141:平和的に接触?
まだドキドキしてる
あんなふうにクレイさんがはっきり言うなんて思ってもいなかったからびっくりしちゃった、それに『俺の妻』って言葉の破壊力が凄い…
あれから黙ったままのメーベには本当に申し訳ないんだけどさっきからニヤニヤが止まらないの…ふぁぁ~顔がすごい熱い~
だぁ~
私を捕まえたいのか両手で宙を掴もうとするシェリティナの顔はもう泣いていない、私が赤ん坊のときのようにシェリティナもこの事覚えるのよねきっと
あまり恥ずかしい事は見せないようにしないと…
だぁ?
念話もしていないのに『なんで?』と聞かれているような反応、私にはそんな事が出来た記憶はないのだけどハーフのこの子にはなにかあるのかしら?
ユフィならなにか知っていたのかもしれない…
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駐屯地の駐車場に着くと同時にクレイさんが元気よく
「とうちゃーーーく、今!」
不思議な掛け声を掛けると
だぁ!
パパの不思議なアナウンスに反応する我が子、この不思議なアナウンスはなんでも自衛隊さんの真似らしい
「さあ行こうか」
ガチャリとロックが外れてチャイルドシートから籠に早変わり、ほんとスグレモノよね、これでも開発途中で将来的にはベビーカーにまで変形させる計画なんだとか
中に入ると同時に私達の目に飛び込んできたのは
「ぶっ殺してやる!銃持って来い」
「殺しちゃ駄目ですってノウミさん落ち着いて、俺が行きますから」
オークのスワンザに羽交い締めにされているノウミさん
ただ事じゃない雰囲気に固まってしまう
「ノウミさん?どうしたんですか!?」
「どうしたもこうしたも、このタイミングでエピリズに侵入しようとしてる輩が出やがったんだ」
「タイミング最悪ですね…」
私は怒っているノウミさんを初めてみたので結構ショックを受けたんだけど、クレイさんは焦った様子もなく普通に会話してる
「でも侵入者って断言している辺り、他所の国か種族なんですよね?」
なるほど、サンダン王国関係の者ならノウミさんにまで呼び出しも掛からなかったはずだもんね
「そうだ、エピリズの外の森から監視しているらしい」
クレイさんの話し方のお陰なのか次第にトーンダウンしていくノウミさん
「今エピリズに誰かサンダン王国のお偉いさんって誰か来てましたっけ?」
「いま来てるのは、貴族ならベルザード君、商人も何人かは有名どころの商会の者が居るはずだ」
「解りました、じゃあ協力を仰げるように書類の作成をお願いします、こっちは俺とメーベとスワンザで行きますからノウミさんは嫁さんの側に居てやって下さい」
「すまない…恩に着る」
「もう忘れてると思いますけど、これでも外交武官なんていう格好良い役職者なんですよ俺」
「うん忘れてたわ」
すっかり落ち着いたノウミさんから笑みが漏れる
「それじゃ、念の為に銃もよろしくお願いします、メーベにはコンパウンドボウで」
装備を整えると、私のおでこにキスをして
「行ってくる、ミュレッタとシェリティナのこと頼むねシュナ」
来て早々、クレイさん達はエピリズの村へと向かっていった
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「あいつらか…格好的には商人に見えるが今度は猫科かよ」
単眼式の望遠鏡で確認してみたが語尾に『にゃん』が付いてそうな猫獣人、でも男が『にゃん』って言ったら幻滅しそうなのは向こうで毒され過ぎかな?
「そっちからはどんな感じ?」
「格好は商人ですが近くに馬車は確認できません、なりすましかもしれませんね」
メーベにドローンでの確認もしてもらったけど格好は商人で間違いないっぽい
なりすましをしたところで貿易はサンダン王国の商人のみだし、身分証明書がなければサンダン王国の者だったとしても入れないんだけどね、こうも種族が違うとそれ以前の問題だけどさ
「ベルザードさん達は彼らが何者か判りますか?」
付いてきてもらったサンダン王国の面々からは
「オベルダン王国の者には違い無さそうですが、お前たちはどうだ?」
ベルザードが連れてこられた商人二人にも話を振る
「はい、見覚えのある顔が何人か居ります、中でも先頭にいる男女二人はコルテス商会系のやり手で彼らはサンダン王国でも活動しています、推測ではありますが大方我が国の商人が卸すコンクルザディア製の商品の出処を探してたどり着いたのではないかと」
こういう情報めっちゃ助かる
「情報ありがとうございます、それと彼らとのコミュニケーションはエピール語でも大丈夫でしょうか?それなら私でも会話出来ると思うのですがもし違うようなら通訳をお願いできませんか?」
「通訳は出来ますが商売敵なので我々に都合よく通訳してしまうかもしれませんよ?」
そこまで正直に言われてしまえば逆に信用しちゃいますよ
「問題ないです、それをしてしまえばバレた時にあなた達は商人としての信用を失くしますよね、それは利口な商人とは思えませんから」
オベルダンの商人らしき御一行に拡声器を向けてベルザードさんにお願いする
「それではどうぞ」
『あー、あー、聞こえますか』
事前に決めた言葉を彼らの言葉に変換して話してもらう
大音量にキョロキョロする御一行
『森の中からこちらを見ているのは判っています、直ちに外へ出て姿を見せて下さい』
しばらく迷っていたみたいだが森から出てきた所でこちらも城壁の上から手を振って見せるれば向こうも振り返してきた
どうやら今回は今までと違って問題を起こさずに他国と接触できそうだ
彼らの目的を聞くために門を出た所で
俺は狙撃された
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