115:小さな甘味
2024/11/12 30000PV達成記念 三話同時投稿 この回は本日2話目になりますのでご注意を
梅雨も終わり季節は夏、エピリズの村では選挙の最終投票目前で八名までに絞られたここから更に初代村長と議員三名が選ばれるとあって盛り上がってるらしいのだけど王都はそんな喧騒とは無縁のような日々
工場はそれなりに稼働しているみたいだけど、忙しいという感じでもない
変化といえば工場長さんが国王の役職?でいいのかな、だけになり時期工場長として品管主任だったホシノさんが就任することになったことだろうか
これで国王様とはっきりしたわけだ、今まで仕事では工場長さん、国のことだと国王様でたまにこんがらがっちゃってたからスッキリした
一応会長職と言って殆ど仕事には関わらないけど相談役みたいなことはするとは言ってたので完全に工場から離れるわけではないみたい
安定期に入りお腹の方もだいぶはっきりと目立ってきた
軽い運動はしているのだけど真夏で暑いから運動は早朝にするようにしてる
「クリシュナさんおはよう」
「カナさんもおはようございます」
大将さんの奥さんカナさん、お向かいで妊婦仲間だけど人の妊娠は十月十日といって私達より速い、もうすぐ臨月のはずでだいぶお腹も大きい
「そっちはどう?変わりない?」
「おかげさまで、こないだも食べ物の件ありがとうございました」
そう妊婦になってから食べ物の好みが変わってしまって色々と教えてもらった上にお店の冷蔵庫から妊婦向けの食べ物まで頂いてしまったのだ
「どうせ減らないから気にしないで」
お世辞ではなく本当に減らないんだけどありがたいことには変わりない
「なんかあれね、うちの旦那とクレイさんなんかしてるみたいだけど何してるのかしらね?楽しみにしててと言ってたから良いことなんでしょうけど」
そうなのだ、私にも楽しみにしててと言っていたから後ろめたい事ではないんだと思うけど…
悪いことじゃないと言われても内緒にされているとドキドキしてしまう、世の中がそこまで安定していないから尚更なのよね
一体何をしていることやら
「それじゃ私はこれで」
少し外の空気を吸いに来ただけだというカナさんは家に戻っていった、結構しんどそう…私もああなるんだろうな
さてと、私も散歩に向かいますか
神社までの林道を行く、木々のお陰で涼しい散歩道だ木漏れ日も心地良い
神社に着くと思い出す、もう二年か…あの子達の母親に出会ったのは春だったわね、あの時はリサちゃんも居たんだっけ
あっという間の二年、あの子達の成長はきっと人間よりも速いドワーフの同い年の子たちと比べても速いと実感する
あの子達はどんな大人になるのだろう
そして私とクレイさんの子も…
「こんにちわ」
「神主さんこんにちわ、精霊様もお元気そうで」
神主さんとふわふわと浮かぶ精霊様、縁側で将棋をしていたみたい
「うむ、順調なようじゃの」
こうしてときよりお腹の子について精霊様に見ていただいている、精霊様の持つ力はそういった物も見通せるので安心を頂いているの
「いつもありがとうございます」
「なにやらお前の亭主たちが面白いことをしておるようじゃのう、出来たら余の所にも持ってくるように言うておけ」
妖精様は何をしているのか知っているみたい楽しみにしているところを見ると食べ物かもしれない
挨拶を済ませて私も来た道を戻ると途中工場を見ると何やら人だかりが出来ている
クレイさんも人だかりの中にいて何かを配っていた
「シュナ~~」
なんだろう手招きされているので行ってみれば
「これは飴?」
いや、飴にしては光沢がなくて力を込めると飴とは違って崩れた
「やっと出来たんだよ、ラムネ!」
ラムネ?口に含んでみるとシュワッと弾けて溶けていく
「不思議な味と触感それにどんどん溶けていくわ」
「本当はもっと早く作りたかったんだけど間に合わなくてごめん」
突然謝られてしまった、何について謝られたのか解らないんだけど
「ラムネは妊婦のつわりの際に食べられる甘味…とまでは行かないかもしれないけど…」
そのために大将さんと二人でこのラムネを作ってくれていたの?
「とっても美味しいです」
「ほんと!?良かった~」
こんな風に思ってくれる旦那さん、ラムネ…一粒は小さいけどいっぱいの好きと優しさが詰まっていてこの好きをどうやって私はクレイさんに伝えられるんだろう
好きという言葉だけじゃ足りない、いっぱいの好きを伝えられるようにこれからもずっと、ず~っと自分を磨いていくんだ
「一緒に頑張ろうね」
そうお腹の子に呟いた
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