137:大活躍&ポジション争い
メーベも居てくれてミルクも何度かに一度は代用品が使えるから楽になる…
と思っていたんだけど
そんなに甘くなかった上手く行ったのは数日だけ、付きっきりよりはそりゃあ楽なのは確か…でも疲れることは疲れる
事前にクレイさんとは
「頑張りすぎないこと!苦しくなったらみんなに助けてもらう事を躊躇しない!」
「おー!」
そう決めていたのに想像を遥かに超えてくる可愛い我が子にたじたじなの
「これは応援を呼びましょう」
応援って言っても、重要な役職に就いていない他の子なんて
「双子のケトミラとルベリラ、それにオトジアの三人ならまだ今の仕事から離れても会社にもご迷惑は最小限で済むかと」
ケトミラとルベリラ道路部門で事務をしていて、オトジアはたぬき温泉で働いている
「流石に個人的理由でそれは良くないわ!」
「どうしましょう、カナさんもサトルくんの育児で大変ですし」
これもしかしてメーベもテンパってる?
「そんな何でもかんでも頼るのは違うでしょう!自分たちでは出来ないと思った部分だけでいいの」
我慢せずに誰かを頼ろうねと決めたけどこれは駄目よ
そんな事を揉めていると可愛いモンスターが起きてぐずりだしちゃった
「ママよ~、よ~ちよちよち!どうしたのおっぱい?」
私もメーベもクレイさんもへとへと、睡眠がまとめて取れないのがまさかこれほどまでしんどいとは…どうしよう…
途方に暮れる私達に、まさかこのあとやって来た小さな防衛隊の登場により事態は改善されるなんて想像もしてなかった私達
「シェリティナがうんちした~、カールおむつ何処だっけ?」
「温度はこれくらい?」
「熱すぎじゃない?もっと冷まそうよルディ」
「俺の指ぎゅって握った!可愛すぎんだろ」
「アーミンはい抱っこ交代、次は僕の番だよ」
「まだ平気だからいいよ」
「ずるい!さっきからあんた達ばっかりシェリティナ抱っこしてる」
「しー!ママたちが休めないでしょヒルデ」
学校帰りのお兄ちゃんお姉ちゃん大活躍!おむつ交換に重湯作りも魔法を使って適温の物を作り出し、抱っこも六人で交代しながら嬉しそうにシェリティナの面倒を見てくれている
私は辛うじて起きていてその様子をうつらうつらしながら観賞、尊すぎて観賞と言うしかない
「いいこと思いついた」
「アーミンのいいことって大体駄目よね」
「ひでえこと言うなよ、そんな事言うんなら真似しちゃ駄目だかんな」
ジャンプして回転すればぽんっとたぬき形態のアーミン
「あうぅ」
間の前で揺れるアーミンのしっぽに興味津々のシェリティナ、アーミンはそのまま襟首を噛んで自分の背中にシェリティナを乗せるとゆっくり歩き出す
「落ちないようにしっかり掴んでて良いからな」
あのアーミンがちゃんとお兄ちゃんしてる姿に感動
シェリティナはぎゅっとアーミンお兄ちゃんの背中の毛を掴む
「あ~、いいなぁ~さっきの謝るから私にもさせてよぉ~」
しまったと思ったアネットがアーミンに謝って自分もとせがむ
「しかたないなぁ~、じゃあこれからしゃがむからお姫様を降ろしてやってよ」
シェリティナが怪我をしないようにしゃがむアーミン
「ん゙っん゙っ…」
降りたくないのかぎゅっとお兄ちゃんの毛を掴んで離さないシェリティナ
「そっか~、お兄ちゃんから降りたくないか~」
得意げなアーミン、段々といつもの調子に乗る素が出てきちゃってるわよ
ぽんっと今度はアネットが変身して
「ほらこっちの方が柔らかいわよ、アーミンお風呂嫌いだから毛も硬いんだから」
「嫌いじゃねぇし!硬いのは元からなんだから仕方ないだろ!」
シェリティナがお姉ちゃんの毛並を確認するように触れると、あっさり鞍替えされてしまったアーミンが落ち込む
「シェリティナさあ行くわよ、いたっ!やめて痛い」
掴む力が強いのかアネットが痛がり始めてしまい
「ほら、そんな柔らかい毛じゃ痛くて妹もまともに乗せてあげられないじゃないか」
直ぐに復活のアーミン
「ほら俺の」
「それには及ばない、シェリティナ僕も乗せてあげられるよ」
アーミンの痛がり方を見たからかヒルデは変身しなかったけどアーミン、カール、ロルフ、ルディの男四兄弟はたぬき形態に変身して誰が乗せるかで熾烈なポジション争いに発展
ひゃぁ、ひゃ、ひゃ
お姫様はご機嫌でその様子を楽しんでるみたい
夜から午前中までは私達大人がメインで午後からは学校から帰ってきた子供達が面倒を見るそんなシフトが完成、昼夜逆転してしまうけどまともに寝れずに子育ての方が身体にも精神的にも悪い、ここはそう割り切って、お兄ちゃんお姉ちゃんの力を借りたのだった