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040.ルビィ像

諸事情で昨日の午前二時すぎに、前話を一度上げ直しました。


もし新しい方を読んでない方はお手数ですがそちらから読んでいただけたら幸いです。

「主様、なにをなさっているのですか?」


俺がコアルームで工作をしていると、ルビィに声をかけられた。


「なにしてると思う?」


逆に聞くと、ルビィが目を細める。


「主様が作っているのは、私の石像ですわね」


「正解」


ということで、俺の目の前には生成魔法で作ったルビィの等身大立像がある。


素材が石なので色は素材のそのままだけど、造形は実物そのものだ。


胸のラインの美しさも太股のむちむちさも完璧に再現している。


ちなみに服はちゃんと着ているけど、俺はルビィの裸は見たことがないので裸婦像を作ることはできない。残念。


「それで、なぜわたくしの像を作ってらっしゃるのですか?」


「うん、これをダンジョンに設置しようかなと思って」


言うとルビィが怪訝そうな顔をする。


「その理由をお聞きしても?」


「折角だし、ルビィの美しさを宣伝しようかなって」


つまりうちのダンジョンが世界一のダンジョンになったら、ルビィは世界一有名な美女になるという完璧な理屈である。


「わたくしよりも、主様自身の石像を作ってはいかがでしょう」


「えー、俺はいいかな」


自分の容姿を喧伝したいとも思わないし。


というか俺の姿なんて見ても誰も得しないしね。


その点ルビィは超絶美女なので素材としては満点だ。


もしやるならルビィとペア像として置いておくならワンチャンなくもないかも、いやでも微妙かな。


なんて俺の説明なわけなんだけど、ルビィはまだ釈然としないようだ。


「ルビィは石像飾られるの嫌?」


「嫌ではありませんが、主様よりも目立つ立ち位置というのはあまり落ち着きませんわね」


あー、主従的な意味でって話か。


「俺は気にしないけどって言っても納得できないかな。んー」


どうせなら、理屈をつけて説明しようか。


「これは半分趣味なんだけど、もう半分は話題作りの試みの一環なんだよね。そんで、話題作りするなら単純に男の像より女の像の方が効率がいいと思うんだよね」


「なぜでしょうか?」


「まずこういう像に興味を示すのが女より男の方が多いってこと。あと単純に冒険者に男の方が多いってこと」


「……なるほど」


「あと単純にルビィの方が容姿が良いってことね」


「わたくしはそうは思いませんわ」


「そう言ってもらえるのは嬉しいけどね」


もし俺がルビィレベルの容姿を持ってるなら前世でもモテモテだったんだよなあ。


「あと単純に、男の方がエロい話が好きってこと」


「なるほど」


納得された。


説得の決め手これでいいのかなあ!? まあいいか。


「まあでも、ルビィが納得できないっていうならやめようかな」


「いえ、そういう理由でしたら異論はありませんわ」


「ありがと、ルビィ。でも折角だから100階層まで出来たらそこに二人の像でも並べようか」


「それは素敵ですわね」


ということで議論は一段落。


「それじゃあルビィ、ちょっとこっちに来てもらえる?」


俺が手招きして呼んだのはルビィの像の前。


床には2メートルくらいの円形魔法陣が刻んである。


「ここでよろしいでしょうか?」


「うん」


俺とルビィが並んで立ってから少しして、身体を魔法のエフェクトに包まれた。


「これは、回復魔法ですか? 主様」


「正解。折角だからお祈りしたら回復する像にしようかと思ってさ」


正確にはこの魔方陣の中にしばらく魔力を持つ者が留まると治癒魔法が発動するって仕組みなんだけど。


「魔力はダンジョンからの供給でしょうか?」


「うん、範囲回復だけど効果は低めだから、一回の魔力は500もかからないかな」


「ですが主様、連続で何度でも使用されると困ったことになりませんか?」


「それは大丈夫、発動用の魔力の蓄積に時間がかかるようになってるから」


詳しい設定を説明すると、中に設置した魔力回路が周囲の魔力を少しずつ蓄積し、一回分に溜まった発動するようになるという仕組み。


こっちの世界で言うと半刻、元居た世界だと30分で一回使用できるようになる。


設置するのは11階層の予定で当面はシルバー等級の冒険者にしか使えない仕様だからリッチの戦闘を越えてきた時点で赤字になることもない。


また回復したくなっても雑魚1戦を経てれば魔力500はほぼ回収できるしね。


「まあそれはいいんだけど」


「よろしいのですか?」


「うん、困ったら後から弄ればいいし。それより問題は、ポーズをどうするかってことなんだよね」


「そこは問題なのでしょうか?」


「ルビィの姿を宣伝しないといけないからね。一番良い格好にしないと」


「あ、はい」


ルビィからなにかを諦めたような気配を感じた気がしたけどきっと気のせい。


「とりあえず今は胸の前で手を握るようなポーズだけど、他にはどんなのが良いかな」


「わたくしは、これでも問題ないかと思いますが」


「俺も不満はないけどね、どうせ他にも設置するからポーズはいくらあっても良いよ」


「他にも設置するのですね」


「とりあえずなんか仕掛けを作る度に置く予定だからね」


少なくとも20階層にまた設置する予定はあるけどそれはともかく。


「それじゃあちょっとポーズとってみてくれる?」


「ポーズ、ですか」


「うん、今回は人を癒すイメージのポーズね」


「そうですわね……」


ということで、ルビィは片手を肩の高さで差し出したポーズをとる。


うーん、そのまま頭を撫でてもらいたくなるようなポーズだ。


次は両手を腰の高さのまま左右に広げて空を仰ぎ見るポーズ。


空から光でも降ってきそうなポーズだけど、視線を上に向ける関係で胸が張られてその大きさが強調されるのが素晴らしゲフンゲフン。


次は両手を肩の高さで斜め前に広げそのまま包容する直前のようなポーズ。


というか俺が抱きつきたいんだが?


なんて流れでルビィのポージングショーは一段落。


「ルビィはどのポーズが良いと思う?」


「そうですわね、やはり主様が一番最初に作られたポーズが一番イメージに合っているかと思いますわ」


「そっかー。じゃあ最初はこれにしよっか」


「はい、主様」


結局最初のネタに戻ったけど、試行錯誤の仮定は無駄にはならないから問題ない。


「じゃあ後は格好かな」


「格好ですか?」


「うん、ちょっと考えてるのがあるんだけどこんな感じ」


既にあるルビィ像に手を当てて生成魔法を使うと、普段のセクシードレスのルビィの姿から光を伴って形を変える。


そして出来あたがったのは、ワンピース型の水着の胸から上半分の生地を取り除いたようなもの。


あと頭には長い耳。足は網タイツ。


そう、つまりバニーガールだ。


「主様、これはいったい?」


「俺のいた世界でバニーガールって呼ばれてる衣装だよ。つまりうさぎさんだね」


「それでしたら長い耳はわかりますが、その格好はなんなのでしょう?」


「なんなんだろうね、そういえば考えたことなかったわ」


冷静に解説すると、そもそも男を喜ばせるための格好だから深い意味はないんじゃないかな。


ちなみに胸元の開き具合はルビィの普段の服装と大差ないんだけど、そこを突っ込むとまず誰かさんの願望だろってスタートラインでやぶ蛇になるから黙っておく。


「一応ね、ダンジョンには通名が付くらしいから、ここのダンジョンはうさぎさんの迷宮って名前になるんじゃないかとちょっと思ってるんだよね。んでイメージの統一感を出そうかと思ったんだけど、よく考えたら耳だけあれば十分だねこれ」


「ですが主様がお望みでしたら、わたくしは構いませんわ」


「んー。ルビィのこの格好はとても良いものだと思うけど、よく考えたら別に冒険者に見せる必要もないわ」


「お褒めにあずかり光栄です、主様」


ということでルビィ像は結局最初のポーズと格好に戻り、そのままうさぎの耳だけ追加される。


かわいい。


「んじゃ、人が居なくなったら一先ずこれで設置してみようか」


「はい、主様」


ということで、新たにうちのダンジョンに名所が生まれた。


崇め奉りたまえ冒険者諸君。

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