128:オリーブの実?
昨日は投稿出来なくてごめんなさい、くしゃみ一発ぎっくり腰みなさんも健康に気をつけましょう
まっちゃんさんが二ポの港町から帰ってきた次の日
そのまっちゃんさんのトラックが関係したちょっとした騒ぎが起きた
「まっちゃんこれ!これどこで荷台に入ったか判る?」
玄関先からクレイさんの大きな声、何事?と窓から覗いてみれば
クレイさんのつまんだ指の間には小さな粒、果実としては小さすぎて腹の足しにはならなそうだけどそんなに美味しいのだろうか…ここでの生活が長くなったからか、はたまた日本人との生活が長くなったからか、まず美味しいのかどうか考えてしまう、答えはきっと後者
でもあのクレイさんの喜び様を見るとどうしても気になっちゃうじゃない、後で聞いてみよう
と思ったら走って帰ってきた
「シュナ!これ見てごらん」
私の手のひらに置かれた幾つもの粒、さっき見た時はひと粒だったけどトラックの荷台を漁って集めてきたんだろうか
「これは?美味しいんですか?」
まじまじと見つめて見るけど黄緑色だったり紫色、中には真っ黒なものまで有って味の想像がつかない
「美味しいっちゃ美味しいけけど、これはそれだけじゃないんだオリーブって言って油も取れる樹の実なんだよ」
「油…ですか、それで何に使える油なんですか?
「万能だよ、料理にも美容にもオイルランプにも使えるんだ」
「今美容って言いました?」
「うん肌荒れでしょ、肌の潤いを保ってくれるからしわやシミの予防にも効能が有ったはずだよ、旅行先で母親に買っていったらすごい喜んでくれたし」
「この樹の実何処で手に入るんですか!!」
「シュナ?」
「見つけましょう!育てましょう!いっぱい油取りましょう!」
「しゅ…しゅな…気持ち悪くなるからやめて…」
「はっ!ごめんなさい」
気づけばクレイさんの肩を掴んでガクガクと揺さぶってしまっていた
「ところでこれどんな味がするんです?一つ食べてみてもいいですか?」
「いいけどすっごい渋いはずだよ渋抜きして塩漬けとかしたほうが無難」
「でもこれなんて美味しそうな色してますし、一つだけ」
「そこまで言うならどうぞ」
渋々認めてくれた
「じゃ、いっただきまーす」
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「だから言ったのに…」
クレイさんは呆れているし呆れられても仕方がないくらい渋いなんてもんじゃなかった、まだ口の中に味が残ってる気がする
「こんなの本当に食べられるんですかぁ~ぐえぇ、まだ口が気持ち悪い」
「工場に苛性ソーダが有るはずだから結構速く渋抜き出来ると思うよ、ところでさっきのオリーブ、種はどうしたの」
「種ですか?無かったですよ」
「え?種がないはずはないんだけど…もしかしてオリーブじゃない…のか」
「不安になること言わないでくださいよ」
「ごめん…でもオリーブは大きめの種が有るはずなんだよ種無しのオリーブなんて有るのかなあ異世界だからか?」
オリーブの実を潰して種を確認し始めるクレイさんだったけど一つも種はなかった
「シュナ…本当にごめん、身体問題ない?」
オロオロし始めちゃった
「今のところ問題ないですけど」
不味かった以外は特に変化はない、あ!でも少し身体が軽くなったような?
妊娠してから感じるけどお腹の子にも魔力が行っているみたいで、魔法を使っていなくても魔力が常時減っていて身体が重いのだ、それがこころなしか軽くなっている気がするのだ
「クレイさん」
「なに?調子悪くなってきた?本当にごめん、神様何でもするから二人を助けて下さい」
「もう、違いますよしっかりして下さい、何ていうか魔力が回復している気がするんです」
私が感じた事を説明すると
「魔力が回復する樹の実かぁ、今までで魔力が回復する樹の実って他にも有った?」
「いいえ、植物性の食べ物には魔力が回復する力はなくて身体の回復だけです、体力の回復によって本来持っている魔力が戻って来るだけです」
「そういうものなの?」
「ええ、動物や魔物などは魔力を持っているのでそういった事も考えられますがそれでもここまではっきりと感じられることはないですね」
「そうするとかなり貴重な樹の実ってことになるよね」
「はいどうやって魔力を取り込んでいるのか見当もつかないですね」
「死骸が土に帰る時に吸収してるとか?」
「それなら殆どの植物が魔力を持ってないと変じゃないですか?」
「そうだね、まあ実際に木を見れば判るかもしれないし、まずは現物を見つけたいね…」
「ええ、美容品に出来るかも知りたいです」
「そうだね」
なんだろうクレイさんの態度がちょっと変わった
「もしかしてですけど探しに行きたいんじゃないですか」
「そんなことないよ、もうシュナのお腹も大きいし行かないでここに居る」
普段は気付けないけどこういう時は気付けると言うか、クレイさん好奇心をくすぐられている時は顎を左手でむにっと掴む癖がある、本人は気づいてないみたいだけど
「嘘ついちゃ駄目ですよ」
「いや別に嘘じゃないし」
「私、美容液楽しみだなぁ~」
「そうだね~他の人にお願いしとく」
素直じゃないなぁ~
「お腹の子も良いって言ってくれてるのに~」
「ほんと?もう喋ってるの?」
「喋ってはいませんけど感情は伝わってきますね」
大嘘です、でもなんとなくまだ先だって感じてる
「そうなの?でも万が一って事も」
「そんなこと言ってたら何も出来ないじゃないですか!身の回りのことはメーベ達にお願いしますから行ってらっしゃいな、速く見つけてこないとそれこそ間に合わないかもしれませんよ」
「えっと~じゃあお言葉に甘えていいのかな?」
「はい、ちゃっちゃと準備してきちゃいなさい」
「イエス マム!」
準備は~と思ったら探索セット一式を詰めたザックを隠し持ってた
カナさんならこんなとき
「まったく男ってやつぁ」
とでも言いそうだ
「絶対はやく見つけて帰って来るから~、お腹の子にもそう伝えといて~」
助手席の窓からそんな事を言いながら連日で二ポの港町の仕事に行くまっちゃんさんのトラックに飛び乗って行ってしまった
よし!旦那の尻をひっぱたいてやった!ちょっとは夫婦らしくなってきただろうか
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