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ヒカル。ファザー・ミーツ・ドーター


「「え? 誰!?」」

「いやいやアンタ達こそ誰よ!?」


謁見の間に飛び込んで来たのは背が低いが横に広い女性だった。

…ちょっと語弊があるな。

彼女は背が160センチくらいか?

でも体格はかなり良い。というか、かなりの筋肉質だ。腕は俺よりも遥かに太い。一瞬柔道の選手とかウエイトリフティングのメダリスト級選手かと思ったくらいだ。


「…アレ? もしかしてモスカワ主任じゃあないですか? 開発課の…」

「へ? ま、まさか営業2課の…マックノウチ・シゲルさん…なのかな?」

「は、ハイ。でもモスカワ主任…その髪型w なんで他の見た目はそのまま…?」

「ええっ!? シゲ!? お前なのかよ!」

「…ウッソ。アニキなの!? え~エルフなんて似合わね~w 詐欺だよもう」


マックノウチ・シゲル。

確か後輩のタケシとは実の兄妹で、2歳離れてるから…まあ23か?

このエセエルフが人間だった頃と雰囲気が似ていて、線の細いイメージがあった。

…まさか、こんな姿になっていたとは。嫌、別に外見が悪いことはないんだが。

ギャップが凄い。


「うるせえ!てかシゲ、お前はどんな種族になったんだよ?」

「さあ? なんせ神殿に着いたと思ったら即コッチに移動しろって言われたし…姿が変わってるのは知ってるけどさあ」

「あ、じゃあチョットここ押してみ!ここ!」

「え!? ちょっとどこ触ろうとしてんだよ!」

「馬鹿!だれがマッチョになった妹の大胸筋を触りたがるんだよ!?」

「いるじゃん。目の前に」

「いいから!ステータスが見れるんだよ!」


ピィポン


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ シゲルド

  クラス  ◆ ドワーフ【装飾職人】

  レベル  ◆ 23

  ヘルス  ◆ 7

 フィジカル ◆ 6

 エレメント ◆ 2

  サイコ  ◆ 3

 ※スキル※ ◆ なし


あなたは、炎の女神ヘスの加護を受けています。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


モミアゲがアゴの下近くまで伸びており、端を三つ編みにして垂らしている。

……うん、ドワーフって男のイメージしか不思議とないけど、こう見れば確かにドワーフだなあ。


「ぶはははっ!? な、ナンデ! ナンデドワーフ? だめだ。腹、イテ…!」

「フン!いいじゃん別に! アニキみたいに薄っぺらいのじゃなくて良かったよ!」

「お前~相変わらずわかってねえなあ~いいかエルってそんな事はどうでもいい! お前…確か結婚するとか言ってたじゃあねえかよ? それがどうして…」


マックノウチ妹…いやもうシゲルでいいや。

シゲルが腕を組んでムスっとした顔で目線を背ける。


「…………された」

「は? なんて?」

「………二股されたのッ!」

「なっ!? おま、相手って俺が紹介したあの営業1課のエリート君、ヒノマルだろ?」

「そうよ!そのヒノマルよ!アイツ…アタシに指輪渡してさ、家族にも挨拶済ませたのに…!同じ課の女とも付き合ってたのよ!? …周囲はもう婚約ムードだし、アニキにも相談できなくて…!もう、アタシどうしたらいいか…」


シゲルが涙ぐむ。

それを呆然と聞いていたマックノウチは盛大にキレた。


「よくも…よくも、俺の妹を弄びやがったなあ~あのガリ勉野郎!? ぶっ殺してやる!」


ブチギレエルフが王の前だということすら忘れて、背から弓を抜き放った。


「ア、アニキ! もういい!もういいんだ…結局アタシもこうしてこの世界に逃げてきちゃったしさあ? それにアタシだってビックリしたさ。アニキもコッチの世界に来てるって聞いたから…」

「…うっ」


罰が悪そうな顔をして弓を担ぎなおしたエルフが口を開く。


「……まあ、なんだ。俺も色々と悪かったな? 結局ふたりとも異世界に来ちまったわけだ。せいぜいこの世界で新しい人生を面白おかしく生きていこうぜ…」

「フフ…なにそれ? あ。アニキのも見せてよ!」

「おう。いいぜ!」


ピィポン


「プッ! なんでタケシムになってるの!? アハハハ! タケシム!タケシム!」

「お前だって名前がシゲルドになってるじゃあねーか! しかもなんでチョットカッコイイんだよ!?」


じゃれあう兄妹に神官であるペンが話しかけた。


「ふむ。それはドワーフ(いん)ですね。ドワーフの名称の多くには"ズ"や"ド"などが最後に付くものなんですよ。エルフにも同じくエルフ(いん)がありますから…」


へえそうなんだ。異世界文化だねえ。イヤなんか違う、か?


「………と言ってもタケシム。…はないよなあ」

「ププッ」

「笑うな!」


異世界での転生兄妹の再会を眺めていると、扉の前から大きな声が上がった。


「あ!? パパだ!パパがいるよ!ソラ!」

「……ん!」


この声は!


「ドレミ!? ソラぁ!? お前ら無事だったのかぁ!」

「パパぁ~~~~~!」


俺は涙どころか鼻からなにか飛び出してくるのも無視して走り出した。

ふたりの娘達も手を振りながらコチラに駆けてくる。


黒い髪をツインテールにしてる方が長女ドレミ。

確か俺にミディアム?とか教えてくれた髪型を揺らしているのが次女のソラだ。

…良かった! 双子の娘はどちらも無事だった!愛らしい容姿もそのまま…


ん? ツノ? 額に角が…あとドレミの奴あんなに八重歯だったっけか?

というか肌がピンク色だし、こう今更だが体つきも…

最近のJKは発育が良いのか?

ドレミはエグイほどムッチムチになった肢体を弾ませている。

ソラは対極的に超筋肉質。女ボディビルダーのようだ…

というかうちの娘達。160あるかないかくらいだと思ったんだがな?

距離が近づいてわかったが、ああ、ありゃあ軽く190はあるわぁ~。

190以上はあるわぁぁぁぁぁぁアぁぁっ!!?!。



「ってドレミ!? ソラぁ!? お前達その姿っ…ギュウ!?」


俺はふたりに捕まって抱き上げられてしまう。


「良かったパパも来てるって聞いて超心配したんだよ~?」

「……ダディ…!」

「…あ、ああ。俺も心配して、たぞ?」


俺は何とか震える手でソラの頭をいつものように撫でてやる。

ソラは嬉しそうに目を細める。

…やっぱりソラだわ。してこの元気爆発としたドレミも…

いや、もういい。もうういんだ!

見た目が変わったからって俺の娘に変わりはないんだからな!


「お前ら…その姿…」

「うん。凄いでしょ!? ウチはめっちゃセクシー!ムチムチボインになっちゃったし。ソラはメチャクチャ強そうになっちゃったよ! ね!ソラ?」

「…ん」


ソラが俺を片手で抱き絞めながら俺の頭ほどの大きさはありそうな力こぶを作ってみせた。

というかドレミ…そんなけしからんポーズをするな!?


「というかパパの方が問題でしょww なんで髪型だけ変わっただけなの!? マジうける! 録画!録画しよ!」

「ん!」

「パパだって好きでこんな髪になったわけじゃあないぞ!? って録画…?」


俺を見つめるドレミの瞳に「●REC」の文字が浮かんでいる。まさか…!?


「あ。そうだソラ、パパに見せてあげようよ? 私達の個人情報ぉ」

「ん」


ピィポン


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ ドレミ

  クラス  ◆ オーガ【実況者】

  レベル  ◆ 16

  ヘルス  ◆ 17

 フィジカル ◆ 11

 エレメント ◆ 6

  サイコ  ◆ 3

 ※スキル※ ◆ 【ミイチューバー】


あなたは、光の女神ミラの加護を受けています。

     闇の女神アズの加護を受けています。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ ソラ

  クラス  ◆ オーガ【実況者】

  レベル  ◆ 16

  ヘルス  ◆ 15

 フィジカル ◆ 15

 エレメント ◆ 5

  サイコ  ◆ 5

 ※スキル※ ◆ 【血の解放】


あなたは、光の女神ミラの加護を受けています。

     闇の女神アズの加護を受けています。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


「ってオーガ!? それにふたりともスキルを!いやいや!おい、ドレミ!そのスキルは…!?」


ミイチューバー? ミイチューブのアレかあ?


俺の疑問に娘のドレミは満面の笑みで応える。


「うん! 私達、元の世界の神様にお願いしてね? 特別なスキルを貰ったんだあ! 私達ミイチューバ―になって異世界実況するんだ!」

「…ん」


そして我が娘の、このダブルドヤ顔であった。

俺は力が抜けて娘の腕からずり落ちた。



【異世界転生の影響】


モスカワ・ドレミ(16)元気なJK→ムチムチボインなオーガ娘

モスカワ・ソラ(16)クールなJK→ムキムキなクーデレオーガ娘

マックノウチ・シゲル(23)OL→女ドワーフ


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