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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
二章 コンクリートと魔法
32/166

30:1ブロック4km²

ノウミさんのアレとやらが浮かび上がる


空中で静止している姿とその器械から発せられる波動に私は少し気味の悪さを感じる、ドローンというらしい


使ったのはこちらの世界に飛ばされてすぐ、見渡す限りの大森林と川があるのみ、外に出る気もなかったので今まで使われていなかったのだとか、クレイさんの捜索のときにも使ってほしかったと言ったら雨季に落雷、条件が悪すぎたんだごめんと謝られてしまった


専用のモニター付きの画面がドローン君の目…カメラを通した映像が映る、ぐんぐんと上昇していくドローン君からの映像は地平を映し出し次第に地平が湾曲していく


「本当に世界は丸いんですね」

私の言葉にクレイさんとノウミさんが苦笑いしてる、変なこと言ったかな


「これはカメラのレンズのせいだから…ぷっ…」

かぁぁと血が上っていく、知らなかったんだもん、何も笑わなくったっていいのに…クレイさんのバカ!


それにしてもどこまで上がっていくのだろう

「いや~向こうじゃカタログスペック500メートルでも150メートルまでしか飛ばせなかったからね」


なんでも日本では法律で飛んで良い高さまで決まっていたそうで自由に飛ばせるのが楽しくてたまらないみたい


このドローン君の移動できる距離は片道4km、この距離を基準に1ブロック4km²として地図を作成していくことになっている、便利なことは変わりないけど一面森しか映らない場所もあるのでぽんと簡単に地図ができるわけでもない


でも地図を作りながらでも別の使い道もある、確実ではないが森に展開したゴブリンや魔物達の動きを先に見つけられる可能性もあるし、夜間なら明かりを頼りに他種族の里を見つけられる可能性も上がる


そうして作られた地図と情報を元に重機部隊が整地と道路を敷いていく、目下の課題は橋の建築についての知識も技術もない事、川が現れたらそこで道の敷設は終わってしまうのだ


しかしそれはそれ、今はやれることをやる


地図作りをしながら種子の採取や動物の生け捕り、動物と魔物の特性のデータ取り等々、先遣隊に課せられた任務は多岐にわたる


先遣隊のメンバーは人族からはドローンを操れるノウミさん他の種族からは二人づつが選出されオークとエルフからはクレイさんの救出でも共にしたスワンザとミュレッタも居る


もっと複数の部隊をという声も上がったけど、ドローンが一機しかいない事と後方での道作りの人数を考えると四方八方にバラバラに動くよりもまずは指標となる道を作ってからの複数展開のほうが望ましいということで先遣隊は1グループでという話で落ち着いた


工場事務所では事前にドローンで撮影した空撮の映像を元に工事の打ち合わせ、工程の順序や方向性を決めていく、この席には先遣隊も参加して情報を共有、後方での工事と連動して動くことを確認しているのだけど…クレイさんがドローンのときのノウミさんみたいにニヤニヤしている…これは自分の道具を自慢したいときの顔



スターターという紐をクレイさんが勢いよく引けばけたたましい音が運送部の駐車場に響く


チェンソーと呼ばれる木を切る道具だそうでスワンザに使い方を説明し始める、人間にはそこそこ大きい物でもスワンザが手に取ると玩具のように見えるが、実際に木を切らせてみるとその威力にスワンザが喜んだ


「クレイ、これ凄い良い!本当に使ってもいいのか?」

にっこりと微笑んでクレイさんがサムズアップ、スワンザもサムズアップで返す、その後も手順や構え方など状況にあった使い方を教えている、キックバックと言われるチェンソーが跳ね返ってくる現象や、かかり木といって危険な状態など色々と注意しないといけないことが有るのだそうだ


人やエルフとは比べのにならない怪力の持ち主オークと言えどそういった所を油断しないのがクレイさんらしい


横にはもう一台のチェンソーが有るがそっちはおとなしい?電動式なのだそうだが木を切る力ではエンジン式の方が強いそうでスワンザもエンジン式の方が気に入ったみたい


斯くして先遣隊、各部門準備が整い工事初日…なのだけどすぐには工事は始まらない


工事の安全を祈願して起工式、園長先生もとい宮司さんが何やら儀式を執り行い工場長を始め人族は皆神妙な顔で見守っている、機械やコンピューターを使い神様なんて信じてなさそうなのにこういったところでは神事を行う姿がなんていうか人って不思議だと思ってしまう


?クレイさんが手を握ってきた

「どうかしました?」

「うん、僕らの新居も建てる前にこうやって宮司さんが来て起工式やるんだろうなと思ったらなんかね」


そっか私達の新居も…クレイさんの手を握り返し私も新居の起工式を妄想してしまう…


家が出来て、そこで生活していつか子供が出来て仔たぬき達はお兄ちゃんお姉ちゃんみたいになるのかな…まだ見ぬ子供が保育園に通うところまで妄想は続いた


起工式も無事終わり、スワンザが手始めに一本の巨木をチェンソーによって切り始める、クレイさんに言われた通り、木を倒す方向に受け口を作り反対側に追い口と呼ばれる水平な切込みを入れていく


クレイさんもその様子をうんうんと頷きながら見守っているとバキバキバキバキと音を立てて巨木が倒れる


どーんという音と共に、お~という歓声は初めてチェンソーを見るドワーフやオーク達だ、特に道具に目がないドワーフ達はうずうずしているのが遠目からでも判る


ゲンさんやヤノットに詰め寄られ説明を求められているクレイさんは得意顔、そう言えばチェンソー自体は丘の外に持ち出しても複製されないがチェンソーの刃は複製されるのだとか…部品の数とか素材が単一とかで複製されたりされなかったりなのかもしれない


だとすれば車であってもバラバラにして丘から出せば複製されるのだろうか?


「あぶないよ」

クレイさんが手を取ってその場を離れるとまた木が倒れた、伐採された木は冬の薪として利用されるためトラックやフォークも後ろに待機している


工場へと運ばれた木はオートクレーブと呼ばれる本来はコンクリートを高温高圧で養生して完成を早める蒸気窯に入れて、生木から薪にするまでに自然なら半年から一年掛かる時間を短縮するらしい効率重視の彼ららしい、どこまで短縮できるかは木を入れて様子を見るのだそうだ実践しながら研究もするというのだから抜け目ない


私はその光景に改めて人族の不思議さに圧倒されたのだった

実際にボランティアで遺構の整地などでチェンソーを使っている経験がまさか小説で使えるなんて人生無駄なことはないもんですね

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