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死に戻りをした元極悪魔女は、三度目の人生で初めて恋を知る。  作者: いとう縁凛


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第八話 決戦準備

現在、ラストを創作中です。

更新までの時間稼ぎをします。すみません。


 フリッカ、ノエル、ヒューイの三人で対策会議をする。少しだけ時間の猶予があるとはいえ、あまり悠長に時間を使えない。

「えっと、まず必ずやらなければいけないことは、わたしが魔物のことを知るということ。あとは、リレイオの動向を探りたいんですけど……」

「話を聞く限り、リレイオ君はフリッカに執着している。だけど、フリッカにすら事の全貌を伝えなかった。それならこちらの姿が見えている状態では、逆に何も準備ができないんじゃないだろうか」

「犯人の所に人を派遣するか」

「……いや、それは得策じゃない。執着しているのはあくまでもフリッカだけで、それ以外はどうでもいいと思っている。フリッカ以外が監視すれば、命はないと思う」

「かといって、わたしが監視していたら何も対策できないですし……遠隔攻撃は防がれちゃう上に、攻撃に使った魔力はリレイオに吸収されちゃうので何もできません」

 フリッカとノエルが考えこんで口を閉ざしていると、ヒューイが提案する。

「サージュは何でもできるんだろ? 相手から見えないようにするってことはできないのか」

「なるほど。ちょっと作ってみますね」

 透明人間になったときの体はどんな状態なのか。そんな難しいことはわからない。だったら、肉眼では見えないようにすればいい。

 フリッカは両手に四属性分の魔力を練り上げて、自分の胸に当てる。

単頭不可視(エトセホータ)!」

「おお……サージュがゆっくりと見えなくなっていく……」

「なるほど。姿は見えないけど、ここにいるかどうかは、座面の沈み込み具合でわかるね」

 フリッカからすると何も視界は変わらない。しかしノエルたちが状況を伝えてくれたおかげで、どういう状態なのかわかった。

「徐々に見えなくなるということは、発動するとしたら少し早めにということですね。それに座っているとわかるなら、見えなくなるだけで存在はしていると……ちょっと試してみますね」

 フリッカは立ち上がり、すぐ傍で跳ねる。

「お? 俺から見て右側で跳ねたか?」

 次は長椅子の周囲を歩き回る。

「フリッカ、もしかして今、歩き回っているのかな」

 フリッカの動きに合わせて、ノエルが顔を動かしている。ヒューイも同様に動かすが、ノエルと比べると少し鈍い。

「ここかな?」

「みゅぁっ」

 肉眼では見えないはずなのに、ノエルはフリッカが背後を歩く瞬間を狙って手を伸ばしてきた。座っているノエルが背後に伸ばす手だから、ちょうどフリッカの胸辺りに来る。その場にいることを確かめるように指を動かすから、フリッカはすぐに手が届かない場所まで逃げた。

「音を追えば触れるね」

「どうした? そんなところでしゃがみ込んで」

「え?」

「……ノエル。お前、サージュに何をしたんだよ。あいつ、顔真っ赤だぞ」

「……まだ解除していないのに、わたしが見えているんですか」

「見えてるぞ?」

 ヒューイの指摘に、ノエルも頷く。これまで経験がなかったせいで忘れていた。精霊魔法を発動するときは、平常心で行えと魔術講義のときに言われていたことを。

「……まだまだ修行が足りないなぁ……」

 ため息をつきながら二人の元へ戻る。長椅子に座り直そうとしたとき、ノエルが震える声で聞いてきた。

「……その、気のせいだったら言ってほしいのだけど……もしかして僕、さっきフリッカの胸を触ってしまった……?」

「えっと、はい、そうですね」

「申し訳ない!!」

 フリッカが長椅子に戻るときに改めて身長を確認したのだろう。ノエルは長椅子の端へ行き、深々と頭を下げた。

「いえ、あくまでも、け、検証ですから。気にしないでください」

「いや、そういうわけにもいかない。ここは責任を取って」

「ノエルは相変わらずまどろっこしいな。両想いなんだから、どうせ結婚するだろ? 責任なんていくらでも取れるんだから、今はとにかく話し合いを優先するぞ」

「そ、そうですね。今は何より、リレイオへの対策を考えないと」

「そうですね? フリッカ、それはどの言葉に対する肯定なのかな? 僕と結婚してくれるということだろうか」

「っ、そ、それは、まだわからないです。ノ、ノエルさんが初恋なんです。結婚とか、具体的なこととか、これから学んでいかないといけないから……」

 フリッカが指遊びをしていたら、ノエルにその手を取られた。ボッと急激に体の熱が上がる。

「あっちぃな、この部屋は」

 良いながら、ヒューイが風を入れようと窓を開けた。

「ノエル! サージュ!」

 鬼気迫る声で呼ばれ、フリッカとノエルは窓へ急ぐ。バルコニー越しに――フリッカが対策のために施していた防御魔法越しに、ムールビーが中へ入ろうとしていた。


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