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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
六章 コンクルザディアの大改革
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133:Bank of concrete Fortress

遡ること数ヶ月前、コンクルザディア初の銀行ができた起こりはエピリズの村が出来た直後



「現金が足りない」

俺のお財布の話ではないしコンクルザディアの国庫の話でもない、エピリズの村での経済発展に伴い村内で回る現金が足りないって苦情が上がっているって話


ATMなんて便利な物が有るわけもなくそもそも銀行の存在を失念していた、現在の紙幣はコンクルザディア王都内のドワーフ達の造幣工房で厳重に管理され工場の経理を通して市中に出回っている…


あれ?これ相当やばくないか…絶対にやばい…


コンクルザディアはエピリズを含めて人口五百人程度、これを工場とエピリズの代官役所のたった二箇所で回していたなんて、担当者が過労で死ぬか担当者に俺が殺されるかそれとも


やってられるかぁぁぁぁぁぁ!


ってほっぽりだされたら国が終わる、俺は全力疾走!そりゃあもう学生時代以来の全力疾走で工場の階段を駆け上がり


「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」


経理部に飛び込んでスライディング土下座


「ぐはぁあ!」

経理部長に突っ込んで土下座失敗、嫌そうじゃない!更に事態悪化させちまったぁぁ


「いったぁなぁ、ってクイさん何なんでれかいきなり」


うわぁ~目の隈が大変なことなってるぅぅ~、あと言葉が変!


「はい今日は火急の案件がありましてお話に参りました、ですがまず最初に」

「いやそれないんですよ…今日中にエピリズに届ほける予算をひょ組まなきゃいけなひんで後にしてくれまう?」


いやぁぁぁぁぁぁゾンビィィ!!ここだけブラック通り越してアポカリプスゥゥゥゥゥ


「け、経理部長…落ち着いて、休みましょう?ねっ、ねっ?」

「間に合ないっでぇいいってんでじょうがぁ!」

襟首を捕まれてめっちゃ距離が近い、噛まれる?俺もゾンビに…ごめんシュナ先立つ不幸をじゃなぁぁい!俺はパパになるんだぁぁ


新工場長と国王陛下を大声で呼び出して経理部長を落ち着かせる



「本当にすいませんでした」

正気を取り戻した経理部長が謝罪してきたけどそれはこっちのすべきこと、現状について確認するとやはり処理が追いつかなくなっているのが確認できた


「さてどうするべきか」

国王様も思案顔、経理部の業務の大きな括り…多岐に渡りすぎて括れなかった…


「ここは思いきってリセットしてはどうだろうか」

そう言ったのは国王様


「どうせ滞っているのなら一度停止してしっかり体制を整えた方が良いのではないか?住民達もいつまで続くかわからない混乱より期限を設けた停止の方が安心する気がするのだ」


うんぐちゃぐちゃすぎるから一旦リセットそれが良い


巷では普通のおじいちゃんの様な親しみやすさ魅力と言われている国王様だが、最近では発言内容や喋り方もついでにヒゲも伸ばし始めて王様っぽくなってきつつある、仏頂面が改善されればもっと良いと思うけど


「そんなこと駄目です」

経理部長から待ったが掛かる


「それは何故?」


「何故って業務に支障が!今ですら滞ってるんですよ、仕切り直しって言っても止まってる間に更に業務が溜まって処理するのにどれだけの人員が必要になるか…」


ご尤もな意見は経理部長


「しかしそうなるとどうやって改善したものか」

「それに人員の補充と言ってもただ増やされても困ります、能力は勿論、氏素性の判らない者に現場を引っ掻き回される上に横領の可能性も有るんです」


益々ご尤もな意見の経理部長、今の時間も惜しいと苛ついとりますな


「国王様どうなされますか?」

それでも何もしないわけには行かないだろう…国王様はどんな判断を下すのか




「サンダン王国とエピリズの村での商いは停止、損失分は賠償金から多めに引かせて埋め合わせ、エピリズの村の経済活動も停止、こちらの方は職種に限らず日割りで全住人に一律の債券の発行、以上だ」


「なぁ~~~~!」

手でヒゲをわしゃわしゃ事もなさ気に言い放った国王様とあごが外れる勢いで驚く経理部長


「ツァーミ君、サンダン王国と話し合いの席を用意してもらいたい」

「解りました、特使のシェリルに連絡を取りますので少々お待ちを」


「ああ頼んだよ」

呆然としている経理部長を尻目にサクサクと話を進めていく国王様


「それと経理部長、現在残っている業務を終わらせたら休暇を取りなさい、人員募集を掛けておくから休暇が終わったら目を通して増員させなさい、多めに採用して育てる気で居るように」


「はあ…」

すっかり気が抜けてしまった経理部長は間抜けな返事を返してしまう



翌日には即エピリズの村に通達、混乱が予想されたが


「働かんで金が貰えんのか?嘘みてぇな話だ」

「国王様の勅命だってんだから本当なんだろうよ、それにここに来てから嘘つかれたことねえからな、俺は信じるぜ」


「飯もその間はタダだってよ、でも飯作ってるやつはタダ働きか可哀想にな」

「ちげぇちげぇ、飯とか生活にどうしても必要な仕事は『らいふらいん』ってやつでむしろ高い金貰えるって話だぞ」


「働いて高い賃金貰うか、働かずに金もらうか…悩むなぁ」

「おめぇそんな仕事に就いてねぇだろうが!大人しく休んどけ」

村のあちこちでそんな会話が弾んでいて、村の住人はむしろ喜んでいた



======

「とまあそんな感じで村の方は歓迎ムードでした」

視察を終えて国王様と経理部長に報告、拍子抜けの経理部長と何故か納得している国王様


「クレイ君、経理部長、私はねこの世界に来てからずっと疑念が有ってね仕事を離れてからその疑念が深まって行ったのだよ」


「疑念ですか?」

工場長やめてからぼーっとしているだけだとか思っててすいませんでした


「ああ、私達は働きすぎなのではないだろうかと、そして今回の件ではっきりした」

至極真っ当なこと言ってるけど聞いててなんか悲しくなってくるな


「あいつら日本人だぞ…」

某映画のネットミームが頭をよぎる



それからというもの経理部はあっという間に仕事を片付け休暇に入りドワーフ達は債券の型作り


工事部からこちらに来てから派生した設計部の方も銀行の設計図作り


「めっちゃ分厚いっすね」

設計図を見せてもらった俺の感想に


「治安がというか魔法が有る世界だし分厚いに越したことはないかなと思ってさ」


厚さ1mのコンクリートの壁…銀行っていうかトーチカにしか見えない


金庫室の外壁の厚みはなんと2m…に対して扉はただの鉄板…チグハグ過ぎる、まあ扉もコンクリにすると軽量コンクリを使ったとしても重すぎるというのが理由なのだけどさ、追々対応するらしい


警備員は軍人で重武装、益々トーチカじみてきた


対空兵装には複製した九七式車載重機関銃と回転式の銃座が二基…それなんて対空陣地?


難攻不落の要塞銀行…


経理部が休んでる間に募集で集まった候補者を駐屯地に呼んで各言語に対応したペーパーテストでふるいに掛けて減らいておいた、これで全く計算の出来ない者は居なくなった


これを経理部が実技研修をして最終面接を通った者が三十人、経理部長曰く


「銀行の方のサービスは無し、当分の間は預貯金も無し、後々は住人たちの口座も開設しますが現在は各事業への予算分配の一時倉庫ですよ、人員も即戦力には程遠いですがじっくり育てていきます」


目の下のクマが無くなった経理部長さん


これからもこんな感じで問題噴出なんだろうけど今回の様に国王様が発展のペースの舵取りしてくれるのならなんとか出来る気がした

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


『ページの下にある☆マークでの評価』


よろしくお願いします!

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