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154:後悔とリベンジ

本音を言えば相手の商会長(悪党)をボコボコに出来るとは思ってないし悪党とも思ってはいないんだが


日に日に落ち込んでいく彼らが見るに耐えなくて発破を掛けた…が思いの外効いた、効き過ぎた


実際彼らはコンクルザディアとコルテス商会に良い様に使われている、それも命懸けでだ


しかも命を散らしたとしてもそれは双方にとって大した影響を与えることもない、この現状をひっくり返すのは商人として成り上がるしかないと気づいたのだ…それは良いのだが


商会長のボウグスを説得できればコンクルザディアに籍を移すという話だったのにいつの間にか商会長の拉致・誘拐・監禁という物騒なワードが飛び交い始めた所で介入


いざこざを起こさずに彼らを仲間に引き入れたいだけなのにお偉いさんを拉致して来られたら大事になってしまう、こちらは別に彼らの復讐を助けるために手を貸している訳でもないのだから


被害者意識を煽りすぎた事を反省して穏便な方向へと方向転換を図る


「あなた方も同意し支援も受けていたのですから騙されていたというわけではないですよね?」


「それはそうですが…」


「交渉に至ることも出来ずに問答無用で殺される可能性が有ると解っていましたよね?」


「はい…」


置かれた立場で言えば確かに被害者なのかも知れないが、覚悟が足りないと一蹴されたとしても仕方がない立場、生きて帰った場合に文句を言おうものなら商会長からは逆に


馬車や掛かった経費を返せ


と吹っ掛けられる、というかそれも含めて(保険として)彼らに投資しているだろうな



「まず最優先事項を再確認しましょうか」

「そんなの俺達を使い捨てにしたボウグスを見返してやるに決まっている!」


「違います、それは最優先じゃないですねそんな軽いもんじゃないでしょう」



「軽い?これの何処が軽いというのです」

言葉の使い方が気に障ったのだろうガープスが噛みついてくるがそれは最優先ではないだろ

「もっと根本的な部分ですよ」


「生き残ること…」

ウィミーがポツリと呟く

「そんなの当たり前の条件じゃないか」



「本当に当たり前ですか?私達は失敗したら死ぬんですよ」


その言葉に置かれた立場を思い出しガープスは黙り込む、空気は最悪だが静かにはなった


この空気…覚えがある



======

あれはこの世界に来て二ヶ月経った頃だったか…


真夜中に駐車場からした物音を確認しに行ったときだった、トラックに乗り込んだ男たちを見つけて押し問答になった


「無理ですって!死にたいんですか」

「うるさい!下請けごときが俺達に指図するな」


胸を突き飛ばされて尻餅をついてしまうがそれどころじゃない

「こんな状況で仕事を持ち出しても意味なんかないでしょうが」


「黙れ!俺達はここから出ていく、止めても無駄ださっさとそこをどけ」

普段(日本に居た頃)から高圧的だった営業部はここ(異世界)に来てからも変わらずにトラブルばかり起こしていた


向こう(日本)に居た頃も口癖は

「誰が仕事取ってきてやってると思ってんだ」

その内の数割は抱合せで赤字案件を取ってくる、取ってくれば来るほど会社を疲弊させるプロフェッショナル


「計画が有るなら教えて下さい、計画次第ではここを通します」


「なんでお前なんかに許可を取らなきゃ行けないんだ」

「あんた達がうちのトラックを使おうとしてるからに決まってんだろ、それにこの事は工場長は知っているんですか?」


案の定、視線を逸らされる


「もう会社じゃないんだ工場長は関係無い」


さっき俺を下請けと言っておいてこれか、やってる事も言ってる事も滅茶苦茶だ


「トラックは絶対に渡さない」

「ふざけんな」


「ふざけてんのはお前らだろ、なかなか帰ってこねぇから様子見に来てみりゃ何してくれてんだ、クレイちゃん大丈夫か?」


散弾銃を構えたノウミさんと剣を持ったドワーフ達が闇の中から姿を表す

「今のところは…こいつらトラックを奪うつもりです」


何が有ったかよりも何をしようとしているのか伝えた方が状況が判るだろう

「俺達のトラックを?おい!おまえらまともに運転できるとでも思ってんのか?」


「車は車だろうが」

大型トラック舐めすぎだろ


「普段事務しかしてないお前らが操れるほど甘かねぇんだよ、こいつらとことんドライバー舐めてんな」


大体舗装もされていない道をどうやって車で移動するつもりなのか?スタック一発で即終了、トラックは装甲車じゃない、この世界用に武装でもしない限り魔物とぶつかっただけでも壊れてしまうだろう


「さっきも言いましたけど、計画を話して下さい話はそれからです」


「チッ!そんな物決まっているここから出て人間を探す、言葉さえ通じれば俺達だって役に立つんだ」

要は自分達の力を誇示したいだけか


「ドワーフ達によれば人は現状この世界に居ない、居たとしても言葉が通じるかどうかも解らない」

「馬鹿にするな、俺は英語もフランス語も出来る、低学歴のお前らとは違うんだ」


本当にしょうもない連中だ

「英語とフランス語が出来たからなんなんです?ここに居るドワーフの言葉も理解出来ない人が笑わせてくれますね、ともかくまともな計画もないようなのでお引き取り下さい、ノウミさんトラックの鍵は全部抜いておいて下さい、お願いします」


「それと…死にたきゃ勝手に死ね、こっちを巻き込むな」


諦めて工場の寮に戻っていった彼らだったが、彼らは翌日には運送部のトラックではなく工場の社用車を奪ってこの丘を出ていった



車の管理を任された工場の従業員を殺害して…



帰ってきた者も重症を負いまともな医療設備もないこの世界で数日後には亡くなった



最悪な結末


結果から見れば彼らは俺の言葉通りに行動した…俺の言葉が彼らを殺したんだ


切り捨てたあの時の俺とウィミー達を道具と割り切ったボウグスは変わらない



でも


あんな思いはもう沢山だ…あの頃とは違う、今の俺にはウィミー達を生き延びさせることが出来るはずだ


選択肢を間違えさせてはならないんだ

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


『ページの下にある☆マークでの評価』


よろしくお願いします!

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