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ヒカル。異世界に降り立つ


「テスラ・ミラ! …エリクスへよくぞ参った!異世界よりの来訪者よ!」

「「うわぁ!?」」


いきなり後方から大きな声を掛けられて反射的にビビる俺ら。


「って…先輩!? 見て下さいよ!」

「あぁ? …すっご」

「うあ~」

「………高い」


それは一本の巨大な柱であった。それにしても高過ぎる、先が見えない…雲の高さまであるのではなかろうか?

周囲には青いローブを纏った男達が柱の前で呆ける俺達を囲んでいる。


「ふむ。やはり驚かれますかな? ここは慈悲の神ゲドを祀りしゲド神殿。皆様が見上げる巨大な蒼き御柱はかつて人間であった男神ゲドを女神達が迎え入れる為に建てたと言われています…」

「「はぁ~…!」」

「へぇ~…! あ。そういや女神様も夫が…とか言ってたっけ。それにしても馬鹿デカイな。つかぬことを聞くんだが…どれだけの高さがあるんだ?」

「記録にはゆうに1里を軽く超すと…」

「「1里!?」」

「……先輩。スイマセン、1里ってどんだけスか?」

「ばっかお前、1里つったら確か4キロ近くとかある距離だったはずだぞ!」

「え!? 不死山(フジヤマ)よりも高いんじゃあないスか? コレ…」


俺達が巨大な柱にすっかり夢中になっていると、目の前の男が咳払いしたので思わず正気に戻る。


「ゴホン…尊大なるゲドの象徴を見て関心を抱かぬことの方が難しいだろうが…少しばかり我らの話を聞いて頂きたい」


俺達は慌てて姿勢を正す。そうか、もうここは俺達の見知った世界ではない。異世界なのだ。


「私の名はコネリー。ゲドの神官です。輝きの女神ミラ様から神託を受け、皆様のいくばくかの受け答えをする為にこの場におります…まずは皆様にはこの国の王と謁見して頂きます」

「げっ。いきなり国のトップと対面とはたまげたなぁ…!」


俺が顔を歪めているのを見てコネリーは深く頷く。


「女神の神託とは言え、王の庇護下となるのです。その王族と邂逅は避けられぬのは必然。まあ困惑するお気持ちはお察ししますが我がファーフィールド国王陛下はとてもお優しい方ですので、そこまで思いつめることもないかと…まもなく王城からの使者が参る手筈となっております。…ですが、初めてこの世界の理に触れる皆様にお教えしたいことがあるのです…」


そう言うと神官は自身の左胸に右手を添える。


「「…………?」」

「申し訳ないのですが、皆様も私を真似て右手を…そうです。そして少し強めに押していただけませんか?」


なんでそんな真似を? と思ったが俺達は言われるがままに実戦してみる。


ピィポン


いきなり目の前に半透明のウィンドウが現れた。


「「うわ!? なんか出たっ!」」

「あ! 先輩!コレ、ステータスですよ!? ステータス!」

「何!? そんなゲーム画面みたいなことがあるわけ…」


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ ヒカル

  クラス  ◆ ヒューマン【遊び人】

  レベル  ◆ 1

  ヘルス  ◆ 0

 フィジカル ◆ 0

 エレメント ◆ 0

  サイコ  ◆ 0

 ※スキル※ ◆ 【オートパリィ】


あなたは、光の女神ミラの加護を受けています。

 所属:なし

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「ぶっ!?」


何じゃあこりゃあ!? レベル1?

イヤイヤそんなことより遊び人!? よりにもよって遊び人だと!?


「ぶはははははっ! 何スか先輩!? 遊び人って! ヒーヒー…しかもレベルも1とか!」

「おまっ …じゃあ、お前はどうなんだ!? 見せろこのっ!」


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ タケシム

  クラス  ◆ エルフ【妖精術師】

  レベル  ◆ 25

  ヘルス  ◆ 3

 フィジカル ◆ 3

 エレメント ◆ 2

  サイコ  ◆ 5

 ※スキル※ ◆ なし


あなたは、妖精と交渉する事ができます。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


「……お前だって大して変わらないじゃあないか?」

「どこがスか!? 先輩のレベルなんて1じゃあないスか!それにステータスオールゼロとか!」

「ゼロの方が強いのかもよ? てか何だよタケシムって。かっこわる」

「ちょっと!全世界のタケシムさんに謝って下さいよ!? …でもそこは俺も思いますよ。何なんスか…タケシムって…?」


そこへロッテヅカさんがケンタ君を連れてやってくる。


「ちょっといいかな? 私はこういうのに明るくなくてね…私達のを見て貰えるかな」

「ああ、いいですよ。見せてください」


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ オサム

  クラス  ◆ ワイズ【賢者】

  レベル  ◆ 50

  ヘルス  ◆ 2

 フィジカル ◆ 1

 エレメント ◆ 9

  サイコ  ◆ 5

 ※スキル※ ◆ なし


あなたは、全属性の魔法が使用できます。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

  名 前  ◆ ケンタ

  クラス  ◆ ジャイアント【豪傑】

  レベル  ◆ 10

  ヘルス  ◆ 11

 フィジカル ◆ 12

 エレメント ◆ 2

  サイコ  ◆ 1

 ※スキル※ ◆ なし


あなたは、毒と一部の状態異常を無効にします。

 所属:なし

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


「…え。ねえ先輩? ふたり共、強くないっスか?」

「うん。俺もなんとなくそう思うわ」


俺達が良く分からないが褒められて照れるふたりのステータスを睨んでいると、コネリーが口を開く。


「いま、皆様がそれぞれご覧になっているのはご自身のステータスです。名前、種族、レベル、そして各能力値となっておりまして、慣れれば胸に手を添えれば表示できるようになりますよ。このステータスは身分確認としても用いますので留意しておいて下さるよう…」


神官コネリーの説明を解釈するとこうだ。


●クラスにある、種族【称号】は称号=現状の職業という訳ではない。

 ただし、自身の技能や能力値の成長には若干だが影響するらしい。


●レベルは肉体の鍛錬、知識の修得、精神への影響によって上昇する。

 一定のレベルに達することで各能力値が上下する。

 ただし、転生した肉体を持つ俺らは年齢=レベルだという見解だ。


●ヘルス。健康である様を指し、いわゆる生命力・体力を示す能力値。


●フィジカル。身体能力の強さ。膂力・敏捷性などの総合的な強さを示す能力値。


●エレメント。属性を有する力。即ち魔力といったイメージを示す能力値。


●サイコ。精神力の強さ。霊感のようなものまで含む力を示す能力値。

 ちなみに各能力値の数字が表している指標は特に秀でた能力を持っていないヒューマンを基準として…0:最底辺。1~3:特に鍛錬していない一般人と同以下。8または9:優れた能力値。10~:人間の限界を超越した能力値。つまり基本のピークは9と考えられるが、種族によってはこれに当てはまらない。即ち、その種族自体がヒューマンより優れた傾向にある可能性がある。


●スキル。特殊能力の類だが、所有する存在は少ない。一部のスキルは修得可能。


●女神からの加護。この世界のパワーバランスはやや女に傾いているらしく、大概の女性はいずれかの女神の加護を持ち、能力値に補正や各女神の恩恵を受けているらしい。


「………なるほどな。ってチョット待ってくれ!?」

「ええ、ですからあなたは女神ミラからスキルだけではなく加護まで与え有られた男性としてはとても稀有な…」

「違う!そうじゃない。なんで俺だけレベルが1なんだ!?」


コネリーが腕を組む。


「…恐らくあなたは他の方とは異なる、特別な方なのだとしか言えません。もしくは他の方々の姿が前の世界とは大きく異なっているというあなた方のお話に察するに…憶測で恐縮ではありますが、タケシム様、オサム様、ケンタ様は魂の受け皿となる器…この世界における新たな肉体は既に用意されていたのでしょう。しかし、あなただけはイチから新しく創られた…などと愚考する訳です。その理由までは存じませんが…」


………俺だけが異世界転生に巻き込まれたからか?

じゃあ、嫁と娘たちはどうなっちまうんだ?


「テスラ・ミラ。失礼いたします!王城からの使者が見えています!…至急、謁見の間での招集とのことです…」


俺がコネリーに問いかけようと口を開きかけたその瞬間、外から駆けてきた信徒の男が床に膝を付いた。




1話1話は短いと思います。内容も展開も遅いかも…


ヒカルが貰ったスキルに触れるのは次話の次話…の次話になるかもです。

次回。異世界の王様に会ってくる。ご期待ください!(白眼)

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