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ディアンヌはその集団の中に向かってズンズンとすすんで行く。後ろからリカルドが止めていたが聞こえていないようだ。


「失礼します。こちらの男爵令嬢に用があるのでよろしいですか?」


一方的に攻めていた女生徒たちはいきなり出てきたディアンヌに驚く。

特別クラスではないが、カールの婚約者で侯爵令嬢であるディアンヌは誰もが知ってる存在だ。


「なんのご用でしょうか?」

「先程から言ってもしょうがない事で喚いてらしたので、男爵令嬢には私とお友達になって頂きたいので引いてもらえますか?」

「なっ」


女生徒たちは一気にカッとなりそれぞれが喚き出す。

「ディアンヌ様こそ普通クラスなのに」

「何故あなたがカール様と」

「ミア様の足元にも及ばないのに」

「侯爵家だからとしゃしゃり出て」


一気に言われた事を聞いて静かになったのを確認してからにっこりと笑い


「カール様とは親が決めた事、どうも出来が良くなくて普通クラスなんです。侯爵家に生まれたのも私のせいではありません」


「後、お姉様が素晴らしいのは当然です。私の自慢の姉ですわ。私がお姉様と並ぶなんて有り得ません!5.6歩いえ、だいぶ後ろを歩かせてもらえるだけでも光栄です。足元なんてとてもとても」


女生徒たちは口を開けたまま固まっている。


「これが言ってもしょうがない事…ですよね?パンにあなた何故パンなの?と聞いてるのと同じですわ」


くるっと向きを変えブランカを見つめ手を取り


「ディアンヌ・ロベールと申します。私とお友達になってください!」


とキラキラした目で告白のようにお願いした。女生徒たちは周りからの目も痛かったので蜘蛛の子散らすように出ていった。ブランカがキョトンとしながらディアンヌを見る。


「えっと…友達になるとは?」

「私とお話しましょう」


ブランカは迫力に押され明後日ならと約束し食堂から出ていった。


──やったわ!ついに理想な方に巡り会えた!


「ルネがいたら同じ事言ったと思うけど…ディアンヌ強引すぎ…」


リカルドが盛大なため息をはいた。






「昨日ここで何かあった?」


食堂でランチを食べているとカールはディアンヌに聞く。


「特に何も?」

「同じクラスの女子にものすごい剣幕で君の事を言われたけど」

「大した事ではないですよ。それよりも素敵な出会いがあったのです!」


「そう、よかったね」


はいと嬉しそうにディアンヌは笑う。カールは目を閉じお茶を口に含み静かにカップを戻す。




◇◆◇



「この前は突然すみませんでした。ブランカ様と仲良くしたいのでお話させてください」

「私と仲良くしたい?なんの為ですか?」

「んー少し私のお願いを聞いてもらいたいのですが、それがなくてもお話したりお茶したり…とにかく仲良くしたいのです」


にっこりと笑って


「ブランカ様は私の好みドンピシャです!」

「ディアンヌ…だからそれでは怖いわよ」


話を聞いて心配でついて来たルネがディアンヌを止める。


「ごめんなさいね。でもこの子裏はないから」

「はあ…」


「まず、ブランカ様のお好きな物を教えてくださいな」

「好きな物?そうですね…猫かしら」

「まぁ猫!我が家も実家は猫飼ってます。真っ白なのと黒いのと。他には?」

「食べ物だと…苺のケーキが好きです」

「ケーキ!!あれは悪魔のような美味しさですわ。そうだ今度お休みの日一緒に食べに行きませんか?おすすめの店があるんです」


あまりの勢いにブランカが驚いていると


「あっごめんなさい。私本当に嬉しくて気持ちが先走りましたわね」


ブンブン振ってたしっぽが垂れ下がり耳もペタンコになった犬のように、ディアンヌが落ち込むのを見て、ふふっと笑って


「私で良ければご一緒させてください」


ブランカが答えると、また見えないはずのしっぽがブンブンと振られ、目をキラキラさせながら


「いつにしましょうか?明日?明後日?」

「だからディアンヌ…落ち着いて」





そんな女の子3人の様子を離れた所から見ているカール。


──次はあの男爵令嬢か…


リカルドから聞いていたので予想はついていたがまたか…とため息をはく。


10歳の時に突然言われた婚約破棄…何故そんな事を言われるのか全く心当たりがなく、かと言って嫌だと思うほどディアンヌが好きだったわけでもなく、面白いと思って計画に同意した。

しかし次の日から別の令嬢を勧められディアンヌも機会があれば積極的に他の子息と話をするのが面白くなかった

そんなに自分に興味が無いのかと思うと腹が立ち、断られる理由がなくなるように勉強も剣も身につけた。容姿も悪くないはずと自覚している。なのにディアンヌは他の令嬢を紹介し続ける…婚約を破棄する為に。

もちろんカールからディアンヌに紹介するなんて絶対にしない。自分より優れてる子息なんて居ないと思っているからだ。



学園に入ってからはディアンヌがエスカレートした。片っ端から声をかけているのかと思うほど次々と…。はじめはカールと会えると喜んでいた令嬢もいたが、はっきり言って面倒くさいだけだった。

リカルドの協力を得てからは事前に警告をすることで、ややこしい事柄を回避していた。


──なんでディアンヌ以外と時間を作ってまで会わないとダメなのか…


──もう諦めて俺だけを見ればいいのに…




「あれ?次はあの子なのかな?」


アルベルトがニヤニヤしながらカールに絡む。


「…だから君には関係ない話だよ」

「関係ないとは分からないよ~。カールが本気で他の子を選んだらさ」

「それはないと何度も言っているはずだ」


ふーんとまたニヤニヤ笑う。


──分かっている。こいつはディアンヌが婚約破棄するのを待っているんだ。昔からそうだった。俺は婚約破棄なんて絶対にしない!!

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