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夜歩き

作者: 塩濆け幾等

あなたはひとり、歩いている。


だんだんと細くなる道の果てにある


住宅街を見据えながら。



藍色に塗りつぶされた空とときおり光る点を


ぼんやりと見上げながら。



明日、雨になったら、


そのときはこの道を走ろう


なんて思いながら。



歩く


歩く



あなたはひとり、玄関の前で止まっている。


片足に力を入れると僅かにきしむ


板を踏みながら。



隣の家の排気口から香る


カレーの匂いに浸りながら。



明日、もし寝坊したら


玄関の扉を開けずに


堕落しようなんて思いながら。



あなたはもう、郵便受けを探っている。


心の隙間を埋めるためのなにかを


探しているようだ。



今、くだらない広告を手にとって


色んな意味を込めて


くだらないなって


言って。




笑う。




眠くなる。



早く家に入ろうと思う。



ふと、玄関の前の隙間に生える


一枚の紅葉を見つける。



ああ、今年も秋が来たんだな


って思いながら葉をやさしく撫でる。




厚い雲がふいに割れる。



おぼろげな光が差し込む。



心の藍を消していく。




それを見てあなたはこう思うだろう。





明日もまた生きよう。




って。



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