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ブランカは機嫌の悪いカールを見ながら話はじめる。


「ディアンヌ様から婚約破棄の件聞きました」

「!!」


カールは驚いて目を見開き椅子から立とうとする。


「はじめに申し上げます。私はカール様と親しくなるつもりは全くありません」


「は?」


「私はお2人がこのまま婚約者でいて欲しいと思っております。今日はカール様から話を聞きたくお誘いを受けました」


ブランカははっきりカールを見ながら言い切った。その目は嘘を言っている目ではなく決意を込めた目をしていた。


「そう…なのか?私は今までの令嬢達と一緒かと…すまない」


力が抜け足腰の力を抜いたら椅子があったと言うのが正しいが、カールは椅子に座り直した。自分がブランカを誤解していたのは申し訳なく恥ずかしかった。


「カール様はディアンヌ様があれほど婚約破棄にこだわる理由をご存知なんですか?」


「いや…とにかく間違っているからとしか」


「ディアンヌ様のお姉様が関係ありますか?」


「ミア様が?いや、私との関わりも特にないが…」


「カール様とディアンヌ様の間で何か思い違いがあるようですね。しっかりと話し合って確認してください」


「ああ、ありがとう。君はどうしてそこまで…」


クラスも違うディアンヌの事をと不思議に思う。ブランカはふっと力を抜いた綺麗な笑顔を浮かべた。


「私はディアンヌ様に救われましたから…ディアンヌ様に幸せになって欲しいだけです」


「救われた?」


「食堂で颯爽と現れたディアンヌ様はとてもかっこよかったですよ」


あの特別クラスの女子にくってかかった時かとカールも思い出して笑った。






「カール様笑ってらっしゃるわ」




──あんなお顔は久しく見てないですわね


思うと同時、複雑な気持ちになり胸を押さえる。


──何?カール様がブランカ様を気に入ったのならよかった…はず…


2人が揃っているのを離れたところから見ていると美男美女でとてもお似合いである。それを望んだのはディアンヌ自身で…


──そうよこれでいいのよ!


「本当にお似合いの2人だね」


残っているお茶を飲みながらアルベルトは2人と、ディアンヌを横目で見ながら言った。


「計画は決行できそうだねディアンヌ?」

「そっそうですね」


「このままブランカ嬢にカールを任せれば18歳を待たなくても婚約破棄でいいんじゃない?」


「え?」




──こんなに早く…?カール様と婚約破棄…なんだろ胸が痛い…





ディアンヌは突然のアルベルトの言葉にかなり動揺し、その様子はアルベルトにも伝わった。今までにない反応に眉間にシワを寄せディアンヌの顔を覗き見る。


「ディアンヌ?」


下を向き、両手をぎゅっと握りしめ考え込んでいる。


「ディアンヌはカールと婚約破棄するよね?そのための計画で今までも動いてきたよね?」


「え…ええそのつもりです」


「今さら嫌とか言わないよね?」


「あっ…え」


言いませんそのつもりです…と即答できず口ごもっていると


「ダメだよ悩んだりとか…君はカールと婚約破棄するんだ」


「絶対にね」


アルベルトは氷のように冷たい目を一瞬見せたが、すぐいつもの笑顔に戻り席をたちディアンヌの側まで来て手を差し出す。ディアンヌは顔を上げアルベルトの方に身体の向きを変えた。


「あちらは2人にしてあげて、ここからは私と遊びに行こう…ね」


強引に手を取ろうとした時、背後から腕を回され軽く抱きしめられた。


「アルベルト、聞き捨てならない。ディアンヌは私と用事がある」

「カール様」


すぐ横にカールの顔が見え、先程の胸の痛みとは違う跳ね上がるような鼓動がして全身に痺れが走る。


──カール様近いです!



「君たち2人がいい感じだったからお邪魔な私たちは別行動しようかと思っただけだよ?」


「余計なお世話だ」


2人が睨みあいながら話をしている間で、ディアンヌは真っ赤になり限界が近かった。


──どうしたのかしら…さっきから胸が苦しい…


「ディアンヌ様?大丈夫ですか?」


ディアンヌの変化に気が付き、ブランカが心配そうに尋ねると、はっとしたカールは腕の力を緩めディアンヌを覗き込む。

今までにない距離で向き合う形となり目が合った瞬間2人とも照れて目線を外した。


──変に意識すると恥ずかしい!!


「体調が優れないようでしたら今日は戻りましょう」


「あっ大丈夫ですわ」

「無理はダメですディアンヌ様!」


ブランカが少し怒ったように言うとディアンヌは肩を竦め謝った。


「アルベルト様、カール様本日はもうこのままお開きでもいいですか?ディアンヌ様を連れて帰りたいので」


「ああ、分かった。馬車を用意させよう」

「大丈夫ですわ。歩いて帰れます」

「しかしディアンヌ」

「本当に大丈夫です。申し訳ございません私のせいでせっかくの…」


「アルベルト様も本当にすみません」


「うん…いいよ別に」


笑ってはいたが、雰囲気は闇を抱えたように暗いアルベルトだった。

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