100:発電所を作ろう(第一段階)
本日投稿2話目
不思議な力が働いているコンクルザディアの丘、シンバ駐屯地と違いエピリズの村には当然電気がない
ケーブルを引くには遠すぎるし、電源の消失で一緒に使えなくなるのは避けたいという事で発電所を作ろうという話になった、期限は特になし当面のコンクルザディアの研究課題の最優先事項として設定されたのだ
どれほどの電力を確保できるか判らないがやるだけやってみようの精神、電動フォークリフトのモーターを取り外しバラバラにしてから丘から持ち出して複製、その後に再度組み立ててモーターの複製は出来たこれを回すことが出来れば理論的には電気が発生するはずだとクレイさんは言う
肝心の回すための動力源には火力発電を採用するつもりなのだとか、これにはゴミの問題が関わっている処理に困っていたビニールゴミに人口増加ででたゴミを燃やすのも間に合わなくなってきていた
そこでせっかくなら発電とゴミ処理場をセットで作ろうという話になったのだった、しかしいきなりデカい施設を作って稼働しなければ意味がない
今は実験の第一段階、実際にモーターで発電出来るのかどうか、汽力発電という蒸気によってモーターを回す仕組みで実験が行われる、ちゃんと稼働するのなら水は川から引いてくる事になっているけど今はそれ以前の実験段階
使用されるパイプ類は高圧ガスを通す圧力に一番強いパイプが使われるが耐圧には耐えられても耐熱はどうか専門家ではないからやってみるしか無いらしい
駄目だった場合は魔法陣を刻むなりして各種の強度を上げることになっているけど、出来ればそのまま使えるのならそのままで行きたいということだった、確かに無加工で行けるのならそれに越したことはないものね
一回目の実験は失敗、何処も壊れなかったけどモーターは回らない、火力不足か必要な蒸気が足りなかったのか原因はどちらかだろうという事になって蒸気の通るパイプを二本に増やすことになった
とは言えクレイさんも多忙発電所だけに付きっきりというわけでもない、そろそろ働き過ぎで少し心配
何か私の力で楽に出来れば…そうだ、何も物理だけに拘らなくても良いじゃない魔法の力も使えばもっと楽になるはず、モーターの羽も魔法陣を組み込んだコンクリートにすれば…
ぐったりと疲れて帰ってきたクレイさんに話してみる
「え?そんな事考えてくれてたの…心配掛けちゃったか…ごめん」
子供を宿してからのクレイさんはちょっと頑張りすぎ事態がそうさせるってのは有るけど
「子供に毎日そんなぐったりした顔を見せたい?」
「それは…嫌だね、本当にごめん」
「そう思うのならしっかり休んで下さい!」
「しっかり者の嫁さん貰ってお父ちゃんは幸せものです!」
お腹を擦ってくるクレイさん
「もう、しっかり休んでくれないとお腹も触らせませんからね」
ちょっと強めだけど頑張り屋さんにはこれぐらい言わないと駄目なのだ、翌日はついでに工場長さんにもクレームを入れておいた
「うちの旦那が倒れたら責任者は工場長さんなんだから怒りますよ!」
突然の剣幕でやってきた私にびっくりした工場長さんは目を丸くしていたけど事情は理解してくれたようでスケジュール管理をしっかりするという言質を貰って帰ってきた、これで少しはマシになるでしょう
帰ってきたクレイさんは苦笑いしながら
「工場長に謝られたよ、でもまあ俺が張り切りすぎただけだからさ工場長のこと悪く思わないでやってよ」
「そうですけど監督するのは工場長さんなんですからしっかりしてもらわないと困ります!不行き届きってやつです」
更に苦笑いのクレイさん
「俺の身体心配してくれるのはありがたいけどシュナの方はどう?変化とかしんどいとか有ればそれこそ遠慮しないで言ってよね」
「今のところは大丈夫です、本当に」
「それじゃあ、今日見つかった問題点なんだけど、これって魔法か魔法陣でどうにか成りそう?」
そう言って図面を見せてくれるクレイさんと私は課題クリアのために話し合う、この子が生まれる頃に発電所ができていたのなら思いっきり自慢してあげよう、あなたのパパが造ったのよ!ってね
それからというもの課題点を見つけては魔法や魔法陣での改良について話し合い冬も深まった頃に第一段階である発電自体は確立できた、が大した発電量じゃないそうでこれを大きくするのかそれとも数で補うのか課題は次の段階に移っていった
発電所…とまでは行かずに発電機止まりの一号機はそのままエピリズの村の街灯の電源として動いていて村では大層な賑わい、新たな門出の象徴として灯りはピッタリだった
結局のところ大型化を目指して開発が進むことになり発電所目下の課題は磁石の大型化、コイルなどはなんとか出来ても一つの塊としての大型の磁石作りはノウハウが全く無い、発電所の画像を見せてもらったけどかなり大きい…本当に作れるのだろうか?
壮大なプロジェクトだけど、まずは磁石をどうやって作るかという根本的な所から発電所第二段階の実験は始まったのだった
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