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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
六章 コンクルザディアの大改革
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127:ドライバーが運ぶもの

まっちゃんが誰とでもコミュニケーションが取れる理由


いつも誤字脱字報告ありがとうございます

二ポの港町唯一の食事処のお昼時、秋だというのにこの辺りは温暖で風通しの良い店内

いつもなら居るのは漁を終えた漁師たちしか居ないが明らかに毛色の違う者が一人


「はいよタラタラの煮付けとメルガ貝炒めセット、まっちゃんいつもありがとうねぇ~」


店の女将も漁師達もエピール族のはずだがサンダン王国中央の者達と比べると体毛が少ない、これは港町から見える対岸のエクダラ島国の血が混ざっているからだと言われている


「姐さんありがとうはこっちのセリフだぁ、俺はここの仕事があるときは前の日から楽しみで仕方ねぇんだから」


二カッと自慢げに嘘は言ってねぇぞと笑っているのは、ここ(二ポの港町)の魚をコンクルザデイアに運搬する仕事で訪れている運送部門のまっちゃん


「そんなにここが好きかい?嬉しぃねぇ、ほらおまけだよ」

セットにもメニューにもない汁物がトンとテーブルに置かれる


「最近じゃそっちからの物も入ってくるようになったから試しに作ってみたんよ」

「こいつぁ豚汁…じゃねえな…つみれ汁じゃねぇか!」


「へえそっちじゃツミレって言うのかいこっちじゃ団子って言うんだけどなんか響きが良いねぇ、これからはそう言おうか」


「うめぇなぁ~、おうおう別に減るもんじゃねぇし使っちまえ使っちまえ」


「しかしここまで来ると、ねこまんまにしてかっこみたくなるぜ」

「ネコマンマ?なんだいそりゃ美味いのかい?」

店の者からすれば聞いたことのない料理は聞き逃がせないのだろう厨房から身を乗り出してねこまんまに反応する女将さん


「あんまりお上品じゃねぇかもしんねえが米と汁もん混ぜてな食いたくなるんだよ」

「そうなのかい」

「ああ無性に食いたくなるね、こないだうちのクレちゃんと大将来た時に米置いていかなかったっけか?」


「ああ、あれかい腹には溜まるんだけど…あんまり美味しく感じなくて」

折角置いていってくれた新しい食材を活かせないからか、相手の美味しいという食材を悪く言うからか申し訳無さそうな女将に手を振って気にすんなと伝えるまっちゃん


「食べ慣れねぇとそうかもな、でもなぁ米はおかずと合わせりゃ何倍にでも美味くなるんだぜ」


「米の食べ方は教わったけどおかずとの食い合わせかい?まっちゃんが言うんだ今日の賄いで試してみるさね、ちなみにどんなものが合うんだい?」


「なんでも合うっちゅうか、この煮付けとだって合うぜ、どうやって食べてんだ?」

「米だけさね、ほんのり甘いけど物足りないって」


「米だけ…そりゃあ物足りねぇだろ、今も炊いた米有るかい?」

「有るけど、もう冷えちまってるよ」

「問題ねぇよ、うめぇ米は冷えても充分うめぇんだ」

米を催促するまっちゃんに冷や飯を持ってくる女将さん


「こうやって煮付けを食べて後から米を口にいれるだけ」

「それだと米の味が壊れちまわないかい?」


米は一度そのまま食べてそれきりなのだと言うではないか


「逆さ、煮付けの味と米の味が混ざり合って美味く感じんだ」


「まっちゃんが言うんならちげぇねや、俺にもコメくれや」

食事処に居た漁師たちがそう言って笑い出す


「それにしてもこうやって聞いてても不思議さね、まっちゃんの話す言葉は間違いなく知らない言葉なのにいつの間にか解る様になってたんだからね、まあおかげでやりやすいけどさ」


「ああ俺も最初は他の種族ともなんとなく通じちまうから不思議だったんだけどよう、これはなんか俺の持ってる力らしいぜ、異世界からやって来たやつには何かしら有るらしい、うちんとこのガルシアってのが居るんだけどなそいつは作物が育ちやすくなる力が有るらしい」


「野菜とか速くて量も穫れるんだろう?羨ましいねぇ」


「でもなぁ、判り難いもんばっかでなぁ、知ったのは俺もガルシアもつい最近だぜ、もっとぱっとわかり易い力が欲しかったな」


「やだよぉ、そんなこと言っちゃぁ恨まれちまうさね」

「こいつは失言だぁ、姐さんの言う通り感謝しねぇとな」

「そうよぉ、おかげでこうやって楽しく出来てるんだから」

にこやかな笑顔で軽くまっちゃんの肩を叩く女将さん



「いやぁ~姐さん相変わらず美味かったよ、ごちそうさん」

「いい食べっぷりだったよ、誰が呼んだかいつの間にか二ポの港町なんていうあんた達由来の名前も付いたことだし、こっちに住んじゃえば良いのに」


「そうしたいのは山々なんだけどな、会社が遠すぎる」

「あんなに速く来れるのに?」


可能な限り真っ直ぐに繋がっている舗装道路をトラックで走って来て七から八時間、馬車が二台しかないこの町の住人からしてみれば移動は感覚的に徒歩だ、となると時速4か5kmの単純計算で二十日程度、そこに睡眠や食事に休憩諸々を入れれば四十日から五十日くらい、天候や魔物との遭遇次第ではもっと伸びるだろう


彼らからすれば五十日が七、八時間信じられない速さなのは間違いないが現代日本人の感覚ではとてもじゃないが通勤に掛けられる時間でもないし、かといってこの港町で生計を立てていくのは無謀過ぎる賭け


「まあ色々あるってことよ、それにここの美味い魚をこれから世界中に運んでいくって重大な使命があるからな」


「「「頼んだよ(ぜ)」」」

店の中に居る者達からの声援を受けて店を後にする


「まっちゃん乗せて乗せて~」

「まだ空だからないいぜ」

燃料タンクは200L✕2の合計で400L、平均リッター4キロとしてフル満タンで1600キロは走れるので多少遊んだ所で問題ない


子供達を荷台に乗せゆっくりと走って喜ばせてから市場に併設された巨大な魔導冷凍庫へと向かう、日持ちしなかった魚も冷凍出来ることで無駄にすること無く商売に使えるようになり港町の所得はうなぎ昇り


所得に対して町が全く追いついていないのが現状、コンクルザディア側からはサンダン王国側に取引をして港町の警護に当たらせている、寂れた港町など賊に襲われてしまってはひとたまりもないからだ


これは喉から手が出るほど欲しいコンパウンドボウの交易を増やすという条件から、コンクルザディアが二ポの港町をそれだけ重要視しているという含みを持たせている


今では自分たちを卑下する者達は居ない、積み込みを済ませたまっちゃんが持ってきた書類に慣れた手つきでサインをする住人、その顔はとても明るい


冷凍された魚を満載して二ポの町を後にして今度はコンクルザディアの住人を笑顔にするためにドライバーまっちゃんは今日も来た道を帰っていく

元々のコミュニケーション能力プラス、異世界で授かりし力


ガルシアさんの件もですが、ちょいちょい伏線は貼ってあってこれからも転移組の力が明らかになっていく予定です


学んで覚えているシェリルからしたら堪ったもんじゃないですね、でもシェリルは言語を学ぶこと自体が好きなのでこの能力は要らないって言うかもしれません


米は主菜なんだから副菜と一緒に食べるだろと突っ込みたいでしょうが、実際にうちの会社の外人さんが食べ方を知らずに「コメハチョット」って実体験だったりします


他にも豆腐に何も掛けずに食べて「味しない…」等々、食材って有れば良いってものじゃなくて調理や調味料、食べ合わせなんかを知らないと最初に食べた時の印象で止まっちゃう事も有るんだなと驚いた出来事が元ネタだったりします


ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


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よろしくお願いします!

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