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060.ファッションショー!①

「それじゃ今度こそルビィの着てく服を選ぼうか」


「その前に一つよろしいですか? 主様」


「どしたのルビィ」


質問が、と軽く手を上げたルビィへと視線を向ける。


「この格好のまま行くというわけには行かないのでしょうか?」


「それね」


ルビィの今の格好は胸が大きく開いて脚にざっくりとスリットが入っているドレス。


イメージとしては映画賞の授賞式で主演女優がレッドカーペットの上を歩いてそうな感じ。


あっちの世界でもこっちの世界でもこの格好で街中を歩いてたら露出過多かなってなるけど、ぶっちゃけ王城に行くならこれでもいいんじゃねえか疑惑がある。


魔術師で似たような格好してる女性冒険者は見たことあるしね。


こっちの世界の金持ちのドレスも胸元の開き具合はかなりガッツリしてるし。ドレス自体はもっとふんわりしてるんだけどさ。


「んー、とりあえず色々選んでみてから考えようか」


ぶっちゃけこのままでもいい。そんな結論を俺は先送りにした。


なぜならルビィがいろんな格好をするのを見たいからだ。文句は聞かない。


「主様がそうおっしゃるのでしたら」


「うん、それじゃこういう格好がいいとかリクエストは何かある?」


「そうですわね、強いて言えば主様と同じ格好でしょうか」


「あー」


同じ格好、つまり和服ね。


ルビィに似合うかどうかといわれれば微妙なところかもしれないが、揃いの格好っていうのもありかな。


「んじゃ、一着目は決定。もういくつか作っておこうか」


ということで出来上がったのは合計5着。


ついでに部屋をカーテンで区切る。


「主様、こちらは?」


「そっちは更衣室ね」


「あ、わたくしは着替えるのですわね」


「そうだね、むしろそれが見たくてわざわざ服を選んでるまであるし」


「主様は、実際に着替えないのですか?」


「俺の着替えに需要はないだろうからなあ。ルビィが見たいならやぶさかでもないけど」


「それではお願いいたしますわ」


「えっ、あ、うん」


お願いされてしまった。まあいいか。


「それじゃ同時に着替えようか。まずは着物で」


「かしこまりましたわ、主様」


ということでルビィの着替えがかかった棚をカーテンの向こう側に運び、しゃっと仕切りを閉じる。


こんな風に着替えるの久しぶりだなー。


普段はてきとーな服だし出かけるときはローブを羽織れば完成ないつものスタイルだと、わざわざ着替える必要性がないんだよね。魔法で汚れとかもつかないし。


さて今回は着物だけど、これも特に問題はなく、肌着をつけて内側のを羽織って外側のを羽織って帯を締めれば完成だ。


正確には一枚一枚に名前が付いてるんだろうけど知らない。


スマホがあれば一発なんだろうけどなあってなるからそういう部分ではこの世界は不便だ。


うーん、そして似合ってるのかわかんねえな。


なんて感想のあとに、問題点に気づいた。


「主様、少々よろしいでしょうか?」


聞こえるのはカーテンの向こうのルビィの声。


「もしかして、帯の締め方がわからなかった?」


「すみません」


「気にしなくていいよ。と言っても俺も偉そうにできるほどちゃんとしてるわけじゃないけどね」


帯の結び方なんてうろ覚えである。


しかしそもそも覚えてるだけでも凄いのではないだろうか。


なんか童貞は帯も結べないとかいうネタが流れてきて、そのとき一緒に見た画像で覚えたんだよな、たしか。


ちなみに童貞は卒業できたのかって?


ハハハ。


「それじゃ、ちょっと開けるよ」


声をかけてから仕切りを開けて覗き込む。


前が留められていない衣を羽織るルビィの姿はとても色っぽい。


このまま着物の隙間に手を差し入れたい衝動に駆られるね。やらないけど。


まあもっと言えばやっても怒られないんだろうけど、今は着せ替え優先ってことでね。


「それじゃルビィ、あっち向いてくれる?」


ということでルビィには背中を向けてもらって、ついでに左右の布を弛まないように抑えてもらう。


そのまま帯をくるくると回し解けないように背中で結んだ。


自分の場合は前で結んでからくるっと背中側に回したんだけど、できるならこっちの方が見栄えの完成度も高くなるね。


「よし完成」


互いに着替え終わったので、ルビィがくるっと回ってお互いに正面から確認する。


「よく似合ってるよルビィ」


「ありがとうございます。主様も、よくお似合いですわ」


「ありがと」


しかし巨乳に和服は似合わない、なんて言われるけど元が良ければなんでもアリだね。


まあ美しいとされる着物のラインが崩れていると言われればそうなんだろうけど、中身がよければそれでヨシだ。


ちなみにルビィの着物の柄は麻の葉模様、俺の柄は市松模様。


日本人なら一目でその意味にピンとくるだろうけど、まあこっちの世界じゃ意味も伝わらないだろうしたぶん大丈夫。


「それでルビィ、実際に着てみてどんな感じ?」


「そうですわね、少し動きにくいでしょうか」


「たしかにそうかもね」


着物自体が動きづらいものだし、普段のスリット深めドレスと比べれば余計にだろう。


「ですが、装いとしては気に入りましたわ」


「それはよかった」


実際に並んで着てくならこれでもいいかもね。


折角だから巾着袋型のマジックバッグでも作ってみようかな。

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