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目指すは異世界で最強の王道ダンジョンマスター。~王都徒歩5分『美人秘書』付き~  作者: あまかみ唯
三章

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103.準備回

「そろそろ次の階層の準備しなきゃだねえ」


23階層を作って数日、冒険者による探索の進捗半分程度といったところでそろそろ準備を始めた方がいい頃合いだ。


「そうですわね。次はどのような構造になさいますか?」


「んー、折角だし上下連結のダンジョン作ろっか」


「5階層と6階層で作ったような構造ですわね」


「そだね。まあそれだけだと同じ事やってもつまらないから今回は3階層連結で」


ついでに何回も上下往復を必要にして攻略の手間を増やそう。


「というわけで構造だけど、今回は先にまとめて決めちゃおうか」


入り口と出口だけ決めればそれでOKな平面構造と違って、立体構造だとどこを繋いで上下させるかをちゃんと考えないといけないしね。


ちなみにこの構造を作るために前から階層の増築ペースをちょっとずつ遅らせていたので、増やす分の魔力は問題ない。


ということでまずはコアルームから移動せず、正方形のパネルを3枚並べてそれぞれに対応する階層を決める。


「んじゃまずはどこを何回往復するか決めようか」


一往復ならマップを半分にして片面探索して次の階層へ、下まで行ったらもう片方に抜けて今度は上までって導線が組める。


一往復半なら三分割ね。


まあそこまで単純にしなくてもいいっちゃいいんだけど。


「やはり一往復では寂しいでしょうか」


「そうだねえ。とはいえあんまり分割数を増やしても今度は1面が狭くなるから考え物だけど」


二往復させるために四分割すると、一階層毎の探索範囲も1/4になるので少し探索したらすぐ次の階層って感じになるのでそれはそれで物足りないかもしれない。


まあ単純な田の字の四分割じゃなければ工夫次第って部分もあるかもしれないけど。


「それでは三分割が一番バランスが良いでしょうか。終着点も下になりますし」


「うん、やっぱりそれがいいかな」


24階層から27階層まで直通の階段を組むこともできるけど、26階層から降りる設計にした方がスマートではあるかな。


「んじゃ入口から手前4割くらいが一分割目。んで奥の6割を左右に分割して3割/3割とかでいいかな」


ちなみに手前を広く取っているのはとりあえず最初に探索範囲を広げて冒険者同士の鉢合わせを減らす意図だ。


階段は螺旋状にすれば通路2本分の幅で上下できるからそれでいいかな。


「かなり単純な構造になりましたわね」


「といってもどうせマップは埋められるからそこまで気にしなくてもいいと思うけど」


ほとんどの冒険者パーティーは、次の階層に行く前にマップを埋めていく。


これはマップを把握していること自体が探索に有利になるし、宝箱の位置などを覚えておけば稼ぎも良くなるからだ。


それに階層の拡張進度に合わせるなら先を急ぐ必要もないという理由もある。


「一つ思ったのですが、上下に往復するだけでは通常の階層とあまり変わりがないかと」


「それね」


結局全部マップ埋めて進むなら1階層×3とやることはほぼ一緒って話がある。


「それを解決するにはやっぱり落とし穴が一番分かりやすいかな」


落として戻ってくるには遠回りが必要って構造は、上りでも下りでも役に立つだろう。


「あとはもう一工夫しておこうか」


折角なので、あんまりサクサク進めないギミックを用意しておこう。


3階層一気に実装するから一瞬で攻略されるとマジで困るんだよね。


「あとはそうですわね、水はどうなさいますか?」


「落とし穴に活躍してもらう予定だし、水は継続にしようか」


21階層から始まった水没ダンジョンは23階層まで続いており、冒険者はいい感じに苦戦してくれている。


それだけ不評も多いけど、温泉のおかげもあって探索者の足が遠のくほどではないようだ。


まあそもそもダンジョンが快適な方がおかしいんだけど。


「そうなりますと、水を補充する仕組みが必要ですわね」


「流石にこれは水車で汲み上げるわけにはいかないかな」


水車を含む施設をつけるには相応のスペースが必要だしね。


「でしたら転送陣を使うのがよろしいかと」


「あー、そういう使い方もできるんだっけ」


基本的に人か魔物が移動する時にしか使ってなかったけど、そういう風にも使えるんだった。


「ただ水を一定量だけ戻すような機能はつけられませんので、そこは別の機構が必要になりますわね」


「それは基本水位より高い位置に排水口を設置すれば大丈夫かな」


「ではそのような形で試作してみましょうか」


「うん。でもその前にマップの構造を決めちゃおうか」


と言って二人でパネルの前に立ってそこへ溝を掘っていく。


基本的には通常の迷宮と同じく迷路構造で、なるべく冒険者を長く歩かせるという目的があるのでそこまで決めるのに苦労はしない。


逆説的に構造を推測しやすくなる訳だけど、まあどうせ冒険者はマップ埋めるしね。


「そんじゃあとは、配置する魔物を決めればオッケーかな」


「新しい魔物を召喚しますか?」


「んー、どうしよっか。今の21階層以降の捕虜率は何割くらいだっけ」


「全体の1割程度ですわね」


「それじゃあ26階層までで2割程度に増やそうか」


2割っていうと少ないように感じるけど、毎日同じだけ捕まえていたら5日で全滅と考えると結構な割合だ。


まあ身代金釈放もあるし、ずっと捕まらない冒険者もいるからそこまで単純計算できる訳でもないけど。


「今回はマップが複雑だから魔物の種類まで増やしたら情報過多すぎるかなあ」


「では編成を変更なさいますか?」


「そうだね、一部をミドルゴーレム2体編成にして、あと武器とか持たせてみようか」


ということでミドルゴーレムを新規に一体召喚してみる。


「なに持たせよっか」


「刃物はあまり向きませんわね」


「危なすぎるし鉄はコストも安くないしね」


「それではやはりこん棒でしょうか」


「ならこれくらいの大きさかな」


作ったのは消火器を1メートルくらいに延長した感じの石のこん棒。


ミドルゴーレムでも握れるように根元に向かって細くはしているけど、それでも圧迫感はかなりのものである。


「試しにこれ持ってみてもらえる?」


俺がミドルゴーレムに言うと、それを握って試し振りをする。


ぶうんっと風を切る音は普通に食らったら死ねる感がすごかった。


「ちょっと危ないかな」


「とはいえ魔力は通っていませんので、冒険者なら問題なく処理できるかと」


「ならいっか」


ミドルゴーレムの体が簡単に破壊されないのは魔力で強化されているからであって、ただの石ならどうにか処理できるだろう。


たぶん。


「一応頭は狙わないようにね」


言ってもミドルゴーレムは無反応だがちゃんと決めたことを守ってくれるのは既に知っているので問題ない。


「あとは、投石……は危険すぎるかな」


「そうですわね」


流石に投げた物体でも命の危険がないように配慮しろというのは難しい。


実際投石できたらかなり強いと思うんだけど。


「んじゃ、あとはこれかな」


「これは……、丸太ですわね」


「うん」


生成した丸太の長さは2.5メートルほど。


かなり長いけど単独であれば十分に通路でも戦えるだろう。


木材だから重量的にも石材よりは使いやすいだろうし。


「それじゃ、これも持ってみて」


今度は丸太をミドルゴーレムに持たせると、使い方に困ってるような動きをする。


「根元側を両手で握って振る感じでいいと思うよ」


アドバイスすると、ミドルゴーレムが大きな両手で端から2割程度のところを握りそのまま横に振る。


モーション的には運動慣れてない女子がバットを振ったときみたいになってるけど、感じる風圧はこん棒よりも上だ。


これなら冒険者相手にも普通に活躍してくれるだろう。


「あと武器は壊れたら普通に捨てて素手で戦っていいよ」


ミドルゴーレムは素手で戦っても十分に強いので、武器が不完全になったら捨ててしまった方がうまく戦えるだろう。


「とりあえずこんな感じでいいかな」


「ええ、よろしいかと」


それじゃあ、とミドルゴーレムはそのまま待機していてもらって俺とルビィは一緒に立ち上がる。


「それじゃ、実際にダンジョン作りに行こっか」


「はい、主様」


ということで3階層連続の拡張には夜通し時間がかかった。

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