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シーフの苦悩 尾行している女魔導士がストーカー被害にあっているらしい

いつもの逆置きに離党六増加記念短編です♪

俺はゼノン、Bランク冒険者のシーフだ。

シーフと言えば身を隠して調査を行ったり、罠を解除したりする職業でダンジョン探索には不可欠な職業である。

しかし、シーフは補助的な職業で、高ランクのシーフなんて数える程しかいない事を考えれば俺が優秀だという事は分かるだろう。

そんな俺だが、最近駈け出しの冒険者パーティの女魔導士が気になっている。

彼女は両親が居ないらしく、冒険者ギルドでパーティと解散してから毎日一人で持ち家に帰っている。

Eランクと言うまだまだ低ランクな為、俺が彼女を守ろうと考えて毎日見送りをしているのだが・・・


「どうしたんだシーフ?なんか深刻そうだが・・・」

「ん?あぁ・・・ちょっとな・・・」


こいつは同じBランクパーティの剣士『ナイト』だ。

今俺達は今日の仕事を終えてカウンターで打ち上げを行っているのだが・・・


「いや実はな・・・さっき聞いちまったんだ」

「ん?最近お前が御熱心なあの娘か?」

「あぁ・・・なんでも彼女・・・最近ストーカー被害に遭っているみたいなんだ」

「マジか?!」


そう、先程依頼完了処理を行っている時、彼女達も仕事を終えて帰ってきていた。

その時に相談しているのを読唇術で読んで知ってしまったのだ。

だから俺は少々困っている・・・


「なぁ・・・どうしたらいい?」

「お前はどうしたいんだ?」

「そりゃ・・・力になってやりたい!」

「ふっ熱いね、なら不安にならないよう定期的に守ってやるしかないな。できれば外出中も見守ってやれ」

「そうか・・・そうだよな!」


こうして俺の戦いが始まった・・・


「お前が頑張れば、きっと彼女は救われる。だがこれ見よがしに助けるのは男らしくない」

「そうだよな・・・よし、匿名で励ましの手紙を送ったり、贈り物なんかをしてみるよ」

「あぁ、頑張れよ!」


幸いBランクと言う事もあり俺は金が在る。

だからこの日から俺は行動を開始するのであった・・・






数日後・・・


「どうだ調子は?」

「駄目だ、ストーカーのやつ見事なストーキング技術だ。俺に尻尾も掴ませない」


この数日彼女をいつも通り尾行しながらストーカーを探したが見つけられなかった・・・

彼女を怖がらせてはいけないから必死にバレないように頑張ったのだが成果は出なかったのだ。


「後を付けていた奴は居なかったと・・・もしかしたらお前に気付いて姿を隠したのかもな」

「あぁ・・・彼女の捨てるゴミから何か情報が得られるかもしれないからゴミ捨て場を漁ったりもしてみたが、成果は得られなかった・・・」


結構高価な写真と言う魔道具も用いて彼女の様子に変化が無いか確認したが、結果は変化なし。

自宅に毎日の彼女の様子が分かる様に時系列に並べてあるのだが、何も情報は得られなかった。


「こうなったら最後の手段だな」

「おっどうするんだ?」

「彼女のストーカー野郎が夜中とかに襲うかもしれない、だから夜はずっと張り込むことにするよ」

「ををっ?!やる気だな、ここまで頑張って来たんだ彼女を幸せにしてやらないとな」

「あぁ、不安にさせないよう彼女が起きている間は少し離れた場所から、寝入ってからは自宅の窓から姿を見守る事にするよ!」

「あぁ、頑張れ。彼女を幸せに出来るのはお前だけだ!」


こうして俺の寝ずの番が始まった・・・




数日後・・・


「どうしたんだ?」

「あぁ、困った事になった。彼女を見守っている時に衛兵から肩を叩かれたんだ」

「なに?!」

「勘違いで捕まる訳にはいかない、俺が居なかったら彼女の身が危ないから全力で逃げたんだ」


既に1週間近く徹夜を続けている俺の顔は酷い事になっているのだろう。

ナイトが心配そうにしているのが良く分かる。

だがこれだけ頑張ってもストーカー野郎はその正体を現さなかった。

一体どうすれば・・・


「なぁ、俺はどうしたらいい?」

「そうだな・・・このままじゃお前が壊れちまうからな・・・よし、こんなのはどうだ?」

「ん?」

「彼女を誰にも気付かれずに自宅に匿うってのはどうだ?」

「・・・そうか!その手があったか!」


ナイトの提案に俺は心が躍った!

やっぱり持つべきものは親友だ。

俺はさっそく今夜行動に出る事にした。










「シーフさん・・・まさかあなたがストーカーだったなんて・・・」


俺は今、衛兵に身柄を拘束されていた。

目の前では彼女のパーティメンバーの武道家が彼女を抱き締め睨みつけていた。


「ふざけるな!さてはお前が犯人だな!彼女の為に俺が今日までどれ程尽くしてきたか!」

「Bランク冒険者のシーフ、何故こんな事をした?答えろ!」


彼女の自宅で拘束された俺に衛兵が怒鳴りつけてくる。

だから俺は教えてやった。


「家のドアや鍵の状態を把握してただけだ!郵便受けについては犯人が危険な物を送り付けてきている可能性を考慮してチェックしただけだ!」


叫ぶ俺を見る全員の目・・・

彼女すらも同じように俺をその目で見ていた。

何故だ?何がいけなかったんだ?

そう苦悩し連行される俺は気付いた、いや気付いてしまった・・・

離れた場所でこのやり取りをジッと身を隠して見ていたナイトに気が付いたのだ。

そうか・・・すべては・・・


「なぁああああいぃいいいいいとぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「暴れるな!」

「がっ?!」


こうして俺は衛兵に連行され鉱山奴隷に落とされたのであった・・・



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