14 ミア視点
私は優秀なのだ、特別なのだと思うのにミアはさほど時間はかからなかった。
1度聞いたことは忘れなかったし、教わることも難しくなくすぐ理解できた。
同じ歳の令嬢よりもはるかに優れた容姿にも自信があった。
親も周りの人全てがミアを絶賛し誰も叱ったりもしない。
──ああ、私は絶対唯一の存在なのね
なのに、血を分けた妹があんな出来損ないなのはなぜ?
皇太子からの婚約の申し出があったのも当然だと。父親が答えに渋っていたのが不思議でならない。
王宮でのお茶会でパルマ公爵と父親のロベール侯爵が話をしているのをミアも聞いていた。
「あの時は本当にすまなかった。私が…」
「構わないよ」
「でも、ミアとディアを聞き間違えるとか」
──やはりあの妹が私より選ばれるなど間違っていたのよ
優越感に浸りながらその場を去ろうとしたがパルマ公爵の言葉に驚く。
「我々はディアンヌが気に入っている。あの子がいると和むからね」
「そう言ってもらえると…」
「ミア嬢は完璧すぎて近寄り難い雰囲気だから、カールとは合わないしね」
──私よりもあの妹の方がよかったと?
怒りという感情も普段特にないが、ディアンヌが絡むと特化してくるらしい。
帰ってあの顔見たらお仕置しないと…と思いながら家に帰れば、母親がディアンヌとメイドたちと楽しそうに笑っている。
「あら皆さん仲良さそうね」
一声かけただけなのに一瞬で雰囲気悪くなり、母親は背中に妹を隠すように庇う。それを見ただけでも笑えてくる。
「ディア、こちらに来て」
「ミア、今日のお茶会どうだったか私に聞かせてちょうだい」
「お母様、私今ディアと話したいの」
母親の後ろから気持ちの悪い笑顔で出てきた妹に思いっきり仕置をする。
──私がディアのためにわざわざやってあげているの。私より劣っているからかわいそうだものね。
皇太子とのお茶会もこの頃回数も減り呼ばれる事も少なくなっていた。久しぶりに呼ばれてみれば皇太子の横に見たこともない女がいた。
「エリック様お久しぶりです。そちらの方は?」
「ミア、婚約は決まっているからしょうがないが、私はあなたを愛することはない」
「意味が分かりませんが…」
「私はこのアリエッタ嬢を愛している。あなたと結婚はするが形だけだと思ってくれ」
「側室を迎えると言うことですか?そんな女を?」
エリックは顔を歪めアリエッタを下がらせる。
「本当は婚約破棄をしたいがあなたが納得するか?」
「エリック様から是非にと婚約しましたのになぜ?」
「ああ、幼い頃一目惚れだったからね。ではあなたは私を好きだったか?」
その質問に首を傾け1度目を閉じ考えるがさっぱり分からないと言う顔をして
「私の事が好きなのでしょ?私が好きになる必要がありますか?私ほど頂点に立つのにふさわしい者はいないと思いますが」
エリックはフッと笑い
「そういうところが嫌なのだ。申し訳ないがこれ以上会うこともない」
エリックはアリエッタを優しくエスコートして早々に帰って行った。
──まあ皇后になれるなら別にいいわ。あちらが愛人を置くなら私もいてもいいわよね。
──昔私と婚約するはずだった…公爵家の…そうカール!カールでいいわね。
──私がわざわざ出向いて行ったのになぜあんな感じなの?あの妹も相変わらず醜い事。
──お父様なぜ私が悪い様に言うの?外に出るな?私に命令するとかありえませんが、どういうおつもりなのかしら。
──エリック様と話し合い?側室なんて言い出すから、私に謝るおつもりなのね。私は特別だから寛大な心で許してあげますわよ。