107:ベビー用品と新たなコンクリ開発
本日投稿2話目!
そろそろ臨月を迎えるオークの奥さん達を前に試作ベビーカーが並ぶ
赤ちゃんが入る籠部分の外枠は強度の有る軽量コンクリート、それをホビットの加工した生地で覆い籠の底と車輪には弾力のあるこんにゃくコンクリートを使用
自由自在に成形出来るコンクリートさまさまだけど、今回は工場での生産ではなくドワーフの工房製
部品もコンクリートだけでなく所々で加工した鉄筋なども使われているし手の触れる部分は木製だったり、車輪部分には軸の摩耗を最小限にするためにベアリングまで組み込まれていてドワーフのこだわりが見えてくる
工場では使用するコンクリートは大量生産向きで少量のコンクリートで作る製品作りには向かない、工場で作っていたのは本来500kg以上8tの大型製品それを無理やり小型製品に合わせて稼働していた
そこで小型のプラント、新たなドワーフの工房と工場の百分の一にも満たないプラントを作ったのだ
これならば生産ラインに乗らないようなハンドメイドの一品物や小型の製品に対応しやすい、その新しい工房での製品群の第一号がベビーカー、多産なオークに合わせた三~五人用のベビーカーを筆頭に他の種族向けの一人用のベビーカーまで多種多様、他種族共生国家ならではのラインナップと言えるだろう
この工房が軌道に乗ればエピリズの村にも暖簾分けされるらしい、当分の間は『ないじゅかくだい』?といって他国とではなく国内だけで経済を回すんだとクレイさんが教えてくれた
街行く人々の顔はとても明るい、ほんの一・二年前に故郷を失った種族たちとは思えない幸せそうな顔で工房の前に並べられたベビーカーを熱心に見て回るオークの夫婦達、もう頭の中では生まれた子供達を乗せて出かけている姿を思い浮かべているのかもしれない
そんな幸せそうな顔に一役買えているのかもと思えば魔法陣コンクリートの開発に携わるものとして嬉しい
ベビー用品はこれだけに留まらずベッドやゆりかご、スライムの皮脂で成形された哺乳瓶、ホビット達の布おむつの生産とドワーフの工房だけでなく幅広く行われている
最近では住宅ローンなる制度も登場し王都の外に家を建てる事を国として推奨し始めた事もあってローンについての相談窓口には列が出来たり出来なかったり
担当は住民課のガルダンさん達が受け持っていてその上エピリズの村にも出張所を作らなければならずかなり多忙な部署になってしまっている、現地での臨時職員も募集しているけどそれの面接も結局は住民課のお仕事何をどうあがいても死ぬほど忙しいことに変わりないけど今はやりがいがあるとガルダンさんはいう
幸せそうな人々、私もその一人だけど心配事も有る…最近クレイさんの帰りが遅かったり場合によっては泊まり込みになることも有る
国の法案が多くてごめんねと言うがきっと違う、毎日疲れ切っている顔を見ればもっと深刻ななにかに対応しているのだと判る…けど、いつかクレイさんから話してくれると信じてる
私もやっとつわりが終わって安定期に入ったんだと思う、最近では良く動けるし新たな魔法陣コンクリートの開発を始めている
今工場から頼まれているのは魔力コンクリート電池の開発、魔法陣を書き込んだコンクリートカートリッジに魔力を込めてカートリッジを嵌めた物の動力源にするというもの、機構としては魔力を込めて放出させるだけだから構造としてはそう難しいものではないけど問題はカートリッジの形状と適した出力、電池そのものというよりは規格を作ろうというものだから大変なのだ
ちなみにこれが完成すれば充電屋ならぬ充魔力屋という職業が産まれるだろう、魔力はこの世界の誰しもが持っているので作られた魔道具使うことは出来るけど魔力は消費する、代わりに魔法を使うのが苦手でも魔力量の多い者は自分の魔力を売れて商売が出来ることになる
もう一つは魔導モーター、魔力電池で動くモーターの開発、電池との兼ね合いが有るからこちらも規格を作らなければいけないのだ…こちらの機構はドワーフ達が考えてくれるのでまだマシでは有るけれど長い道のりになりそう
でもこれが出来れば行く行くは洗濯機やエアコンなんかもこの丘以外でも使えるようになるのだと思うと、さっきの夫婦の様な笑顔をまた見れるかもしれないそう思えば頑張れる
ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので
『ページの下にある☆マークでの評価』
よろしくお願いします!