閑話:コンクルザディア見学ツアー 駐屯地編
本日投稿2話目です。もう少し閑話が続きます
捕虜全員分の魔力封じの腕輪が完成、一列に整列して腕輪をはめていく
これで正確な捕虜の人数は543人だと確定した
やっと捕虜らしくなった?しかしこれは管理番号でも有り『コンクルザディア王国体験ツアー』のチケット番号、若い番号から順に三十人ずつ、二台の15t大型トラックに乗せて
駐屯地経由コンクルザディア行き
トラックや重機が次々と入ってきて物資の搬入や最低限の道の建設、チハ公に似た存在がまだ居るのかと絶望仕掛けるわ
中から人や他の種族が降りてきてそれが乗り物だということを知って驚愕するわ
といった反応も、こちらとしてはもう見慣れているというかそんな反応を楽しむよりもこの状況のどう改善していくかという極めて冷めたお仕事感覚、温度差が酷い…
技術力の違いに慄き戦う牙を失った捕虜達そんな中でも気骨が有る者が残っていた様で
「舐められたものだ…」
捕虜の誰かが呟いたが気にしない、きっとチハ公を監視のために丘に残したままな事で
(あいつさえ居なければこの人数が合流できればなんとかなる…)
とか思っているんだろう、だからこそ先に駐屯地の演習場も見学場所に入れてある
「、、、」
演習場で彼らが観たのは首だけのチハとでも言うべきか、やっと足回りが完成しシュナの開発したコンクリートこんにゃくを改良して生産にこぎ着けたコンクリートタイヤを履いてずらりと整列していた
九五式57ミリ野砲 10門
記憶に新しいチハ公の火力
それを除けばフェデンのおっさんたちに見せた小火演とほぼ同じ流れで銃火器も同じく小さいものから大きなものへと言った順番だ
今回は前回起きた、号令が聞こえないという兵士達からのフィードバックを受けて拡声器やレシーバーを使う事にしてある
「クレイ殿…私が以前観させて貰った時よりも動きが…」
確かに前の時よりも動きが洗練されている、結果として彼らが前線に出る事は無かったがプロパンガスのバルクタンクの複製から設置まで短期間の間にやり遂げなければならないという状況が連帯感を培ったのかもしれない
「そうですね、何処かの国が攻めてきたことで練度が上がった様です」
はぁ~と手で頭を抑えてため息をつくフェデンのおっさんは皮肉な事だ…とポツリと呟いた
チハ公のインチキしか観たことの無かった兵士たちにとっては小銃の威力と性能、そして魔力を必要としない誰でも使える汎用性は、高練度が必須な魔法使いをチハ公とは別の意味で震え上がらせた
大げさに言えば、構えることが出来れば全員魔法使いクラスの兵士になってしまうのだから堪ったもんじゃないという心情はフェデンのおっさんの時で充分理解していたからな
喜んで心を折らせてもらった、これで
『舐められたものだ』と言った誰かもこのデモンストレーションで考え直した事だろう、なんで判るかって?見学者全員漏れなく顔が青ざめていたからだよ
代わりに聞こえて来たのは
「大変な国を相手にしてしまった…」
という嘆き節、そうそうそれ!そういうのが欲しかったんだよ
どんなに上が現状を解って無くて、戦え!と言ってもプライドもへったくれもなく『No』を叩き返せる状況作りは重要、愛国心を人質に無謀な策なんて取らせてやる気は毛頭ない
戦後80年経とうが遺族の悲しみは消えない、クレイはお手伝いさせて頂いていた慰霊碑で手を合わせていた老婦人の姿を思い出していた
続いて向かったのは駐屯地の厩舎、入る前に手洗い消毒を頼んだけど流石は馬と共に暮らす歴史が長いからか素直に消毒に応じる
馬は神様からの贈り物らしいし神社の手水舎みたいな感覚なのかもしれないな
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