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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
一章  コンクリートの町とエルフ
19/166

19:可能性

将来の遠征のためにとクレイさんノウミさんが考案しドワーフの手によって作られたコンバットシャツに袖を通す、胸部と腹部はメッシュになっていて通気性が考慮されている


その上にはボディーアーマーと言われる物、開発途中ということも有って本来は防弾の機能のある物だそうだがそこまでには至っていないということだ


横には伸びず縦には伸びるというウェビングテープというもので編み込まれ軽い割にはピッタリと体を包み込む、ウェビングテープ自体は工場に置いてあるソファーの中に有ったものを剥ぎ取って複製したものだという


これのお陰で胸元などに様々なアタッチメントを付けることが出来る、防弾性はなくとも手に持たずに物を運べるメリットは大きい



クレイさんが居なくなった翌日の晴れ間の見えた日、ノウミさん達はショックを受け引きこもった私と違い、事故現場を確認しに行った、そして下流で打ち上げられた車を見つけた、当然クレイさんは居なかったが車の中の状況を見たノウミさんはサイドブレーキが掛かったままな事に気づいた、引っ掛かりを覚え現場に戻ったところでも違和感を感じた


天候と状況から大型車やラフターがが入れなかったとはいえ普段は通る様な道幅でピックアップトラックが排水路近くギリギリを走るだろうかという違和感


そして現場近くの森を捜索しコレを見つけたというのだ


鎮守府と漢字で書かれたペンだ、クレイさんが旅行で買ってきて愛用しているこの世界でクレイさんしか持っていないペン


そしてもう一つ、ちぎれたブレスレット…私達エルフにとってとても身近なものちぎれたことで幾つか石が欠けているが判る…これは私があの子にあげたものだ忘れるはずもない


可能性はある、私は行かなければならない


今はダークエルフが治めているだろう故郷へ


メーベは私が行くことについて何も言わなかった、代わりに


「ミュレッタをお連れ下さい」

ミュレッタはまだ若いがメーベに劣らずの弓の使い手

「お供いたします」


「わがままを許して頂戴…」

族長の娘がすべきことではない事は解っている、それでも行きたいのだ


メーベもミュレッタも他の娘達も何も言わないでくれている



捜索隊のメンバーは私、ノウミさん、ミュレッタ、ドワーフのヤノット、オークのスワンザ

共に過ごした積み重ねの有るドワーフから申し出が有るのは判ったがオークからも申し出が有るとは思っていなかったのだけど


「クレイさん、俺達の家とハウス作ってくれた、恩返したい」

スワンザはクレイさんが家とハウスづくりのときに肩車していたオークだと思い出した


雨季を前に行われた突貫工事は思わぬ絆まで作り上げていたみたい

「是非連れて行って役立てて欲しい」

とはオーク達のリーダーであるオルドアさんの言葉、それと


「エルフの里の件といい、私達に起こったゴブリン達の件そしてクレイさんが攫われたのだとすれば偶然ではない気がするのだ、その事も頭に入れておいて欲しい」


と、確かに何かが裏で動いているのではないかと私も同じ気持ちだ


巨体のスワンザにはコンバットシャツやボディーアーマーは間に合わなかったが、その赤みがかった体色を隠すためにオーク達の家に使われたモスグリーンの養生シートで作ったマントをつけている


「ルートは本当にこれでいいんだな?」

ドワーフのヤノットが念を押してくる、彼は族長の息子だ彼を出してくる辺りドワーフとしてもこの捜索を重視してくれている事がわかる


ルートは私達が此処へ来た道とは違う、最も険しいルートだこの中では人であるノウミさんが一番辛いだろうがエルフの里の者でも殆ど知らないルートはそこしか無い、あの子…ユフィも知らないはずだ


姉妹だと思って共に育ったはずのユフィのことが頭をよぎる、しかし今回はクレイさんだ、里に居なくとも最低限彼につながる情報を掴むのだ


武器はコンパウンドボウと散弾銃、ノウミさんは出来上がったばかりの新型ポンプアクションと呼ばれる散弾銃を持ち、オークのスワンザは特注サイズのコンパウンドボウと鉄筋から削り出した矢を使用する、破壊力だけで言えば散弾銃よりも高い


そして、拳銃一発一発しか撃てない単発式のものだが操作はいたって簡単、弾を嵌めて銃口をかぶせてひねるだけ後は引き金を引くだけというものだ、実用性と言うよりはもしものためのお守りに近いとノウミさんは言う


元々の私達の剣も短い物だったが刃物も剣からナイフに変わった、振り回すよりも刺すことに特化しているといっていい


出発は深夜、私達より夜目の劣るはずの人であるノウミさんは自前のナイトビジョンという物を持っているのだというそれならば複製して欲しいと頼んだがこれは複製で増えることはないとのことで諦めた、複雑な物は複製されない事は判っているそうだが丘の物が複製される条件は調べているがまだ解明されていない


無い物ねだりをしても仕方がない出来る限りの装備は整えた


雨季は続いている『敵』と同じく姿を隠すには雨季の夜は最適と言っていい


耐水性の腕時計を見る時刻は深夜11時、私達は頷き合い静かにコンクリートの城壁の外へ出た


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