本日投稿1話目、投稿できれば2話目は19時ごろを予定しています
「昔話かぁ~」
保育園のユカリ先生からのお願いで、子供たちに言い聞かせる昔話を探しているのだそうな、できれば子供たちに注意喚起や教訓になるようなものが有ればとても助かりますとのこ
向こうの世界の童話や昔話は保育園に有るのだけど、こちらの世界の昔話が有ればその方が世界観的にも適しているということらしい
まあ確かに向こうの世界には魔物も魔法もないみたいだから常識が違うと言えば違う
仔たぬきズの一件もあったばかりだ
きっと話を怖がって子供たちが危ない場所へ行かないようにしたい気持ちがあるのだろう、小さい子供のことを考えればもっともだ
夜になり帰っている子達を集めて昔話を出し合って書き留める
沼の妖精もどき
妖精に姿を似せた魔物フェンドラ、森の中で後ろ暗い事を抱えているとフェンドラが現れ沼に誘いこみ沼の中にいるフェンドラの仲間たちに食べられてしまい食べられた者もまたフェンドラになってしまうというもの
サーニャの木の実
食いしん坊のエルフ、サーニャが里の食物庫で見つけた見知らぬ木の実、彼女は皆に黙って食べてしまう、その木の実は嘘を栄養にする木の実、食べてないと嘘をつき続けたサーニャは姿が木になり夜になると自分の過ちを嘆き彼女の鳴き声が聴こえてくるというもの
木こりのソルデとカンデ
兄弟の木こりソルデは木を切っては苗木を植えてを繰り返し自然を大事にしたがカンデは見渡す限りの木を切ってそれを自慢する、やがて木の生えなくなったカンデの土地は痩せ洪水や天変地異に見舞われて死んでしまうというものだ
ガンダルの弓矢
弓の名手ガンダルは旅の行く先々で弓の勝負に勝ち続け次第に腕を過信するようになり大切な相棒の弓をぞんざいに扱うようになってしまう、そんなある日森の中で魔物に襲われたカンダルは弓を構えるが弓の弦が切れてしまう、唯一無二の武器を失って初めて弓を大切にしていなかった事に後悔して涙を流すカンダルの前には弦の張った弓矢、弓のお陰で窮地を脱したカンダルはそれから一生弓矢を大切にしたというお話
それからも話が沢山出てきたが気がつけばいい時間、そろそろ寝ましょうと言うことになりお開きになった
私が眠っているとぐいぐいと揺すられた、見ればアーミンが泣きそうな顔で
「ママ、トイレ…一緒に来てくれる?」
アーミンは今までトイレは一人で出来ていたのにどうしたんだろう?
「いいよ、一緒に行こう」
トイレを済まし出てきたアーミンがぎゅっと私にしがみついた
「ママ、僕フェンドラに食べられちゃう?ロルフに怪我させちゃった、ごめんなさい…悪い事したから食べられちゃう?フェンドラになっちゃうの?」
眠っているとばかり思っていたけどどうやら私達の話を聞いていたみたいで怖くなってしまったのか一人称も普段の俺から僕になってしまっている
怖がらせてしまったけど教訓になっているのなら良かった
「今みたいにちゃんと悪い事したんだって、ごめんなさい出来たらフェンドラは出てこないわ、ロルフたちにもちゃんとごめんなさい出来たものね大丈夫よ」
「うん…でも」
「今日は一緒に寝ましょうか」
ぱぁぁと顔が笑顔になる、怖かったのよね、私も小さな頃は母様に一緒に寝てもらったな、これからは子供たちと一緒に眠る日を設けてもいいかもしれない
一緒にベッドに入るとあっという間にアーミンは眠りに落ちていった、その顔が可愛くて可愛くて私もいつの間にか眠りに落ちていた
「ずるーい!」
「アーミンずるーい!」
目覚まし代わりに聴こえてきたのはそんな声、声の主はアネットとヒルデの女の子組ぷく~っと頬を膨らませている姿も可愛らしい
「私達だってママ達と一緒に寝たいのにー!」
むー!とご機嫌斜めの二人に
「じゃあ今日は二人と一緒に寝ましょうね」
そうやって声を掛けてあげればあら不思議、やった!やった!飛び跳ねて喜ぶ二人、アーミンは一緒に寝ているところを見られて恥ずかしそうだ、残ったロルフにカールにルディは何も言わずにじっとこちらを見ているが
「その次の日はロルフ、ん~ママ日替わりで皆と一緒に寝たいなぁ~」
何も言わないが顔を見れば喜んでいるのは一目瞭然、ルディなんてスキップしている
「姫様ずるいです…」
今度はミュレッタ達がブーブーと不満を口にする
「私達だってこの子達と寝たいのに!カール今日はミュレッタママと寝よっか」
やったっとガッツポーズのカール、こうして次々と今日のママが決まっていく
「はいはい、みんな仕事の時間よ」
パンパンと手を叩いて切り替えなさいと促すメーベ
「私なんてどうせ…」
小声が聴こえてきたけどメーベだって格好良いママとして好かれているのだから自分から声を掛けてみれば良いのに
メーベが仕事に向かおうと…ぎゅっとヒルデが抱きついて
「私メーベママと今日寝たい」
「待ってなさい、頑張ってお仕事してくるわね!」
活力満タンの笑顔でメーベは飛び出していった
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