表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
一章  コンクリートの町とエルフ
16/166

16:農業進出

「どれがいいですかねぇ~」

腕組みをしてムスッとした工場長さんと袋を見ているクレイさん、そして縮こまる外国から出稼ぎに来て転移に巻き込まれたガルシアさん


工場の寮の裏庭で勝手に家庭菜園を営んでいたガルシアさん、ついにバレたと言うかクレイさんは元々知っていたが黙っていてあげていたんだそうで、今回のハウス栽培のために処罰無しを条件に種の提供となったわけで…


「やっぱじゃがいもは外せませんよね」

「全く!それならそうと言ってくれればよかったんだ」

プンスカしている工場長さん

「おお!はつか大根もある」

「こっちはキャベツじゃ」

クレイさんとハウス栽培発案者のアスファルト部門の親方さんは工場長を無視して宝物を見つけたかのように種にはしゃいでいる


そういえば、あれはどうなのだろう

「あのですね、冷蔵庫の中に有る白い食材から芽が生えていたんですけどアレも植えれば育つんでしょうか」

「白い食材?」

「ええ。使い方もわからないうえ結構臭いがきつくて使ってないのですが」

「にんにくじゃないか?」


「いいですね、この際だから植えられるものは何でも植えましょう!」

なんだろうクレイさんのテンションが高い


育て方がよく判らなくても種が増えればという発想なので時期に関しては気にしていないみたい、目先にとらわれないのが彼ららしいしかしそこに待ったをかける人が一人、ガルシアさんだ


「だめよ!やるならちゃんと育てましょうよ」

「そうは言ってもしっかり面倒見れる人も居ないし」

「それなら、私やるよ!」

「あ、そう?やってくれる?」


「え?」

まんまと乗せられたガルシアさん、我が社の農産部門に着任、結局持っている野菜の種全てを植えることになり、あとからは大将さんからオクラやニラ、ネギ、と言った物まで持ち込まれて育てることになった、それとクレイさんがバケツで育てていたという稲、米の元まで持ち込まれた


これでハウスの八分の一、種が出来次第更に倍々で植えていく予定


ガルシアさんはそれを育てるだけでなくデータを取り最終的には適した種まき、収穫シーズンを見極めるといった感じ


この農業のデータ取りに思わぬメリットが有るということだった


気候だ、私達元からこの世界の住人はなんとなく体験でそろそろ雨季ね、そろそろ雪の季節といった感じ、それを気温天候の移り変わりを毎日取ることで平均値が割り出せるということ、長い年月収集すればそれによって雨季の始まりや例年との比較によって災害を防げるかもしれないと、几帳面な彼ららしい


昨年は転移してきてそうそう雨季に入り手痛い目にあった教訓を活かそうということらしい


工事の作業員以外の女性のオークはガルシアさんに付いて農業の仕事をしてもらう、保育園に通うオークの子供も時間が有れば手伝う


様々なことが目まぐるしく変わる矢継ぎ早にとにかく決めて後から修正の日々


オーク達のエリアの排水を優先したため、排水路の方に幅寄せが来ている、雨季までに間に合うかどうか、その上オーク達のエリアの壁作り毎日日が暮れるまで作業は続く、20メートルはあるだろうか杭打機と言われる重機が動くさまは正に圧巻、彼らは壁を作るにも事前に検査で岩盤までの深さを調べ杭を打ち支柱をより強固なものにする


柔い地盤の上にはショベルカーが器用に爪で鉄板を持ち上げて杭打機の移動する先に敷いていく、コンビネーションが美しい


まだ固まっていないコンクリートに支柱を埋めるとそこに私達エルフが硬化の魔法陣を書き込み魔力を込めて固め工期の短縮


固まったのが確認できたらラフテレーンと呼ばれる25t自走式クレーンがやってきて鉄板の上でアウトリガを展開、フックに吊るされたコンクリートの壁にはロープが二本伸びていて手元と呼ばれる人たちが手で合図を取りながらH鋼の間に壁を滑らせていく阿吽の呼吸というのだっけ、一番上の壁は私の特別製なのでフックを取り替えてからの設置


必要枚数以上の有ったコンクリートの壁はそのまま臨時の床材としてオーク達の居住エリアに敷かれていく雨季を越えたらちゃんと設計し直す予定だが今はこれで我慢してもらうしか無い、土壌改良が上手く行っていれば今年は耐えられるはずなのだ


そこへハウスと同じ要領で骨材を埋めていき今度は透明ではなく養生用の透明ではないシートを乗せて固定していった最低限外から見えない配慮だ、複製された養生シートを使って仕切りも出来た


「こんな短期間で仮とはいえ家が出来るなんて」

オーク達は感嘆の声を漏らす


全てが並列で行われ手が余った者から別の作業に移っていく


雨季が迫っていることが幸いしたと言ってもいいのかもしれない

最初こそ有った新参のオークとのギクシャクした空気も忙しさで気にしている余裕など無くなった一丸となって雨季までに間に合わせるが合言葉になった形だ


残すは川まで排水路の整備があと一歩に迫った日


ぽつりぽつりと落ちだす雨、勢いは増しあっという間に土砂降りになる


排水路の完成直前で雨季が始まった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ