106:推測
本日投稿一話目
二人が帰って来るよりも早くドローンからの映像を携えた別働隊が帰ってきた
映像だけでは攻撃対象が二人ほぼ同時に倒れた様に見えて何が起きたのか推測の域を出ない、しかも二人が居たはずの場所が直後に爆発したのも画面には収められていて、イレギュラーが起きたことは確かだ
「裏切り者が居ますね…」
「フェデンの旦那…は無いとして何が目的だ?」
「今はなんとも、二人が無事帰って来るのを待つしか…」
「それなら二人の帰還の為の部隊を送るが構わないな?」
「もちろんです、二人の事よろしくお願いします」
正規兵十五名を繰り出しての二人の帰還のサポート任務、正規兵が五十名に満たない我が国の現状を考えれば大規模な任務と言えるだろう
エピリズの村からも募集で五十名の人員が正規兵になるのを待っているが軍の規律を考えて十名ずつの入隊、若い者は開校がずれ込んでいる学校への入学という形で対応していてまだ使い物にならない
大規模なサポートを付けはしたが問題なく彼らは帰ってきた、このコンビはかなり優秀だと言えるだろう
「検疫を終えたばかりで申し訳ない、早速ですまないが現地で起こったことを教えて欲しい」
疲れているだろうに表情には出すこともなく報告を始める二人
「では君たちは第一攻撃目標の女を狙ったのだな?」
「はい、私が胸に着弾するのを確認、死亡したと確認しております」
「ご苦労、では宰相については何が有ったと考えられるか君らの見解を聞かせてくれ」
「宰相を狙ったのは…」
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二人が部屋を後にすると部屋では、ふぅ…誰と無くため息が漏れる
「解せませんね…」
「全くだ、例の女のグループが宰相を狙ったのなら何のためなのかさっぱりだ」
ノウミさんも顎に手をやり思案顔
「そうですね現時点で操れているのだから消す必要もない、コントロールできなくなりますからね…別に勢力が居る方が納得出来るのですが」
「もう一つ問題が有る、宰相を狙った勢力が何処であれ、小銃に相当する武器を持っていることになる…」
そうなのだ、ベリーの話では魔法…火や水といったものが飛んできたわけでも無さそうだ、だとすればノウミさんが言ったように小銃だと考えるのが妥当だ、同等の小銃でも充分にたちが悪いが同等以上となるとコンクルザディアの優位性は揺らぐ…いや崩壊すると言ったほうが良い
せめて発砲音だけでも聞けていれば銃だとはっきりするのだが煙幕手榴弾の爆発音で他の音は聞こえなかったとベリーは言った
さて、二人からの聴取は終わったがまだあと二人話を聞かねばならない者が居る
俺とノウミさんは独房へと向かう
「クレイ殿…申し訳」
「フェデンさん謝罪は結構、でその二人が裏切り者ですか?」
フェデンのおっさんの部下だった男たちは後ろ手に縛られて椅子に座らせられている
「裏切り者はどっちだ!サンダン王国貴族の風上にもおけぬ輩が!」
「偉そうに…貴様が祈年祭当日に大臣に会いに行ったことはもう解っている、私の代わりに騎士団の席でも強請ったか」
あ、騎士団だったんだそれもその言い方だと団長とかそういうクラス?聞き出す前に喧嘩腰になっちゃってそれからは貴族のおっさんの認識で終わってたわ…ごめんよ
まあいいか
「ところでこの本、文字は読めないでしょうが細かく解説してくれてるんですよどれが良い?」
眼の前でペラペラとページを捲ってやる、本は世界拷◯辞典
ガタガタと震えだす貴族の男、隣のもう一人は彼が何を見せられているのか解らないがその怯え様に顔が引き攣っている
脅しでは有るが吐かないのなら本当にする
国の未来が掛かっているのだ敵国の人間…じゃなかったまあ男一人の命、天秤にかけるまでもない
他愛もなかった、何をどうしたとは言わないが向こうも命は助かったしこちらも最小限の時間でで口を割ってくれてこちらとしても助かった
結局彼らが裏切った理由
暗殺者を阻止することで功績を手にサンダン王国での返り咲きを狙ったという短絡的なもの、フェデンの元に集まったものの思ったような地位はコンクルザディアでは得られず、ドルド将軍が公に処刑されたことで功績無しには帰れない、救国の英雄になれば処刑どころか返り咲けると踏んだようだ
誰が宰相を撃ったのかは知らないという事だった
あれだけやっても吐かなかったのだから本当に知らないのだろう
こうして彼らは返り咲きの代わりにコンクルザディア初の戦争犯罪奴隷、二度と奴隷から開放されることは無い身分を得た
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