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攻めんといて!俺達は異世界にコンクリートで専守防衛国家を作りたい  作者: くろすおーばー
五章 コンクリート鎖国と外交ドクトリン
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111:エピリズの村の問題点

今年の雨季は大して雨もふらなかった、クレイさんが言うには空梅雨というらしい


そのお陰もあってかエピリズの村での交易は順調に推移していて村からは宿屋の建設の陳情が代官のオルドアさん経由で上がってきていた


不満やクレームなどはこうやって陳情書としてオルドアさんの元へと上げてもらう、無記名でも構わないけど名前入り、陳情書を本人が持ってくる場合は村の改善に役立ったものには金一封貢献度合いによってはその金額も変わると有って無記名は殆どなかった


そうやって上がってきた物を皆で吟味する、司会進行はシェリルで議題の陳情書を読み上げる


まず最初に上がったのはトイレの問題、住民だけならばまだしも交易となれば人口以上に往来が増えて現在のくみ取り式のトイレだけでは間に合わないのだそうだ


「トイレの問題は早急にした方が良いでしょうね」

クレイさんは公衆衛生の重要さについて説いている


「道端でされたり路地裏なんかにされると感染症や疫病にも繋がりかねません」

「それは確かだが水洗のトイレを村中に通すとなれば相当な時間が掛かるぞ」


それもそうだエピリズの村にも近くに川が有るけれど王都でしているように下水道に浄水槽などを付けるとなれば時間も掛かる何より王都に比べて人口がエピリズの村の方が多い…


王都なのに村の方が人口が多いというのはこれ如何に?な気はするけどそれは丘とその周辺しか土地がないのだから仕方がない


「仮設トイレはどうでしょう?」


仮設トイレ、イベントなどの人が集まる時に設置するトイレでトラックなどで移動させることが出来るトイレなのだとか、異世界ではそんなことまで出来るのね


「これなら経費もそこまで掛かりませんし、開発中の発電機とフェークから取り出して複製したモーターを使って川からも水を汲み上げられると思います」

水はてっきり水魔法を使える者が一つ一つ足していくのかと思ったけどモーターと発電機を使うのね


その発電機に関しての開発状況は第二段階に移っていて大型化を目指しながら小型化を検討するという一見すると矛盾しているような状況


大きくすることで大きな力を得るのが第一目標だけど、小さくても大きな力が出せるならもっと良いよねという考え方でクレイさん達らしい発想だなと思う


「宿屋についてはホテルを建ててみるのはどうです?村の目玉にも出来るし従業員も多く雇えます」


「確かに目玉にはなると思うしかしだね、基礎に関する知識は有っても上に建つ物に関するノウハウは」


「サンダン王国から技術者を呼ぶんですよ、あちらでは三階建ての豪奢な建物も見受けられました、確実にプロが居るはずです。サンダン王国も目玉のホテルに自分のところの技術が使われたとなれば喜ぶと思うんですよね、銘板にはもちろんサンダン王国の協力とその技術者の名も入れて」


前のめりになるクレイさんを制す国王さま


「判った判った、サンダン王国には技術者を募ってもらう書状を送る、私としても両国の親睦を深められるのはやぶさかではないからな、だから落ち着きなさい」


だいぶ勢い任せの発言だったけど通ったのが嬉しそうなクレイさんの顔、これがドヤ顔?というのだろうか


続いての議題、これでさっきまでのクレイさんの浮かれ調子も一気に吹き飛んだ


「エピリズの村での犯罪や暴力行為についてです」


「エピリズの村の住人は元々サンダン王国の民であるため交易相手とのいざこざはそれほど目立っては降りません、ですが村に移り住んできた者たちの大半がサンダン王国では低所得者ないし下級貴族、王国側から来る者の中には見下しや差別が見受けられるということです」


もうサンダン王国の者ではないのだからサンダン王国の物差しで見られても困る…がこういった物は一朝一夕にはいかないもの


はっきりとした階級社会ならなおさらだろう


「国同士で意見交換して行くのは当たり前として、現場クラスではどう対処しましょうか…」


ノウミさんが発言する

「現在エピリズの村の住人には魔力封じの腕輪を着けていますが外すか、交易に来る者にも滞在中には魔力封じの腕輪をしてもらうというのはどうでしょうか?」


「それはいささか早急過ぎて危険ではないかね?」

国王様は不安げだ


「しかし、見下してくるのには相手が反撃してこない、反撃してきたとしても大したことないと思われているからというのも考慮にいれるべきかと」


それも一理ある、けど喧嘩がより大事になる可能性もある


「私としては…」

挙手をして私なりの意見を言ってみる


「この王都では、魔力封じの腕輪をしているものは居ません、その状況から見て現在の村の者、全員が魔力封じの腕輪をしているのは異常な状態に見えます、ですが状況を鑑みれば致し方ない部分もあります、でも段階的にでも腕輪は外されていくべきかと」


「段階を経て…か、私もその意見には賛成だがその段階の選定はどうするべきかね」

国王様は最近になって伸ばし始めたあごひげに手を当てて考えている


「我々だけで考えるのではなく、当事者も選定基準の取り決めに入れてみてはどうでしょう?それだけでも将来的に腕輪を外せるという希望になるでしょうし、参加者も自分たちのことですから必死に考えてくれると思います、与えられたと思うのと勝ち取ったと思うのでは意味合いがだいぶ代わりますよ」


なるほど、結果が同じだったとしても施しか自分たちの力では捉え方は全然違う


エピリズの村には段階的に腕輪が外される事が公布され、その段階の選定にエピリズの村から三人の代表者を招くという確約がもたらされたのだったが


これが更にエピリズの村に混乱を招くとはこのときはまだ誰も思っていなかった

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