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死に戻りをした元極悪魔女は、三度目の人生で初めて恋を知る。  作者: いとう縁凛


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8.3


「リレイオを助けたいってどういこと? その、リレイオからはルヴィンナが共犯だって聞いたけど」

「それなのに、あたしの言葉を信用してくれたのね」

「そ、それは、まぁ……ルヴィンナの気持ちは知っているし、リレイオの考えもわかったし……そうだ、さっき、あたしと違ってって言ったよね? ここに来たこと、リレイオにばれちゃったらダメなんじゃないの?」

「それは問題ないと思うわ。似ている精霊魔法だけど、効果が違うもの」

 ルヴィンナ曰く、彼女の目にかかっているのは外界から魔力を取り込みやすくするもの。フリッカのように居場所がわかるようなものではないらしい。

「それで、燻製を作るときに長くできたんだ」

「そうなの。あのときは悪かったわ。リレイオが誘ってくれたことだし、フリッカよりも成果を出せたら、あたしへの考えも変わるかなって思ったの。四属性持ちのフリッカに叶うはずなんてないのにね」

 肩を落とすルヴィンナの手を引き、長椅子へ行く。話し合いのときにノエルの対面で座っていたヒューイは、ノエルの横へ座った。

 ルヴィンナの隣に座り、話を聞く。

「リレイオは、フリッカが気にかける全ての人を消すと言っていたの。それがどういうことなのかあたしにはわからないのだけど、フリッカはわかる?」

「……うん。リレイオから話を聞いたからね」

「そっか。リレイオから……やっぱり、フリッカは特別なのね。あたしではリレイオを助けられない。都合が良いって思われるかもしれないけど、リレイオが人殺しにならないように助けてほしい」

 ルヴィンナの訴えは、彼女自身の潔白を証明するものでもあった。

 リレイオは、五年前すでに魔物で人を殺している。だからリレイオを人殺しにさせないという願いは叶えることができない。しかし、今以上の罪は止めることができる。

「わかった。ルヴィンナのためにも、絶対にリレイオを止めてみせる」

 相手は魔物を使うリレイオということで、警邏隊のヒューイは各街の警邏隊と連携をとる、ルヴィンナの護衛ということで動き始めた。

 フリッカは魔物の知識を教わるため、戸棚に入っている報告書の束を持ってくるノエルを手伝う。隣に座り、書類の山を見た。

「こんなにたくさん……魔物って、たくさんいるんですね」

 机の上にいくつも置かれた書類の山。これの一つ一つに魔物のことが書かれている。全ての知識を叩き込む時間はあるだろうかと考えながら、一枚ずつ目を通していく。

 十枚ほど読み進めると、いくつか同じ魔物について報告されているような気がした。

(一枚目と、五枚目、あと八枚目かな)

 魔物の生成原理以外のことはわからないからこそ、目についた。

「フリッカ? さっきから何をしているんだい?」

「あぁ、すみません。何枚か読んでいたら、魔物の情報を整理できるんじゃないかって思って」

「どういうことだい?」

「例えば、一枚目とこれとこれ。魔物の属性、攻撃方法とか気づいたこととか書いてあります。三枚の報告書、同じ魔物のことを言っていませんか」

 フリッカに提示された書類を見たノエルは、一枚一枚に目を通す。

「……確かに。報告書は魔物と遭遇した隊員が全員書くから、どうしても数が多くなってしまうんだ。情報も煩雑になってしまう」

「誰か記入係を決めたらどうでしょう?」

「それができれば良いのだけど……情報を持ちかえることを念頭に置いてしまうと、他のことが疎かになってしまう。攻撃をしない隊員は、魔物に狙われやすくなってしまうんだ」

「そ、そうですよね……魔物との戦いは、常に命の危険があるんですよね。ごめんなさい、浅はかでした」

「いや、フリッカが謝ることじゃないよ。そもそも、こうして提出された報告書を整理するのが僕の役割でもあるからね」

 そういえば討伐隊の庁舎内の部屋でも書類の山ができていたなと思い出す。ノエルが出動せず、書類仕事だけをできるのなら整理も可能だろうが、なかなかそうもいかないのだろう。ノエルが出なければ、現場で指揮を執る人間がいなくなる。

「ノエルさんは忙しいですもんね。わたしも魔物の情報を頭に入れたいので、ちゃちゃっと整理しちゃいますね」

 書類の山を一度床に下ろす作業をノエルに手伝ってもらい、机上に広げられるだけの報告書を並べる。

共通項捜索(ヴィリンガセクナ)!」

 詠唱すると書類の一部分が光り、光った書類が宙に浮いた。

「すみません、ノエルさん。浮いたやつを回収して、書類の山と混ざらないようにしてもらえませんか」

「了解した」

 ノエルの手を借りてどんどん報告書を仕分けていく。作業をしている間に時間が過ぎ、昼食を挟んで仕分けした内容を確認することになった。


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