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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
一章  コンクリートの町とエルフ
26/166

26:帰路

日が昇り始め遠くに見える私達の育った里を見る、モヤに隠れしっかりと見ることは出来ないがずたずたになった里、復興を目的に頑張ってきたけれど今の里を見るのは正直つらい


帰りは、里を追われたときと同じルートを辿る、オーク達のことを考えればあの川は渡れないここまで雨季をうっとおしく感じたのは生まれて初めて


クレイさんを取り戻せた事は正直に嬉しいでも代償は大きかった


それにユフィの目的は掴めずじまい、問題は解決していないこれからもううん…これからの方が怖い、きっと彼女一人で考えたことじゃないだろう、里を自分たちのダークエルフものにしたいだけなら里を捨てるなんてことはしないはずなにかもっと大きな計画がある…


スワンザにおぶられ眠っているアザだらけのクレイさん、ユフィに何を聞かれたのか


「姫様こちらを、それとノウミさんから後で話があると」

ミュレッタがひっそりと布に包まれた宝玉を持ってよこす、この宝玉が何を起こすのか私は知らないしかし父から賊に渡してはならぬと言い付かっていたものだ、襲撃で賊の手に渡っていなくて良かった


話か、オーク達のこと、森のこと、ダークエルフ達について、クレイさんにノウミさん…話し合わないといけないことが山積みだ


休憩に入るとノウミさんに会いに行く

「話があると聞きました」

「ああ、宝玉のことなんだけどあれは何だい」

気を使ってか小声で話してくれている

「私も詳しくは聞いてません、伝承だとだけ…父から仇なす者には渡すなと言われたいたものです、宝物庫の隠し部屋に有ったことで見つけられずに済んで幸いでした」


神妙な面持ちで考え込むノウミさん


「君はこの宝玉に触れたことは?」

「私ですか?ありませんけど」

その聞き方だとノウミさんは触れたのだろう


「あの宝玉に触れた途端、景色…記憶が流れ込んできた、それは僕らが歴史として知っているものだった」

「記憶?歴史?どういうことですか」

「部屋にはこれも有った」

ザックから突き出していた棒が取り出される少し形は違うがそれは銃だ


「これはライフルと言われる銃だ、あの部屋にどんな仕組みがあるのかわからないが状態は良い一緒に有った弾ももしかしたら使えるかもしれない、あれは僕らより先にこの世界に来た人間の記憶、途中からはエルフたちとの生活も有った、人の仲間もいたでも君は人族は見たこともなければ存在すら知らないと言った」


「私は本当に」

知らないのだ里に人が居たなど聞いたこともない


「別に責めたり君が嘘をついてると思ったわけじゃない、教えて欲しいんだが僕らの世界ではエルフは長命だというのが定説になっているがどうだい?別に年月で考えなくて良い他の種族と比べて長いとかそういった事はあるかい?」


「そうですね、たしかに長いかと人間の暦は最近知ったものですから自分が何歳なのかは分かりませんが他の種族と比べて感覚的にドワーフやオークの5倍くらいでしょうか」


ぶつぶつと何かつぶやくノウミさん年月の計算をしているのだろうか?

「具体的な年月は解らないけど相当昔にこの人物はエルフたちと共に生きたんじゃないかと思う、気がかりなのは一緒にこの世界に来たはずの仲間たちの存在だ、これ…ライフルを残したようにこの世界の何処かに当時の武器が隠されている可能性がある」


「でも私達では作ったりすることは出来ませんよ、ドワーフだって作れるかどうか…もしかして」


「そう、俺達以外の人がこの時代に居る可能性」

ユフィの後ろに居る存在が人族がクレイさんたちと違って好戦的ならこの武器を欲しがるだろう


「でもどうやってこれの存在を知ったんでしょうか?」

「それはわからない、ただ…」

「ただ?」


「俺達よりも未来から来た存在がコレのように武器や技術を残していったとしたら…それを使われたら俺達じゃ勝てないかもしれない」


重苦しい空気が流れる


「すまない、あくまで可能性の話だそうじゃないこともあり得る、とりあえず俺からは以上だ、クレイちゃんと仲良くな、それにしてもシュナちゃん呼びかぁ」


へ?


「な!なんでノウミさんが!」

「そりゃあ、あんな幸せそうな寝顔で寝言言ってればねぇ~」


寝言では呼んでくれるのに…直接はあの時だけしか呼んでくれてない、シュナと言ってくれてすごく嬉しかったのに今はクリシュナさん呼びに戻っているのだ、もっと呼んでほしいのに…


「まあ時間の問題だと思うよ」

見透かしたようにそう言ってノウミさんは立ち上がった


「あとは帰ってからみんなで話し合うしかないね、まずは無事に帰ろう」


休憩を終えてまた歩き出す、助け出したオークの家族は子供が12人の親が8人の20人これだけの数だ私達の食料だけで間に合うはずもなく歩きながら食料を見つけて食事兼休憩を挟んで進む、追手も警戒しなければいけないけどここまで来てオーク達に狂乱されても困る


三日もすると、クレイさんも自分で歩き始め一緒に並んで歩く何も言わないけど手を繋いでくれた、映画みたい、何か何か話さなきゃ


「クレイさんはノウミさんからその、例の銃の件はもう聞かれたんですか?」

違う!重要だけど違う、せっかく二人きりなのになんだこのムードのない話


「うん、聞いたし銃も見せてもらった」

クレイさんが言うには『さんはちしきほへいじゅう』という銃でクレイさんの曽祖父くらいの世代が使っていた銃だという、少し早口で言ってる事の全部を理解する前に進んでしまう


「ごめん、好きな事になると早口になっちゃって」

謝ってくれたけどそんなことより


「…くれないんですか?」

「え?」

「もう、シュナって呼んでくれないんですか?私待ってるんですけど」

あ~だの、う~だのしどろもどろしていたと思ったら、がっと肩を捕まれ


「シュナ!しゅきです!愛してます」

クレイさんの顔は真っ赤か、言われた私もじわじわと顔が熱くなる


「噛んだな」

「噛みましたね」

視線を声の方に移せばこっちは見ていないがノウミさんとミュレッタの背中姿聞き耳を立ててたんだ、ミュレッタの耳が赤くなってる間違いなく聞かれた…


しばらく二人して真っ赤かなまま無言で皆から少し離れて歩いた恥ずかしいけど里を後にした時の重い雨季のうっとおしい気持ちは晴れていた

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