144:国が違えば常識も違うよね
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「日本語が解るということですが文字に関してはどうでしょうか?」
ホテルに着いてから彼女たち一行を広間に集めて話を再開、客品待遇では有るが外には出ないように最悪退去も有り得ると釘は差してあるし魔力封じの腕輪も着けてもらったので外部との連絡や破壊活動は出来ないだろう
「文字については知識は殆どありません、教えてもらった言葉は猫獣語の文字に変換して貰っていましたので…」
「なるほど、賢狼族の彼女ウルーダもそんな感じでしたのであまり気にしないで頂いて結構ですよ、あくまで念の為の質問ですから、それと外出に関しては国王から許可が出れば多少は可能になりますから」
あまりにもそわそわしているのでそう言ってあげる、彼女だけでなくガープスさんや他の商人たちもそれを聞いてほっとしたようだった
「あの質問をしても?」
「どうぞ」
「このホテルも凄いのですがあの城壁についても殆ど継ぎ目が有りませんでした、あれは一体何で作られているのですか?」
やはり気になる技術のようだ
「秘密でしたら無理には」
「コンクリートです。そう言えばまだ名乗っていませんでしたが我が国はコンクルザディアと言いまして、あのコンクリートを主要産業にしています」
簡単に答えてはもらえないと思っていたのだろう、目を丸くして驚いている
「現在の我が国は国交も交易も貿易もサンダン王国とのみ締結していますので直ぐに貴方がたと商いは出来ません」
今度はショックを受けている
「商いに何故国の許可が必要なのですか?我が国とサンダン王国の間では大まかな合意はありますが基本的に自由です」
「その代わりに法外な手数料や一方的な追い出しを受けたりしたことは有りませんか?」
「それは仕方のない事です、商売相手だけでなく盗賊や魔物に襲われたとしても自由には責任が付いて回るものです」
「責任については私もそう思います、ですが長く商売をしたいのならより安全でより保証のある物の方が良くありませんか?」
「どういう意味ですか?それに先程からの発言からすると貴方がたが損をしてしまう気がするのですが」
「損ですか?」
「はい、国であれ民であれ実入りが良い方が良いに決まっている」
「それは国家間の対立よりも大切ですか?」
「えっ…」
「私達も勿論儲けたい、ですがそれ以上に国として安定したい衝突は避けたいという考えはそれほど変な物ではないと思いますが」
「すいません、規模が大きすぎて何を仰っているのか…いえ言っていることは解りますが失礼ながらそんな事では逆に他国に付け入られてしまうと…思います、それに既に衝突の危機にあると言っても過言ではないでは有りませんか」
「ですが我が国の理念に同調して頂けない国と取引する気は有りません、避けられない衝突まで回避しようとは思っていませんから」
少々強めの言い方になってしまった、相手は普通の商人であって他国の大臣でもなんでもないが、ここに気づいて最初に訪れた嗅覚を持っている彼女にはこちらの本気を伝えておくべきだと思ったのだ
「国王からの許可に関しては数日は見てください、警備も付きますが流石にその間なにもしてはいけないではお辛いでしょうからこちらを差し上げます」
空気が悪くなりかけた所で彼女たち全員にメモ帳とボールペンや鉛筆を進呈する
「これは紙ですよね…こんな高価な物を私達に?」
「はい、こちらは別に高級品でもなんでも有りませんから後で質問したいことや今回の訪問で感じた事などなんでも書き留めて頂いて構いませんし検閲も致しませんのでご自由にお使いください、国に帰る時に持ち帰って頂いて構いません」
百ページほどのメモ帳に興奮している商人たち、サンダン王国でもこれは気に入られたから喜んでくれているはずだ
「すごい…これすべてサイズが同じです」
「このペンもだ、どんな仕組みになっているんだ」
新しい技術に興奮する商人たちに
「そちらと商いが出来るようにサンダン王国とのやり取りは我々が執り行いますが、国交がない以上オベルダン王国側に私たちを取り計らって頂ける人物がいてくれると助かります、それでは今日の所はこれまでと言うことでよろしいですかな?」
これでこちら側の意図は組んでくれるだろう、これくらいにして早く駐屯地に帰らないとと思っていたら
「あの!」
呼び止められた
「何でしょう?」
「助けていただいたこと、迎え入れてくださったこと感謝しなければならないのに失礼なことばかり言ってしまい申し訳有りませんでした、改めてお礼を言わせてくださいありがとうございました」
殺されかけるという事態はもう御免だけどサンダン王国とのあれやこれやを思い返すと割とまともな話し合いが出来たんじゃないだろうか、他の国とかもこれくらい最初から良好な関係を求めてくれるといいんだけど…
「言い忘れてましたがこのホテル温泉付きなので堪能して頂ければ幸いです、温泉もコンクルザディアの自慢ですので是非に」
「温泉?」
これに関しては説明しないでおいても従業員が教えてくれるので放っておいた、あ…そうだアレを頼んでおこう嫌なら断っても良いようにして…
フロントにポケットマネーで全員分アレを頼んで駐屯地に帰る
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「おはようございます」
「「「おはようございます!」」」
おおう、全員元気いっぱい温泉とアレのお陰かな?俺は俺で結局メーベが俺が撃たれたことをシュナに伝えちゃったからものすごい怒られたんだけどね、実際不用心だったから俺が悪い
「あのクレイ様、昨日の温泉とアレ本当にありがとうございました」
早速お礼が返ってきた
「あのサービスは夢のような体験でした、本当はアレも高価だったのでは?」
「そうですね少し高いかもしれませんが、お疲れだったでしょう?」
「あの様なサービスを貴族でもない私たちが受けられるなんてここは天国です」
「俺達も身体が軽いです、それにあのベッドも最高です」
「ちなみにウィミーさんの方はマッサージとエステ、ガープスさんたち男性陣にはマッサージだけでしたので不平等みたいになってしまいすいません」
ウィミーさんは猫の獣人だからこの場合エステと言って良いのか?トリミングとかグルーミングの方が合っているのかもしれないけど専門家じゃないから判らんが
「やめてください、これ以上謝られると私たちこれからずっと頭が上がらなくなってしまいます」
「あはは、そんなに良かったですか?」
「最高でした、これのためだけにここに来たいくらいです」
「オベルダンでもこのサービス始めてみてはどうです?」
「やってみたいですが奴隷の前で無防備になるのは少し怖いですね」
「奴隷?」
「あの、もしかしてあの仕事は奴隷にやらせているのではないのですか?」
「ええ専属の従業員にちゃんと賃金を渡して働いて貰っていますよ」
なぜ奴隷という発想になったのかわからない
「それ本人たちの前で言ったりしてませんよね…」
「も、勿論言ってません!」
慌てて否定する面々だけどガープスさんが
「…すいません、あまりにも従順に奉仕されるのでついそうなのかと思ってそれっぽいことを言ってしまいました…」
はっきりとは奴隷とは言わなかったらしいが可哀想だと思って色々と言ってしまったらしい、まさかこんな所で文化の違いがでてしまうとは思ってもいなかった
しかも口には出していないがここに居るほぼ全員がそう思っていたわけで、これは対策を立てておいたほうが良いかもしれないな奴隷だと思って無体を働いたとか困る
「外出許可が出るまであと数日掛かるのですが、みなさんその間少しお仕事しません?」
「お仕事ですか?」
「はい、簡単なお仕事ですが見合った報酬は出します」
俺は頭の上にはてなマークが浮かんでる彼らにお仕事の内容を説明したのだった
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