116:出生祝い
2024/11/12 30000PV達成記念 三話同時投稿 この回は本日3話目になりますのでご注意を
ほぎゃぁほぎゃぁ
大将家に第二子、男の子が生まれた
私とミュレッタもその場に立ち会わせてもらった、生命の不思議…言葉にすると短い言葉だけど圧倒されてしまった、私…大丈夫かしら
不安も感じるけれど抱かせてもらった赤ちゃん、名前はサトル君と名付けられた子のちっちゃな手で指をぎゅっと握られると私も生みたいという希望にも似た気持ちが湧いてくる
私達の出産はまだまだ先になる、カナさんからも
「頑張って」
と握手を交わした、疲れているはずなのにとても力強い手だった
出産したのは奥さんなのに、何故か大将さんがげっそりとしていて疲れ果てていた
「リサの時もそうだったが何も出来ないってのは辛いんだよ」
そうか最愛の人が苦しんでいるのに何も出来ないから…
ちょうどその頃からだろうかクレイさんはバリバリと働き始めてでも定時には絶対に帰って来る、前みたいに仕事で帰ってこないとか夜中までという事が無くなった
帰ってきてからも上げ膳据え膳、ちょっと申し訳ないというか根を詰めすぎているように見えて心配になってしまう…これも大将さんが言うように何も出来ない辛さの裏返しなのかな
サトルくんの出生の祝に二ポの港町から大きなお魚も届いたけどとてもじゃないが一家族では食べ切れないと大将さんが捌いて皆に振る舞っていた
と思ったら工場からも運送部からもそして各種族からまで祝いの品が届いていて凄いことになってる
考えてみれば王都に住む者の胃袋をいつも満たしていたのは大将さんだった
コンクルザディア王国の役職には何も着いていないけど、誰も彼もが救われて感謝している存在…
国王様は国としての決断で助けているけど、国民を現場で一番助けているのは大将さんかもしれない、二ポの港町の魚のメニューも大将さんだしね
なんだろう、なにか報奨とか貰ってもらわないと申し訳ない気がしてきた…っていうか問題はうちよ!お向かいのうちは何を送ればいいの!!
「クレイさん!どうしましょう、サトルくんの祝いの品何にすれば良いのかもう皆が送っていて全く思いつきません、ああぁもっと早く気付けてたら…」
「え?もう祝いの品なら渡してあるよ」
は?いつ?何を?私聞いてないんですけど!!!
「もう結構前に渡したよ、ちょうどシュナがつわりでしんどそうな時だったから言ってなかった、ごめんね」
「いやいやいや、謝罪はいいです一体何を渡したんですか?」
「え?現金だけど」
「へ?」
間抜けな声が出てしまったけど、皆あれやこれや考えて祝いの品を送ったのに…現金…それはどうなの?
「もしかしてシュナ現金だと駄目だと思ってる?」
「だって皆子どものためにって色々考えて」
「そう、皆色々考えて送ってるでしょう、だから現金だったの」
「どういうことです」
「他の人の贈り物も気持ちのこもった物だってのは僕も当然理解している」
「はい…」
「もう物は出尽くしちゃうって判ってたから、自由に使えるお金にしたのさお金なら同じ物がダブることもないでしょ」
たしかにそうだけど…
「ちなみにこれ向こうで兄貴の奥さんにこれやって助かるって言われたんだ、子供が産まれると何かと物入りだけど祝いの品は選べないでしょう現金だとその足りない物に使えるんだってさ」
そう言われると全部が全部現金だとなんていうか味気ないけど部分的に現金だと確かに助かる…凄い現実的なものの考え方だけど
色んな考え方が有るんだ、考え方というか見え方というべきか
「それはそうと」
流された、さらっと…
「エルフの出生祝いとかってないのかな?」
「エルフの出生…祝?」
「うん、人や他の種族に有るようにエルフにも有るんじゃないかなって、うちの子には出来ればエルフ式の出生祝いもしてあげたいじゃん」
そんな事考えてくれてたの?さっき流されたのも全然気にならないというか嬉しい、でもエルフ式の出生祝いか
私より後に生まれた子もいるけどその頃のことは私も小さくて覚えてない、これはメーベに聞くしかないわね
「エルフの出生祝いですか、そうですね覚えていますよ」
困った時の神様仏様メーベ様、使い方これで合ってるんだっけ?クレイさんが似たような事を言っていたのを真似してみたんだけど
早速メーベからどんな祝い方なのか聞いてみる
「ふんふん、なるほどなるほど…それは…結構大変…これ今からで間に合うかしら…」
「大丈夫です!間に合わせてみせますよ」
頼もしすぎるメーベ様!よろしくお願いします
この件はちょっとクレイさんには内緒にしておこう、サプライズってやつね待っててねクレイさん
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