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植物園の入口でブランカは2人が出てくるのを待っていた。

食堂での様子からディアンヌとミアの関係は何となく想像できた。

待っている間なにがあってもディアンヌの味方になろうと決め、背筋を伸ばしまっすぐ入口を見つめ立っていた。


時間的には短くもなく長すぎもせずだったがブランカはずっと待っていた。

カールとディアンヌが一緒に出てきたのを見て安堵の息を吐きディアンヌに駆け寄る。


「ディアンヌ様大丈夫ですか?目が赤いですけど」

「大丈夫です。ブランカ様ありがとうございます」


ちらっとカールを見ると満足気な顔しているので上手く行ったのだろうと思っていると


「ブランカ様!私謝らなくてはいけない事が…あの…前はカール様を…その…」


真っ赤になって焦りながら話をしてるディアンヌをふふっと笑いながら抱きしめ耳元で囁く。


「カール様と上手くいってよかったです」

「ブランカ様」


ディアンヌもギュッとブランカを掴んでそのまま抱き合ってる形になっているのでカールが慌てて


「ブランカ嬢、さすがに長い!ディアンヌが潰れても困るから離れて」


心配するところがズレてる気もするが、2人の身長差だとディアンヌの方が低いので埋もれている感じにはなっていた。


ディアンヌとブランカは顔を見合わせ2人で笑った。


食堂からその様子をルネとリカルドが見ていた。


「大丈夫そうだな。ミア様が来たって聞いてどうなるかと思ったけど」

「いいようにまとまった感じね。本当に世話のやける事」


ディアンヌたちが2人に気が付き合流し珍しい組み合わせでの集まりに、食堂に残っていた他の生徒から注目を集めていた。



◇◆◇


ロベール侯爵は自宅に戻って来てからミアに皇帝とエリックを交えて話し合いをすると告げ、自室に戻っていた。

夫人が部屋に入って来てお茶を一緒に飲みながら、今後のことを話す。


「ミアの皇太子様との婚約を何としても白紙に戻さないといけない」

「ミアが納得しますか?」

「そこは関係ない。結果を突きつけて対処するしかない……あの子には人を思いやる感情が欠如している…そんな人間にしてしまったのは我々の責任だ」


ロベール侯爵は頭を抱えるがミアをどうするかは既に決めていた。




数日後、皇帝とエリック皇太子、ロベール侯爵とミアの他に大臣も2人立ち会いで参加して話し合いをすることになった。王宮で1番大きな執務室に全員がソファに座り目の前にはお茶も用意されているが飲める雰囲気ではなかった。


「ミア久しぶりだな。変わりないか?」

「皇帝陛下、私は変わりございません」


優雅な挨拶をするので皇帝や大臣はにこやかに笑っていたが、ロベール侯爵とエリックは笑ってはいなかった。


「先日の婚約を白紙との話だが…ロベール侯爵今もその気持ちに変わりないか」

「はい陛下」


目を見開いて驚いているのはエリックとミアである。


「婚約を白紙に…?お父様どうゆうことですか?今日の話し合いは愛人を囲うエリック様を断罪するためですわよね?」

「婚約を白紙に…破棄できると言うことですか!」


2人が同時に喋ったため聞き取れなかった皇帝はそれぞれに尋ねる。

まずは隣に座っているエリックに


「お前は婚約破棄したいのか?」

「はい!陛下のお許しいただけるのでしたらすぐにでも」


「私は今愛する人がいます。ミアとの婚約を破棄できるならその人と婚約したい!」


「エリック…お前は婚約者がいる身で他に?」


息子に嫌悪の目線を送りながら聞くと正当性を述べようとエリックはまっすぐ父親を見る。


「ミアは…見た目だけの人形です。私の横には人形はいりません」

「あら、綺麗な人形なら側に置きたいものでしょ」


「何も物言わなければまだしも…」


目を細め軽蔑するようにミアを睨む。


「ちょっと待ってくれ。ミア嬢は非の打ち所のない完璧な令嬢だろ。なぜ?」


「陛下、親から一言よろしいでしょうか?」


ロベール侯爵はミアが人として持たなければならない感情がないこと、なんでもできてしまう為、全てを軽んじる傾向にあることなどを説明した。

その間もミアは他人事のように聞いていた。


──お父様も何を言ってらっしゃるの?私には関係ないわね。早くエリック様に罰を与えてくれないかしら


「…少し考える時間をくれないか?すぐには判断はできない」

「陛下、どうか婚約破棄でお願いします」


皇帝は大きく息を吐き席を立ち足早に執務室を出ていった。

エリックも出ていこうとしたらミアがそれを呼び止める。


「エリック様、私まだ謝罪を聞いていませんがいつ謝ってくださるんですか?」

「は?」

「私は心が広いので今謝って頂けたら許して差し上げますわ」


「ミア!お前はまだそんな事を」

「お父様も酷いですわね。私が何をしたと言うのかしら」


エリックは何も言わず睨みながら出ていった。ロベール侯爵はその場に崩れ落ち頭を抱える。大臣たちはただその場に立ちすくむしかなかった。

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