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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
二章 コンクリートと魔法
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29:御報告

我慢できずに本日投稿二話目

コンクリートの壁に鉄筋で外に出られないように隔てられた牢屋に入れられたゴブリン達


族長にクレイさん、オルドアさんと一緒に事情聴取、取り調べってやつね


大して情報も持っていないようで、見つかったときは殺気立ったオーク達によって殺される寸前だったとかで元来の憎たらしさも無いくらいに憔悴している、少しかわいそうな気がしないでもないがオーク達の食料を奪い、暮らしを手放さるを得ない所まで追い込んだのだと思うと寧ろ温情、自分たちが同じことをされてたらきっと殺しているに違いない


可愛そうだなんて気持ちになれたのはこの里のお陰だろうか、人族が優しすぎるから感化されているのは事実


「あなたたち、何が目的で忍び込むつもりだったの」

もう何度も聞かれただろうけど聞いてみる

「目的も何も、お前たちが白い壁の中で何してるかわかんねぇから探ってこいってダークエルフの姉ちゃんに言われて入ろうとしたんだよ、それなのに何なんだあの壁はよう」


そう言えば私の開発したとり餅コンクリートに捕まったんだっけ、ダークエルフはユフィで間違いないだろう


「本当にそれだけかしら?」

「それだけでぇ」

投げやりな感じで吐き捨てるゴブリン


「本当はこれを探してたんじゃないの?」

私はエルフの里に隠されていた宝玉を見せてみる、案の定ゴブリンの動きが固まった


「やっぱりね…」

エルフの里で歩哨のゴブリン達が『ここには無かった』と言っていたのだ、宝玉かそれに近いものを探しているという私の考えは合っていたと言っていいんじゃないかしら

「しらねぇな…」


「嘘が下手ねぇ、でもこれ以上知らないっていうのならそれでも良いわ、それより私異文化に興味があって最近勉強しているのだけれど、サッカーって知ってるかしら?」

当然知ってるはずもないことだけど、サッカーについて丁寧に教えて上げる


何言ってんだこいつという顔をされているが構わない

「プレイヤーはオークで、ボールはあなた達よ」


震えだすゴブリン達、周りを見ればみんなまで引いている、いや本気にしないでください一芝居打ちますって言いましたよね!


皆の反応を気にしながらも私は演技を続ける、演技です、え・ん・ぎ!


「もう話すことはないのよね?」

にっこりと微笑んで見れば

「やっぱりあの女と同じ…」

ユフィのことかしら?


「オルドアさんオークの皆さんを集めてもらえますか?」

「待て」

震え上がるゴブリンを無視してオルドアさんと一緒に笑って話す

「ボールが二つですから、20人対20人でいいかね」



工場の会議室に族長格と各部門のトップが集まった


判ったことは、ダークエルフの命令でこの世界にある里から宝玉を探し出す為にゴブリン達は行動しているというものだった、報酬はこの大森林の支配権なのだという、少し考えればそんな物手に入らないと判るはずだなのだけど、こう言っては何だがゴブリンは種として少しこずるいだけで頭は良くない…だからこそ支配権などというあやふやな物を求めて騙されているのだろうが


私が宝玉に触れてもノウミさんの言う記憶や景色を見ることは出来なかった、やはりここに居る人族以外の人族が存在するという事だろうか


別の人族が他の宝玉に触れて記憶や武器を見つけて…この世界を…ユフィはその手先にすぎないのか?何故ユフィはそんな人達に手を貸すのか


「このままじゃと他の種族や部族も危ないのう」

ため息交じりのドワーフの族長が切り出した


「そうだな、なんとか奴らの手に落ちる前に仲間に引き入れて対抗手段を考えねば、我らオークのように尖兵の様な事をされかねん」


いいように利用されたことにオークのオルドアさんは腹立たしげだ


「前にも聞きましたがこの世界、貴方がたの知る限りで『国』という存在は無いのだろうか?」


「わしらはこの地から離れて行動することは無いからの、何かの拍子に旅人から話を聞くだけじゃその中でも、工場長の言う国というような大きな里は聞いたことは無いのう」


ドワーフの族長の言葉に私もオークのオルドアさんも頷く、そもそも地図という存在すら無いのだ


社長の息子さんの部屋で見た向こうの世界の世界地図というものを見て驚き、そんな物が有ったとして彼ら人は世界中を皆が皆旅するわけではないという


ならば地図など貼ってどうするのか?理解できなかった


でも今なら判る、どこに種族や部族が居るのか解れば連絡が取れるのにと…


「探すしか無いですね」

クレイさんの言葉に仕方ないといった反応になる

「同時に地図作りと製品の売り込みもしましょう」

工場長や部門のトップさん達も頷いているけど私を含めたこちらの世界で育った者たちはその発言に驚いた


たくましいと言うか…やるからには全部やるというか人族は皆こんななの?でもオークを迎え入れたときもやると言ったらやるのだ今回も冗談じゃないだろうな


「雨季も終わったし俺のアレが役に立つ時が来たな!」

嬉しそうなノウミさんだけどアレとはなんだろうか?話し合いは各種属から先遣隊の選出を出そうという所で時間になり皆が席を立とうとするのをクレイさんが留める



「え~とですね、私クレイとクリシュナのことでお話があります」

クレイさんも私もドキドキだ、手を握り合う


「結婚します!え~、これからも…あれ?なんだっけ」

「ケジメなんだからしっかりしなさい」

工場長さん厳しい、前もって知っているドワーフの族長もあいた~と頭に手を当てている


「はい、失礼しました。わたくしクレイとここにいるクリシュナは結婚いたします。若輩者ですが~」


…言い終えるとパチパチと工場長さんや部門トップの人達の拍手、拍手の文化のない族長やオークのオルドアさんも皆に習って拍手してくれた、嬉しくてじんわりと涙が湧いてくる


「良い娘嫁にしたな逃げられんなよ」

と言って背中を叩く人も居れば

「尻に敷かれそうだ…」

にやにやとつぶやくように言う親方さんとか

「挙式はするんだろ、ぜってえ出るからな」

個性様々の現れる祝い方をして部屋を出ていく


「これからもしっかりと頑張るんだよ」

とクレイさんと私の手をガッチリと握ってくれた工場長さん、この人がなんだかんだで一番情に厚い、うっすらと涙目なのが判る



「報告できてほっとしたよ」

「ええ、皆が祝ってくれて私もほっとしました」

手を繋いで運送部の事務所に帰る


「お熱いねぇ~」

まっちゃんさんがフォークで追い越しざまに茶化してきたけど余裕といった反応を返すクレイさん


「そう言えば、お家のこと言えなかったですね」

「また、暇を見て聞いてみるよ」


私達エルフが事務所兼住居の2階を占拠しているせいでクレイさんはずっと事務所の応接室で寝起きしているのだ、結婚を機に新居を建てたいと相談してくれた、勿論私も合意して今日の報告でお願いするつもりだったんだけど、なんか言い出せる空気じゃなくて…


結婚式もしたいって言ってくれて色々と私も妄想で忙しくなっている


結婚式に新居に…その将来的には…子供も欲しいし、仕事も頑張りたいし


あぁ、本当に考えることが沢山だ


良い事ばかりじゃないけれど今は先のことを考える事に幸せを感じている自分に気づいたクリシュナだった


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