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096.おでかけ

「そいや、明日何着てこう」


聖女様との約束を翌日に控え、そういえば外行きの服を用意していないなと思い出した俺はルビィにそんなことを聞いてみる。


「そうですね、無難な格好でよろしいかと」


「そっかー」


ちなみに今は動きやすい普通の服である。


大体ファンタジー系RPGの初期装備を思い浮かべてもらえばわかりやすいんじゃないかな。


布の服、もしくは旅人の服、とかそんな感じ。


浄化の魔法で綺麗になるからわざわざ着替える必要もないしね。まあお風呂入ったら気分で着替えるんだけどさ。


ということでそんな格好で偉い人に会いに行くのは流石にはばかられるというか、場にそぐわない格好をして行ってもなんのメリットもないし。


ラフな格好で発表会のステージに立つ某世界的電気機器メーカーの社長だって、あれはあれでそういう経営戦略なんだしね。


なんでまともな格好をして行くべきなのは間違いないんだけど、その格好に困るっていう。


「以前と同じ格好ではいかがでしょう?」


「着物かー。あれ動きづらいんだよね。あと目立つし」


まあこの際動きにくいことには目をつぶるとしても、無駄に目立つとデメリットが大きそうな気がする。


「逆に目立つことによるメリットもあるかと」


「あー、確かに」


あの格好で行けば迷宮主が教会の聖女様と会ってるって特に貴族の間に広く伝えることになる。


なら少なくとも普通に会談ができるような関係とアピールすることは、ダンジョンの地位を安定させることに繋がるとも考えられるか。


「そうだ、ルビィも一緒に行く?」


ちなみに今日もいつもと同じ肌に密着したドレス姿のルビィはいつもと同じように美しい。


「お誘いいただいて嬉しいのですが、二人揃って出向いてはダンジョンの方が疎かになるかと」


「それもそっか」


生身で直接王都に出向くわけじゃないにしても、外で何かやってればこっちの中の確認に使うリソースが減るのは間違いない。


具体的にはモニターを二つ並べても一つと同じように内容を把握することはできないのと同じ感覚かな。


城に呼ばれた時は二人で行ったけど、あれはそうするだけの理由があるケースだったしね。


まあ教会の相手も同じくらい重要ではあるけれど、聖女様個人との面会だしこれから何回か会う予定でもあるからその重要性は一段下がるかな。


「久しぶりにルビィの着物姿も見たかったんだけどしょうがないか」


「主様がお望みでしたら、いつでもお見せいたしますわ」


「ほんと? じゃああとでお願いしていい?」


「もちろんですわ、主様」


やったぜ。




「そんじゃ行ってくるね」


「はい、主様」


ということで翌日、着物に着替えた俺は外に出る前にルビィにそれを伝えていく。


今回は前回よりも動きやすさを重視した布で用意した着物なので、動きやすいし暑さも控えめである。


その分見た目はカッチリしてない軽い感じになるけどね。まあいいでしょ。


ちなみに例のごとく生身ではなく人形である。


「んじゃんじゃ」


ルビィに見送られて転送陣からダンジョンの外へ。


といってもこの見た目で入口に直行したら流石に目立つっていうか素性がバレバレユカイなのでダンジョンの上にそびえる山の中のちょっと離れた場所へ。


周りには木々が生い茂り、山の下から視界は切れている。


ついでに梟の目で周囲も確認済みなので目撃される心配はない。


ダンジョンの外は自由に俯瞰できなくて不便ねえ、と思ったりもするけど梟くんが働いてくれるからまだマシか。


そんなこんなでちょっと歩いて林を抜けるとそのまま平原を続く街道が見え、徒歩五分で王都に到着だ。


まあ問題があって、俺の目の前に馬車が止まってることなんだけど。


「ごきげんよう、迷宮主様」


「こんにちは、お姫様」


馬車から降りてきたのは第三王女、アーシェラ様。


美しく微笑む彼女は、その表情とは裏腹にどう考えても面倒事の予感がしかしなかった。


外に出てまだ数歩だけどもう帰りてえ。

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